第2話 もう1度この光景を観れるなんて奇跡だ
…息が苦しい、誰かがこの暗くて寂しいが心地のよい暖かいトコロを後ろから押し出しているようだ。やだなぁもしかしてここは賃タイか何かなのか?だから何もハラってないから追いダされるのか?嫌だなここから出たくないなぁ。というかチン貸ってどういう意味だっけ?と色々と自分の上の部分がズンズンと勝手に考え出して痛くなってきた。そんな状況が続くとまた眠くなってしまった…
…今度はとてもうるさい音がマヨコからキコエテきた。うるさいなぁ隣に住んでいるやつ、それならこちらだって手はあるんだよ。サッソク行動にデた。上の部分を器用に動かして真上に速度を上げズツキをしてやったぜ!!そしたら今いるトコロがぶらりぶらりと全体が変に動き出してキタ。…うわぁめっちゃ気持ちワルイですけど。そんなことを考える途中でまたネムケがやってきた…
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…そんなことを繰り返していると今度は本気でこの暖かいトコロのヤヌシ的存在っぽいが怒ったようだ。後ろから今までより強く押し出してきた。…嫌だ、嫌だ、嫌だ。こんなイゴコチのいい場所をテバナシたくない。と抵抗してもそれ以上に押し出しが強くなってきた。ジブン、何か悪いコとしたっケ?いやむしろしまくってたな。例えば、ゴロゴロとゼンタイを左、右と回ったり、ヒマだから上下にえい!!と頭突キなどしてたからなぁと思い出していると、セマくて上の部分がちょっとだけ寒く感じるトコロまでやってきたようだ。
ムダだとわかりつつも最後の抵抗として上の部分を丸めてキョリをさっきのトコロから少しでも離れることにした…
…「嫌だここ、寒い、冷たいよ!!」
うん?今なんていった?ジブンなんていった?たしか嫌だここ、寒い、冷たいよ!!っていったよな…なのにウギャア!!だと?どういうことだ?あっダメ上に下にゼンタイを振らないで!!上の部分がグラグラしてイシキが保てなくなってしまう…
「〇○○○○だ…」
「○○○○〇ね…」「この○○○○〇にい〇…」
何か話し声っぽいものがキコエルがなんて言っているのかよくわんない、それに先ほどから上の部分が揺さ振られすぎて、気持ち悪すぎてもうこの後のイシキは残せないようだ…ただ一瞬だけだったが2つの薄肌色の部分が開きヒカリが入ってきた。そのヒカリに色が映るように上の部分が勝手に形をカエテくれたようだ。…思い出した!!この行動のことを見るっていうんだっけ?というかなんで今まで見るっていう言葉以外にも知っていたんだ?…まぁいいや、そんなことよりも今見えているものせいでナゼだがわからないが大泣きをしてしまった。それはもうギャン泣きである。ただイシキを逸らしていただけだと思うが下の部分があるっていうだけの現実なのに…そのあとは泣いて泣きまくったせいか力尽きて寝てしまった。
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それから明るくなり、そして暗くなるのをクリカエシてイクなかで少しずつだったが自我というものが認識できるようになった。また言葉も以前より思い出してココ?の言語との意味の結合がなぜか自然とできた、どうしてできたのかは考えても仕方がないので考えないこととする…個人的にはハズカシイ思いを感じたこともあったがあれに吸い付くと旨いとなるのは多分本能なんだろう。ムガムチュウになってしまう。
ついでに、少しずつだったがどうしてか忘れてしまった多くの言葉を思い出したのも…恐らく今、見えている人達が自分の新しい父や母の話す言葉を聴き続けたからなんだろう。そして自分がこの方々の子供だと考えると以前の居心地のイイトコロはこの母の中だったと考えるならなんとも申し訳ない気持ちでいっぱいである。…いやぁこれから体が大きくなったら母にはできる限り生んでくれたことに感謝できるような恩返しをしていこうと思う。
「あっこの子!!今まで眉間に寄るか泣くだけだったのに初めて笑ったわ。ルブラン!!」
「ほんとかい、セレス、!!なんだかそれだけでも感動するよ。」
「なぜだか乳母には搾乳以外では抱っこさせたり、育児を任せようとすると大泣きするし、だから私と何度も交互して搾乳させて大人しくさせたわよ。ほんと今でも大変よね。」
「いやぁ、長男や次男の時と違って注文が多いけど、どうやらやっと満足のいく料理が出てこちらとしてもほっとするね。」
「いや、その料理の準備やあれやこれをしたのは、私と役目を果たしてくれているティーレに感謝しなさいな、旦那様!!」
「はぁはー!!奥様方には常々感謝しておりまする!!」
「ブー!!その言い方、ふざけすぎ、罰としてあとでお義父様にあることないこと吹っ掛けて、また練習で乗り回されて酔いで吐いてもらおうかなー?」
「…それだけはご勘弁ください。いや本当に…」
「奥様、そろそろ時間です。アルセーヌ様がまた難癖多い注文をたくさんしてくる気配を感じますので…」
…お腹がヘッタ。この夫婦の漫才はいつまで続くのか分かんないので、そろそろ泣いてやろうと思ったのにやるな、ティーレ!!それにしても乳母として役目はもちろんのこと母と同じ、自分と同い年に生まれた子がいるのに専属メイドとして母の身に回りの世話もするあたりただ関心するばかりである。その代わりといってもいいのかわからないけど、自分のさらに後ろのほうでスピィーと寝息が聞こえてきた。多分、ティーレの子供が自分と一緒に育児をしているんだろうけどどんな姿なんだろう?少し気になるな。
…おっと、そんなこんなことを考えているとご飯の時間がやってきたようだ。
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「ねぇねぇ、アルセーヌって前世はなんだったんだろうね?」
「うーん、分かんないや、だって僕、ゼンセっていう言葉の意味わかんないから」
さらに時間が過ぎ去っていった。その過程の中で以前よりもまして、この世界の言語が分かるようになってきた。なぜなら最近、よく母や父、それにどちらが長男で次男なのかまだ分かってはいないが、兄達であるアルスやアルフォードがよく話けてくれるので自分は必死にその言葉を理解しようと努力したからである。またその副産物としてついでに思い出す言葉から一緒に自分は前世の記憶があやふやながら引っ張り出されるのである。
この前世の記憶に引っ張られるおかげでたまに脳が勝手に動き出しいくので頭痛が起きてよくわからず大泣きして家族を困らせまくったのである。…そして現在進行形で今も泣いているのである。
ただ今大泣きしているのは、それだけじゃないんだけどね…なぜなら、
歩行器で助けられていても、自分の両足で歩けているのだから。
こんなこと、あの時の背筋が凍えるような記憶の状態から振り返るともう1度この光景を観れるなんて奇跡だなって思う。ただ大地を歩く(今は床なんだけどね)だけなのに感動しまくりである。
「ねぇ!!父様、アルセーヌが笑っているのになぜか、大泣きしているよ。ヘンテコだよ。」
「うん、おかしな笑い方してーる。あははは!!」
…いや、事情を知らないからって兄様達、大笑いしすぎなのではないかと思う。そしてティーレ、じっと見つめすぎなのでは?ちょっとなぜかわかんないけど気持ち的に見つめられすぎて恥ずかしい。
「珍しく当主から頂いた古代の『歩行器』という子供が一人で歩けるようになるための道具の設計図をモーリス様がお祝い記念として頂いたものが、やっとの思いで形になったんですね。長子が生まれてから5年掛けて、古代文字の解読と具現化、おめでとうございます。」
…あっそっちのほうっすか。後ろの方で自分よりティーレに褒められ大泣きしてる父を見て、すっぅーとドン引きしてしまい涙が出なくなった。というかそんなにこれの制作に時間掛かったものってことに驚きである。
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