─スライムが生誕しました─
ここはごく普通の異世界。
人がいて、モンスターがいる。
モンスターは人を脅かし、人はそれと戦う。
優れた者は冒険者と呼ばれ、それを超える者を「勇者」と呼ぶ。
モンスターの頂点が魔王であるが故に、冒険者達は魔王を狙う。
魔王がいなくなった所で、モンスターがいなくなる訳でも無いのに。
「ここは…?」
また新しいモンスターが生まれたようだ。
だがこのモンスターは、他のモンスターとは違うようだよ?
「ステータス?」
不自然にそこに存在する ステータス と書かれたボタンをそのモンスターは押した。
「なんだ…これ…?」
|あなたは怪物種 【粘状の怪物】です|
|ステータス|
Lv1
HP20/20 SP500/500 攻撃10 防御20 俊敏20 魔攻30 魔防20
|スキル|
粘波: 粘質の波動を放つ。身動きが取れなくなり、相手の行動を封じる。ダメージも与える。
消費SP20
ここで彼は自分が何なのかを知る。
モンスターは本来、この行為が出来ない。
何故なら、人間であればその考えを持っていて当たり前の考えをモンスターは持ち合わせていないからである。
だがたまに、それを持つモンスターも生まれる。
その中でもこのモンスターは、雑学も兼ね備えている珍しいモンスターのようだ。
これは面白くなるんじゃないかな?
「俺が、スライム?あの The弱い のスライム?いやいやいや、そんな訳ねぇよな。」
そういって彼はもう一度ステータスのボタンを押す。
当然だが、ステータスはスライムのまま。
「本当にスライムなのか。………スライムで、強くなりゃいいんだよな?いいぜ、やってやろうじゃねぇか!」
ね?言った通り。やっぱり面白いことになった。
強くなると言ってるけど、どうやって強くなるつもりなのか、興味しか湧かないよ。ラプラス君も解説をやめて。彼自身のこれからを見てみようよ。
─はい、わかりました─
「強くなるって言ったら、まずはレベル上げだよな。」
そういって周りを見渡した。
そしてある光景を見て、愕然とした。
「スライム狩りだぁぁぁ!!」
そう大声で叫んでいる人間がいた。スライムが冒険者と戦っていたのだ。
別にその光景自体はなにも不思議では無かった。
(今日すげぇ夢見たんだよ。なんかさ、あれだよ、あれ、えーっと、あれだって!わかるでしょ?)
(知らねぇよw)
そのスライム達は、脳内で会話をしていたのだ。
そう言うより、特定の種族間にだけ伝わる音波(?)で会話していた。
内容もあり得なかった。休み時間の中学生のような会話だった。
目の前に冒険者という敵がいるというのに。
(こいつら…自分が倒されるということが…分かってない…!?)
その時、初めて普通のモンスターと自分は違うと分かった。
その驚くべき事実を知った時も息を潜めていた。見つかって倒されるような終わり方をしたくなかったからだ。
この時、生まれてから30分程しか経っていなかった。
「スライムって、別に移動が遅い訳じゃ無いんだな…しかも、移動するとき音が立たなかったし…」
なんて発見もあった。
冒険者が遠くに去ってから、ため息を溢した。
「俺はまだこの世界のことばかりか俺自体もはっきり分かってない…強くなるより先に情報を集めるべきだな…」
そういってもう一度ステータスを開く。
レベルが1なのにSPが500というのは多いのではないかとか、スライムは魔法型なのかだとか色々な疑問点はあったが、それよりも目に留まる項目があった。
「アビリティ…?」
すかさずアビリティと書かれた項目を選択する。
|アビリティ|
高速移動 特化技捕獲
「固有技能ってやつか…?というかやっぱり移動速度は速くなってたのかよ。」
そう笑うと少し緊張が緩んだ気がした。
「高速移動についてはわかったけど、特化技捕獲ってなんだ…?」
─それは、私が解説しましょう─
「だ、誰だ!」
思ったより凄く時間がかかりました。小説家やライターの凄さが見に染みるようにわかりました。活動報告でも言っていますがリアル優先でやっていきますので、更新が遅くなることはご了承下さい。