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第4話 まず自分はどんなモノが観たいのかを知ることから始めよう その①

 「セレス様、当主様が先週、アルセーヌに2歳となった祝いとしてご祝儀をしたいとせがまれました。どのように対応すればよろしいのでしょうか?」

「…またなの?以前アルスやアルフォードが生まれた際はこれでもかというぐらいのご祝儀をお義父様から頂いてたけれど、大抵使い方が分からない古の設計図ばかりで、その中でもやっとの思いでルブランと私らが理解して出来たのは『歩行器』という赤ちゃんの歩くのを慣れるため、それに魔力注入で補助する道具ぐらいで、他は正直ゴミになりそうだから困りモノだわ。」

「…せめてゴミとは言わない方がよろしいかと?あれらは当主様が世界中を駆け巡りながら集めた有史(ゆうし)以前の貴重なコレクションとおしゃっているので…実際あれらは歴史的貴重な価値があると私の父は判断しているのでそういうことなのでしょう。」

「そうは言ってもねぇ…私やティーレは少なくともすぐに使えないモノにはどうしても価値を見出せないと考えているからどうしてもゴ…実用性は感じられないわ。」

「話は逸れましましたが、如何しましょうか?」

「うーんとそうね。当たり前だけど面会は承諾するけど、ただ条件は付けるとするわ。絵本とかベビーカーなどの実用性高いモノをくださると嬉しいってお伝えしてくれる?もちろん設計図ではなく実物でねって!!」

「承知致しました。」

…えっ!!お爺様以前からそんなに設計図頂いてたの?っていうかお爺様何者?この世界に生まれて来て、まだ片手で数えられる数しか会ったことないけど、なんだか人懐っこい好好爺(こうこうや)な笑顔をするってぐらいの印象がいい人だなぁ~っていうだけの感想しかないけどそんなにアグレッシブな一面があるなんて意外だ。


 …先ほどの会話を中断し、一旦ティーレが自分やクリスのお世話終了までの流れを一通り済まそうとしたタイミングで誰かがこの部屋の扉を珍しくコンコンっとノックの音が聞こえてきた。誰

だろうか?

「失礼します、クノーツです。奥方様、それにティーレは今ここにいらっしゃるでしょうか?」

「ええ、私含めティーレもこの部屋にいます。珍しいわね、クノーツがこの部屋の前まで来るなんて、基本的には2階までは許可なしに使用人や客人は立ち寄ることは許してないのだけど、何か緊急の出来事ができたの?」

「…はっ、現時点をもちまして、ルドルフ・ド・フォンテーゼ様の第1継承権剥奪が正式に決定したとのことを当主様が早飛竜(早馬)を使って2人に連絡せよとの内容の手紙が来ましたので報告しに来ました。」

「それは所用で王都にいるルブランやそこで働いているルシリアお義姉様も承知という認識でいいわけ?あとその他根回しはもう完了したと判断してもいいってことかしら?」

「そのように書いてある手紙を私はフォンテーゼ家で長年信用できる早飛竜(そうひりゅう)の者から受け念のため、先に内容確認をさせていただきました。よって詳しくは手紙の確認をしてもらいたいため、入室の許可をお願い致します。」

「ええ、いいわよ。入室の許可をします。ティーレ、今指指しているところにある守護結界石の起動スイッチ3を押しなさい。いくらティーレの夫とはいえども最近では声真似のスキルとか使って暗殺するような輩がいるらしいから警戒しないといけないわ。だからティーレ、失礼だってわかってるけど警戒をさせてもらうね?」

「承知しています。……スイッチ押しました。クノーツ、さぁ入って?」


おぉ!!そういえばティーレの旦那様の顔、初めて見るのだけど、どんなお顔なんだろう?ワクワクするなぁ!!というか今自分がいる部屋に守護結界石っていうモノがあるってこと初めて知ったのだけど、名前的にセキュリティみたいなモノなのかな?…うわぁ!!急に部屋全体が輝き出した!!まっぶし!!そんでその輝きが収束すると突如として薄い水色の膜みたいなものが母とティーレがいる位置と扉のある場所から大体中央に出現した。…フム、なーんとなく、なーんとなくだがどさっきの会話から魔力どうとか今眼に映る光景から察するに気づいていたんだが、この世界って『魔法』っていうのが存在認められてるんだなぁーってということを改めて再確認したのだった。

「あら、アルセーヌ?いつになく顔が笑ったり、泣きそうになったり、真顔になったりして表情豊かわね?これからティーレの旦那様と初対面なのに、その前で面白いことをしてくるなんて、なんだかほっこりちゃう!!」

「ですね。」

 え?そんなに顔に色々出てたの?自分でいうのもあれなのだが、驚きである。

「今度ははっ!!っていう顔してる!!まるで私達の会話を理解しているみたいでおかしいわぁ!!」

「・・・・・・」

 おいおいおい!!うちの母の冗談混じりの推理、見事に当たってドクンと音が聞こえた気がして心臓に悪すぎなんだわこれ。今後はできる限り顔から表情出ない練習しよう、いや本当に。

 そんなことを思いながら母の顔を見つめると、ガチャンという音が鳴り扉が開いたのだった。

「奥方様、お顔を拝見するのは数か月ぶりでお久しゅうございます。つきましては…」

「クノーツ、前置きはいらないわ。まずはこの部屋の中央にあるテーブル中点付近に手紙を置きなさい。そんでもってティーレは手紙を回収しなさい。そして、私がお父義様の筆跡とフォンテーゼ家の印章が本物であることが確認できたならば、久しぶりにクノーツ、クリスの顔見せてあげるわ。いつも私達夫婦の子供達のお世話から館の管理までまかせっきりで、なんだか申し訳ないと思うから、せめて時間があるときに少なくともこれくらいの労いはさせて…ね?」

「了解です。」

「承知です。」

 へぇー!?いつもなら大体、前世の知識ではポニーテールっていうのだったけ?それに近い形で薄赤茶の髪を纏め、ティーレ以外のこの部屋になんらかの形で入室許可した使用人がいる時、普段では考えられないぐらいの威厳的な抑揚で話したり、注意深く観察するためなのか知らないが赤い眼を細めて輝かしたりしている。また母の体を中心に自分やクリス、それにティーレに本当に眼を細めないとわからないぐらいだが若干半透明に薄い赤が混ざったオーラを半円体を形成し身内を守る膜を作っていた。そのくらい警戒心高い彼女が、ふっとティーレ以外にも穏やかな笑みを自身の言葉の綴りが終わりに近づくにつれて見せるなんて、珍しいなぁ~なんて自分は思ってた。


 そんな笑みを見せられたクノーツは、ただただ困惑と驚き見せた表情を母と一緒の向きにいる自分に見せている。

「えーっと、あなた様は本当に奥方様でしょうか?なんだか最後から、いつもと雰囲気が違いすぎて別人じゃないかと疑ってしまいます。それか奥方様は育児に疲れたため、羽休めとして声真似ができる替え玉を雇って、そいつに幻術の魔法をかけているのではないでしょうか?」

「失礼ね、正真正銘の本人よ。そんなに雰囲気変わってるかしら?ティーレ?」

「ええ、セレス様、いつもの素じゃない、呆れるぐらい貴婦人然とししている姿からは考えられない笑みを(こぼ)しておいででした。」

「確かに意識的に雰囲気を変えてはいるけど、そこまで変わっているって言われるなんて釈然としないわ。ねぇ?アルセーヌは普段の私ってそんなに変わってないって思ってくれるよね?」

 いや、バリバリ雰囲気変わってますからね?それはもう言葉に表せないぐらいに。

「…アルセーヌ様が渋い顔をされてらっしゃる。」

 クノーツから見てもそんなに分かりやすい顔が見えるのかよ。せっかく自分の表情が出ないようにしたのに…この変な話の流れの原因を作ったクノーツにとりあえず可愛い自身のお顔からできる限り恨むような睨み顔を作り、()()()()()見せることにした。


お読み頂きありがとうございますm(_ _)m




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