プロローグ
はじめまして、クリンって言います。
この作品に興味を持って頂き、読んで見ようかな?って考えてくれたことに感謝いたします。
またこの作品は自分にとって初投稿なのでもし1
度読んで頂き誤字脱字がありましたら、遠慮なく注意してくれると嬉しいです…それではどうぞ‼
……今まで見てきた世界なんて、こいつと出会わなかったら一生見ることなんてないと断言出来るくらい自分は一緒に山の麓の休憩所に隣で寝ている相棒に感謝している。
そしてこう思うのだ、齢70を超えれるかどうか分からないこの身ではどうしても最後までこの相棒と共に同じ景色を見て余生を過ごすことなんて叶うことはまずありえないだろうと……
ふと隣を見ていたら、いつの間にか相棒は目を覚ましていたようだ…隣で休憩所内の机に手記を置いて、自分は左手でこいつの頭の上を撫でてみる。
そうするともっと撫でてって言っているようにこの相棒は自分の膝に口を軽く擦り振っていて、なんとこの体長でその仕草をするのだから可愛らしく感じるのだ。
現在は曽祖父が残したあの手帳を手にしたあの時に言い放った言葉が今では口癖になり、そっと顎髭を触り顔がにやけ、心の中でその口癖を呟きながら先程机に置いた彼の手記の続きを右手で書き示している。
もうすでに自身には孫を見ることも出来たし、地位はすでに息子に渡しているから、後世に心配はほとんどなく、この最後の旅を心の底まで楽しむことになるだろう。
ただ心残りが他にあるとしたら息子達にこの目に焼き付くぐらい見直した彼と自分を繋げてくれた手帳を息子達に届けられないかもしれないという可能性が常に存在していることだけだ。
でもまぁ相棒がなんとかして届けてくれるはずだ。きっとその願いは叶えられるというなぜか分からない確信を秘めながら鞄に手記をしまい込んで眠りに着いたのであった…
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「わぁーい‼お祖父様からまた手紙が来たよ‼今度は珍しくあーすべるぅ?山脈の頂上近くで僕が今もっている、ピカピカ光る石を見つけたって一緒に送って来たぁ〜‼」
「アースベルク山脈です、坊っちゃま。ということは…当主様、前当主様はフィーゼニア王国から北西、帝国の国境を僅か3ヶ月で越えて更に帝国もやっと再発掘している最北端未開の遺跡、たしか帝国語でヴェスターナ近くの山脈にいるということですね。」
後ろを翻るといつも僕が周囲を意識しないと、大体気配を消していく執事クリス・グラハムと父様は珍しく表門の門番部屋までやって来ていたようだ…というか何2人とも足跡もなくいきなり近づかないでほしい、心臓が飛び出そうなぐらいにビビるから!!
「あぁそうだとも、クリス。私も一度親父に連れて言ってくれた…いや連行されたとも過言ではない。親父の相棒に怖い思いをしながら乗せられ、振り回されてもう胃から何か吐きそうな状態が数日繰り返したことを今でも覚えておるよ…」
「その時から当主様は『もうあんな高いところなんて行きたくないっ!!』って言って今では高い所を怖がるようになりましたね。」
「お父様、かっこ悪い〜‼お祖父様と一緒でルパンに乗せて貰ったけどあんなキレイな朝日を見せてくれるなんて、最高だったよ」
「おや?もしかして坊っちゃまの気質は前当主様に似てきましたかな?」
「冗談じゃない。将来親父みたいに私は息子によって振り回されてしまうのか‼」
「ですが、坊っちゃまが『観る』ことに関心があることは……」
「いや可能性は大いにあるがこれから先の準備もしないといけないわけで…」
なんだか2人で話が盛り上がって僕のこと忘れてしまったみたいでつまらないので、数日後にある僕にとって社交デビューになるパーティーの練習として大きな鏡がある部屋にまで移動してそこで自己紹介しようとした。
「僕の名前は……」と語ろうとした時に突然、雷鳴の如く響き渡る音は僕が住んでいる館近くの庭に土がえぐり取られたかのような大穴から出ており、その音の出処先に今までの経験から早めに気づいた僕は急ぎ足で館の中を駆け下りた…
僕より少し遅くやって来た僕らの執事が「坊っちゃま、危ないです。離れて下さい。」なんて言ってるがそんなこと聞かずに「お祖父様が早く帰って来たんだよ‼」と興奮しながら喋り急かしながら向かいにいく。
向かいに行った先にはいつもなら白の一角を持ち全体を淡いパープルの輝く鱗を纒い、漆黒の牙を見せつけてその巨体に合った上から下に薄くなっていくオレンジの双翼の膜、気分次第で彩りと形状を変える尻尾をもつお祖父様の相棒「ルパン」が鱗の輝きを失い全体的に傷つき、今にも意識を失いそうでおぼつかない足取りで僕に近付いてきた…
「ルパン…どうしたの?!それにお祖父様はどこにいるの?」
「gaaaa…OnnnN…」
「うん?背中を見ろってこと?…うぁぁ、お…お祖父様がボロボロだぁ…早く、早くお医者さん呼ばないと死んじゃうぅぅ‼」
「坊っちゃま…坊っちゃま……シャーロック・ド・フォンテーゼ様、お気を確かに、今係付けの医師をお呼びしますので冷静にその場でいて下さい。後からご当主様もここに来られるので…」
その先のクリスの言葉が耳に入らなかった…ただルパンが僕を勇気付けるかの様に顔を舐めてきた…めちゃくちゃ口臭が臭くて気を悪くしそうだったけど、この時はルパンにありがたいと思った…
「親父…何があったんだよ⁉あんたの自慢の相棒が鱗と翼をボロボロにして、必死になりながらもこの屋敷に辿り着いたのに数日も意識を失うとか…いつもの元気な姿を見せてくれよぉ!孫があんたの笑ってるところ早く見せてやってくれ…頼むから…」
お父様がお祖父様の寝ているベットの横で彼の右手を握りながら泣き叫んでいた。あんなお父様を見るのは初めてで普段なら感情表現が苦手でものぐさな男の代表格なのに、やる時はやるとクリスやお母様、それにたまに家にやって来るお父様の友人達の評価だった。
僕はそんなお父様を眺めていると、左隣にゆっくりと音立てずにやって来たクリスが僕の耳に近づいて小さい声で話かけて来た。
「シャーロック様にお渡したいモノがあります。」
「それって今重要なことなの?」
「はい、これは前当主様よりの意向であります。」
「お父様にも秘密の話?」
「まずはこのような事態になったらシャーロック様にと旅立つ前に仰ってました。」
…そっとクリスが僕の左ポケットに入れたそれは、すぐにポケット上を触って見た感触的に1枚の手紙だけだった。ただその中身を読む前にお母様が部屋からやって来たタイミングで入れ替わり、僕の部屋でその中身を見ると、たまにお祖父様と暗号遊びをしてたのふっと笑いながら思い出す。
ただその内容を解いて行くと、『ルパンの背鞄にフォンテーゼ家のすべてを託してある』と書いてた。
解き明かした後、すぐに、ルパンがいる庭園前に走って背鞄にたどり着いた。
………呆れてしまった。その中身に入っていた手帳と古びてボロボロになった手紙を読んでみてそう思う他ないのだというぐらいにの気持ちになった。そんな僕はお父様やお祖父様がいつも愚痴を言うような口癖をマネして「面倒くせぇ…」とそう呟いてみたのだった。
お読み頂きありがとうございますm(_ _)m
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