第3話 歳を重ねる度に観るモノが変化していく
歳を重ねる度に観えるモノが変化していく。
そんな当たり前のことが赤ちゃんの体の成長過程から意識できるなんて、前世の自分ではできなかった経験を現在進行形でしていることをしていて不思議である。それを例えるならば、花に毎日、水やりをしてすくすくと大きくなる流れを肌感覚でわかる感覚である…実際大きくなってる最中だと感じるときたしか成長痛っていうだったけ?あの痛みがまるで前世でいう全身筋肉痛みたいで痛い痛いのである。そりゃ赤ちゃん組合なんてものがあるのなら相談届を出したいぐらいである。つまり何が言いたいのかというと、赤ちゃんの皆様方スゲーって言いたい。この痛みを超えるためにそりゃ自分だってギャン泣きするよ!!
「ウギャアアアアアア!!」
「よぉーし!!よぉーし!!大丈夫でじゅかー?」
「ルブラン様、以前も申し上げましたが、その持ち方だと赤ん坊であるアルセーヌ様が危のうございますので、私とセレス様が説明したとおりにしてくださいませ。」
「あぁ、わかったよティーレ。それにしてもこんな夜遅くても我が子を見るだけで、こんなにも癒されるなんて最高じゃないか。あのくそったれな兄というべきかわからんやつの後始末しないといけないと思うと現実逃避したくなるよ。」
「ルドルフ様の悪行の数々といえば、さすがにお気持ちは分かりますが、それをアルセーヌ様にぶつけないでくださいね?」
その後も父とティーレが長々と話しているがもうそろそろ自分のご飯の時間なので、いつも通りティーレと役割交代する時間帯に2人がいる部屋からドアを開け母がその輪にスッと入り父から受け渡され自分を抱えていた。そういえば、最近もう一つ意識できるようになったものがある。それはティーレの子供も含め家族の容姿である。例えば、今さっき父を注意したティーレがしっかりと抱えている赤ん坊と視線を合わせている。その子の姿といえば、少し明るい方に寄っている銀色の髪に青い眼、白い肌である。他は…おっと母もティーレの隣に移動して会話に参加するようだったのでまじまじと観れなくなってしまった。
「アルセーヌの目は、フィーゼニア人の特徴の青い眼になったわね。いくら王国の守護結晶の影響下で生まれたとはいえ、私のスペニーナ人の血を分けているから、赤い眼になっていたら迫害を受けるって知ってるから心配だったわよ。」
「心配しなくてもいい、どんなに混血で眼が赤くても、最悪紫の魔力を発現してくれるなら、我が王国は国民として認めてくれるから大丈夫だからね。それにアルスやアルフォースの2人は青い目だったのだからそこのところは何も問題ないって信じてたよ。」
「そう?そんなに私のこと信じてたの?なら嬉しいわ!!他はルブランやあの子達と同じ白い肌、私と同じ薄い赤茶の色の髪、それぞれの特徴がちゃんと出てる私達だけの子ってたぶん背丈が大きくなって歳を重ねても、すぐに誰の子かわかりそう…ウフフ!!」
「うん、そうだね。上の2人の子達には申し訳ないけど、彼らを市場にフィーゼニア人だらけのところに連れ迷子になってしまったらすぐには見つけられなさそう。ティーレは2人の容姿どう見えてる?」
「そうですね、アルス様やアルフォース様はフィーゼニア人全般に言える、白い肌、青い眼、金色の髪の特徴を色濃ゆく受け継いでますよね、そしてすくすくと成長していく度にセレス様のお顔に似て美丈夫になっています。」
「…うん?軽く遠回しに顔を貶されたような気がするけど、気のせいかな?」
「気のせいでございます。誰もいつも眠たげな目尻だったり、ご当主様にいつも振り回されかけるときはそんなに驚いて目が開けるのかってぐらい開いたりするだなんて思ったりしてなどおりません。」
「今言ったよね…おっと思わず口が滑ったみたいな顔して言ったよね!!うわぁーんセレス、ティーレがいじめて来るんだけど助けてー!!」
「あらあら、いつものことじゃないの?それにそんな目尻のあなただから、私に出会えたのよ。むしろ私はめんどくさがりなお顔に感謝してるわよ、愛しているわルブラン。」
「…なんかうちの奥様にいいように誤魔化されたけど、深くはその意味を考えないようにしとこう。私も愛ているよセレス。」
何だかその後の話の続きはとても胸焼けがしそうな会話だったのでご飯を食べてからすぅーっと意識を手放すことにして、寝ることにした。
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…今の自分は夢を見ているという感覚あるっていうことにわかった。あの最悪な事実からどのくらいもう経ったのだろうか。たまに目が覚ます数分前に悪夢として蘇返ってくるけれど、その代わりとして前世の言葉も掘り起こしてくれるので、モノと言語の繋がるヒントとして役に立っているので足し引きゼロになる。そしてこの世界の言語、少なくともフィーゼニア語は二ホン語っていうだっけ?それに聞く限りでは、近しい文法なのかなって自分の中で理解している。
ただ言語そのものに繋げるのには大変だ。それでもなぜか日を追うごとに赤ん坊には本能的言語理解能力っていうものがあるんじゃないのかっていうぐらい次々と言語を覚えていく。その感覚を言葉で表現するならば脳に突如として電流が色々なところに走っていくような形で最初はずーんという感じで抵抗感があるがなれるととても気持ちいいのである。そんなことを思い出しながら朝日を迎えるのである。
今日、目が覚めてこの世界のいつものティーレが自分の汗を拭くために体を拭いてくれる光景を眺めながら先程の悪夢について気持ちの整理をしようという閃きが突然現れた。…おい閃きさんよそこはティーレの美しい綺麗な銀髪や肌を眺めて見惚れるのが通常営業なのに邪魔するあたり下賤なやつだ。まぁいいやなんとなくだけど整理はしとこう。
自分の未来がどういったものになるのかわからない。前世の自分の名前や過去にもう一度観たいっていう心焦がれてた情景はどういったものかはなぜか思い出せないけれど、あの時の面倒ごとを理由に観れずに後悔を残したこの思いだけはこの世界に生まれてから今でも引きずられている。
だからこそなのだろうか?今度の自分の人生はどんなに面倒くさいと思っても観たいモノであるなら、後悔しない選択をしよう。その方針だけは心の奥底に誓うことにした。そんな決心をしたタイミングで、ティーレが作業を終えたのだった。…うん?なんか自分に向けてなんかこちらを見ている。どうしたんだ?
「セレス様、アルセーヌ様が急に真顔になった瞬間におもらししちゃいました…なんというか言葉が出ないです。また体を拭わないといけないと考えると疲れががいろんなところで節々に滲みでそうです。」
…あっごめんなさい。ティーレさんの子供の作業まであるのにまた手間暇増やしちゃっているあたり、悪ふざけとかやっているわけではないんですよ。いやほんとうにね。
「あははは!!アルセーヌが真顔でおもらしするなんて、可笑しくて笑っちゃうわ!!っていうかなにそれ真顔でおもらし…プっ!!ごめんなさい笑いすぎて集中できないから、あとのことはよろしくね?そのかわりクリスの面倒は見てあげるから」
「そんなぁ~?」
いやぁ~ここまで母に笑われると恥ずかしいという思いが吹き飛んでもはやすがす…ティーレに切れ目の眼で睨まれた、怖ぇ…!!
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