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異世界道中のお道具屋さん  作者: 一色創
第一章  普通でない日常の始まり
29/66

第26話 『――――イヤだ』

前回同様、今回も少しばかり長いです。

※また演出上、書いている途中でどうしても止むを得ず、三人称ルミーネ視点を所々に介入させてしまっている場面があります。一人称イトバ視点との切り替わりでややこしくなられたり、違和感を感じられる前に、先にここでお詫び申し上げておきます。

 俺は全身全霊で、無我夢中で大地を駆ける。

 何か策謀があるわけではない。勝機を見い出しているわけでもない。

 ただ……俺の信念を貫くため、俺の“普通”な日常を守るため、そしてそれを脅かそうとしてくるあいつを一発ぶん殴るためには。

 今はただ、間合いを詰めなければならないと、直感的にそう思ったからだ。


「…………っ!」


 ルミーネの方向からまたしても光速の“何か”――風の弾丸が、草根を掻き分け、地をえぐる。

 しかし今度は、先程よりもさらに勢いを増し、大地もろとも俺を飲み込まんとするかのように猛進してきた。

 二度目とあってか、その一瞬間での判断に迷いはなかった。

 俺は全力で横合いに身を投げ出して転がり、間一髪のところでなんとかそれを回避することに成功する。


「……ッ」


 回避した刹那せつな――発狂したようなうねりを上げる烈風が通過し、周辺の草花を紙吹雪の如く蹴散らしていった。

 受け身が下手くそなせいで、固い大地に打ち付けた体に鈍い痛みが走った。……が、今は脳内でアドレナリンがドバドバと過剰分泌されているせいか、その場でうめいて膝を折るようなことはなかった。

 俺はまだ戦える――。だから次の攻撃に備えるため、俺は直ぐ様体勢を立て直し、同時に“次にどう動くべきか”という思考を即座に巡らせる。

 相手の行動の先の先――いや、そのさらに先を読むように。


 そうでもしないと俺は……俺は、本当に、一瞬でも気を抜いてしまうとヤツに殺されてしまう。


 彼女ヤツが『エルフ』であることと、中央大陸の『オーティマル王国』に籍を置く“放浪魔術師”――。

 以上の二点に加え先程からの攻撃……それから大体の雰囲気で察しはついていたが、俺とヤツの力の差は歴然。こと“魔術”に関しては蟻と象――もしかすると、それ以上かもしれない。


 だから俺は、思考を止めた時点で“負け”が確定すると思っていた。

 だから俺は考え続けた……。

 一分。一秒。一瞬。“今”を生き抜くにはどうすべきか――。どうするのが最善の選択なのか――。


「…………」


 つー……と、一筋の汗がこめかみから頬へ伝ってきた。

 呼吸を整え、ルミーネに焦点を当て直そうとした直前、俺はふと横目で隣の惨状を確認する。気になってしまったのだ。

 そしてチラリ、と惨状を目の当たりにした――――その時、俺は驚愕きょうがくで全身がおののいた。


「……!?」


 約五十メートルに渡り、草地を根こそぎひっぺがしたような、荒々しい惨状――。

 汚く染まってしまった蒼色の絨毯じゅうたんの上をさらに覆い尽くすように、粘度の濃い土色が惜し気も無く顔を出している。

 そこにあったのは、正に“地を抉る”といった表現に似つかわしい光景に他ならなかった。


 そんなことは知っていた。分かっていた。

 では、なぜ総毛立つほど身震いしたのかと言うと、



 ()()()()()()()()()()()()()()()――――。



 ……そんな、嫌な想像。

 それが僅かに脳裏をかすめてしまい、現在“命懸け”で戦っているという認識を強められたからだった。


 ――と、



「おいおい。命を賭して戦う勝負事で余所見よそみをするとは……随分と余裕じゃないか」



「な――――」

「無駄だ」


 視線を元に戻す――には遅過ぎた。

 ルミーネが言葉を最後まで言い切る前に、遠く向こうからパチン! と、乾いた音が鳴り響いたと思ったら――。


 振り返ると、蛇のように細長い、雷光のような青白い閃光が宙を舞踏していた。

 そしてその雷光は、まばたきするよりも速く俺の眼前に迫り――――脳天に直撃すると。

 バチチチッ! と火花を散らした。


「ウグッ――――!!」


 脳内に侵入した電流はそのまま俺の脳内を駆けずり回ると、後頭部へと突き抜けた。

 残滓ざんしとして残ったのは、脳を針で直接刺されたような、鋭い痛み。また、電流が貫通した後、脳内は徐々に熱を帯び始め、やがて焼け焦がされる感覚に近い炎症もともなった。


 終わった……と思った。


 あれだけ“一瞬たりとも気は抜けない”と言っておいた矢先にこれだ。おそらく、俺は脳を電熱で焦がし尽くされ、殺されたのだろう。

 あまりにも呆気ないものだった。――――“死ぬ”、というものは。


 ああ、ちくしょう……! チクショウ……ッ! チクショウがァァ……ッ!!


 衝撃で、身体が後ろへ仰け反る。丁度映画やドラマなどで、脳天を銃弾で撃ち抜かれた時みたく。

 視界が、これから旅立つ彼方を映し出していた。――が、それはかすんでいて、ぼやけていた。


 最期ぐらいは……せめて最期ぐらいは、まだ何物にも汚されていない、この美しく完璧な情景を目に焼き付けておこう……。


 そう思い、俺は固く両目をつむり、視界を深黒の“無”に閉ざした。


 父さん、母さん、フランカ、みんな――――ゴメンな、と。


「…………………………………………」




 ――――が、しかし。


「…………………………ん?」



 ――――何も、一向に、変わらなかった。



 身体は仰け反った体勢のままで、脳内の痛みも……痛みも…………すっかり消え失せていた。


「…………?」


 もしかすると、これが“死”ってやつなのか……?


 妙な疑問と不思議な違和感にとらわれ、俺は閉ざされていた視界を、恐る恐る、薄っすらと開けていくと、


「――――――――」


 生きていた。

 死んでなどいなかった。

 これから死ぬことも……多分なかった。


「えっ……」


 美しく完璧な青空は、相も変わらず、そこにあり続けた。

 聴こえ、匂い、味わい、感触がして。心臓が動いていて。脳は焼け焦げているわけではなさそうで、ちゃんと正常に働いていて――――。


 とにかく、俺は生きていた。


「…………」


 ゆっくりと身体を起こし、俺は間抜けた面構えで正面を見やる。

 と、その視線の先にいたルミーネは、


「……………………」


 俺以上に呆けた面構えで、いぶかしげに眉根を寄せていた。

 ありとあらゆる感情が交錯し、い交ぜになっている様子がうかがえる。それは今日、ルミーネが初めて見せる表情だった。

 文字通り、はとが豆鉄砲でも食らったように。


 あ、今――――。


「――――ッ!」


 目と目が合い。

『チャンスだよ』と、その時、意識の裏側に内在している誰かに耳元でささやかれたような気がして……。

 ハッ、とそこで俺は途端に我に返り、次の瞬間にはもう既に地を蹴り付けて走り出していた。

 一瞬――その奇跡的に生まれた“隙”の間に滑り込むように。


「――――ッ!?」


 俺が走り出したことに気付いて。

 ルミーネも我に返ったのか、弾かれたように手を前にかざすと三度みたび、光速且つ鋭利な“風”の刃をこちらに向けて射出した。それも二連続で。

 随分と頭は冷静さを取り戻していた。二度の経験もあってか、初撃は身を屈め、二撃目は横っ飛びでぎこちなく回避し、再び転がるようにして走り出す。


「くっ……!」


 ルミーネは顔をしかめる。

 尖った眉は明確な苛立ちを表し、先程までの悠然ゆうぜんとした態度がまるで別人のように思えてくる。

 それほどまでに、今のルミーネには二面性を操る余裕さえも無くなっているのだろう。


 これ以上の“風”攻撃は無駄だと判断したのか、ルミーネは突き出していた片手を素早く引っ込める。

 そして――



『天上の御神おんみよ。――――契約の元、弱き者に救いの手を』



 握った拳を胸に置き、僅かに瞑目めいもくし――開けると、その拳をまたも前に突き出した。

 すると、


「!?」


 眼前で目視したのは、青白く眩い光を放つ数多の閃光。

 それはルミーネの周囲を雑然と取り巻き、雷電の如くほとばしった。


 “人は飛び抜けた恐怖を感じると寧ろ笑ってしまう”と、何かの本で読んだ記憶がある。

 ……今の俺が、正にそうだった。

 不覚にも、俺はその神の御業みわざとも思える幻想的な情景を前にして身震いし、“美しい”と感じてしまったのだ。


 やがて、意思を共鳴させたかのように一つの渦となったそれは、力を緩めたルミーネの拳の内側へと徐々に集束していき――。


 パキキキ……! とけたたましい叫声きょうせいにも似た高音が周辺に鳴り渡り。空気を震撼させ。

 直後、体毛一本から感覚そのものをむしばむ“何か”が、蒼色の大地を這いずり回り、そして俺の頰の皮一枚に到達すると、触れ――。


 その全ての温もりを、奪い去った。


「――――()()()()

「――ッ!!」


 肌を刺すような冷気。

 ルミーネとの距離が凡そ十メートルまで縮まった時、そこから明らかに肌で感じる空気はガラリと様相を一変させた。

 それは比喩的なものでも何でもない。暖かな陽気に包まれ、さらに激しい運動と緊張によって俺の全身からは大量の汗が噴き出ていたのだが、それが唐突にピタリと治まり、毛穴は収縮した。


 マ、ズ……ッ!!


 これはヤバい、と脳が直感的に警鐘を鳴らし、身の危険を告知した。

 決して曲がることなく、一直線にルミーネの元へと全速力で疾駆していたため、その加速した一矢たいくを減速させるのは容易ではない。

 ……が、そうとも言ってはおられず、死神はすぐ隣で息をひそめている。

 ならば勢いをそのままに、と俺はズザザザザ!! と両足で急ブレーキをかけつつ、無理矢理横合いに飛び込んだ。


 ――――その直後。

 パキキキキキキ……ッ!! と耳をつんざくような甲高い音を引き連れた氷塊ひょうかいが、俺の背後をかすめ取っていった。


「……ッ!!」


 ゾッと背筋に悪寒を感じ――が、のんびりと背後を振り返るわけにもいかず、攻撃は間を置かずに次々と繰り出された。

 その度に、俺は下手くそながらも草地を転がり、すんでのところで回避し続けた。


「おいおい、先程までの威勢はどこへ行ったんだ? ん? 命を賭して私から日常を守るのだろう、貴様は。――だったら、ちょこまかちょこまかと醜い小動物のように逃げ回るばかりではなく、少しは攻撃の意思を見せたらどうだ……!」


 叱咤しったし、ルミーネは片手をぎ払うと、威力の増幅した“氷”攻撃を容赦なくこちらに叩き込む。


 チッ、うるせぇな。それができるならとっくにやってんだよ……!


 攻撃を回避しつつ、俺は胸裏でそんな悪態をつく。


 数週間前に読書した書物によれば――『霊聴種エルフ』(または『聖聴種エルフ』)の特筆すべき点はやはり、そのどの種よりも圧倒的に秀でた“魔力量”らしい。

 寿命も数百年単位と長く、『霊聴種エルフ』の幼少期に当たる二十~三十歳前後から、“魔術”に関しての才能は他の種と比べても群を抜いており、昨今人気を博している職業――『魔術師』の大半を占めているのも『霊聴種エルフ』だと言う。

 ちなみに、“魔力量”は生まれつき、男性よりも女性の方が膨大な魔力マナを有しているらしい。理由は不明、と書かれてあったが……。


 対してこちらは――武器ちからも無い、知恵も無い、“魔力量”だって他の種と比べれば平凡以下の『人間種』。

 そんな貧弱で丸腰同然の凡才オレが、たった拳一つのみで、どうやって天才ルミーネと互角に渡り合えと言うのだろうか。


 ルミーネは敢えてこちらを挑発しているだけかもしれないが……けれど、確かにこのままではらちが明かないことは事実だ。

 何かルミーネに打ち勝つ有効的な策を講じなければ、体力のジリ貧でいずれは俺が倒れて御陀仏おだぶつになる。そんな最悪な結末だけは、何としてでも避けたかった。


 俺の魔術は子供騙し程度で攻撃アテにならないし、ただでさえ少ない魔力マナを浪費するだけ――ああクソッ! 何でもいい……何かないのか……ッ!


 その時、生まれて初めて『人間』という生き物の脆弱ぜいじゃくさに腹立たしくなった。

 走りながら俺は、苛立ち紛れに服のポケットに手を突っ込むと、そこを乱暴にまさぐり始める。


 そこに何も無ければ、現状を打開する活路は絶たれたに等しかった。

 だから、何かあってくれ、頼む、と――。

 天に祈り、一縷いちるの希望にすがりつくように、それは人間の醜い諦めの悪さを象徴していた。


 けれども、それしかできなかった。

 なぜならそれが――『人間』という生き物の唯一無二の取り柄だから。


 ――と、


「!!」


 見つけた。


 どうやら幸運にも、祈りは聴き入れてもらえたようで、俺の指先に触れたのはひんやりとした固い感触。――二つ。

 その二つの固い感触が、どれだけ俺の心中を明るく灯す“希望ひかり”となったか、当人の俺自身でさえ計り知ることはできなかった。


 ――“感触”の正体は既に知っていた。己の分も弁えていた。

 故に閃き、ルミーネに打ち勝つ有効的な策を即座に講じることに成功した。


「――食らえッ!」

「!?」


 次の攻撃までのタイムラグが生じた一瞬を見計らい――俺はポケットから素早く手を出すと、ルミーネの方に向かって、その二つある固い物体の内の一つを思いっきり投げ付けた。

 それは『パーピーゲスのタマゴ爆弾』と呼ばれるもので、半径約五メートルの円状に渡ってカラフルな“煙幕”を発生させるという、子供の遊戯イタズラ商品の一つである。

 俺はこういったオモシロ商品を見つけては、時たまポケットに入れて持ち歩いていたので、今回はその“癖”に一生を得たと言っても過言ではないだろう。


『キーキキキキキキーッ!!』


 野球ボールより一回り小さな体躯を持つ鋼色の球体は、緩やかな放物線を描きながら、予定通りルミーネの手前まで飛来する。

 ルミーネはその飛来物にいち早く気付き、もう片方の手で薙ぎ払おうとするが――既に遅く。

 クルクルと高速で回転する球体の表面に描かれているのは、愛嬌あいきょうに溢れた優しい笑顔。そのにこやかな口元が突然、裂けんばかりに吊り上がり、悪魔めいた嘲笑を奏でると、


「――!?」


 着地し、跳ね返った衝撃でボムっ! と爆発した。

 周辺一帯に多色の煙が一気に充満し、ルミーネの眼前に“煙幕”という名のとばりが下りる。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「クッ……! 小癪こしゃくな真似を……ッ!」


 風が吹き――。煙の流れは徐々にルミーネの方へと偏りつつあった。

 このままでは煙の餌食えじきになってしまう、と危惧したルミーネは、自分の身体が覆い尽くされてしまう前に、まずは“風”の魔術を用いて曇った視界を晴らそうと試みる。


 ――と、その時。

 ルミーネは視界の端に、チラリ、とほんの僅か、何かの影が動くのを捉えた。

 ルミーネはそれを見逃さなかった。


「――――そこかッ!」


 神経を研ぎ澄まし、耳をそばだて、次に何らかの気配を感じ取った刹那――その方向に寸分の狂いも無く、ルミーネは鋭利な烈風を叩き込んだ。

 繰り出された烈風はいとも簡単に濃霧を切り裂き、障害物と接触したのか、かまびすしい音を立てる。

 また、烈風の風速が凄まじかったためか、烈風の通過した軌跡から次第に煙幕は霧散していった。


 すると、ルミーネの晴れた視界の先には、


「――!」


 いつの間にか、“氷”の魔術によって大量に形成されていた氷の道筋。それと、その道筋の上から幾本も突出している氷の槍。

 その内の一本――つい今し方、『パーピーゲスのタマゴ爆弾』が飛来する直前に形成した氷の道筋が烈風によって大破していた。

 さらに、その隣では――


「ゼェ……ゼェ……。…………ハイ。これで、俺の魔力マナはすっからかん……ですよっと……」


 純朴で透明な色をした棒切れを、血のにじんだ裂傷だらけの両手で真横に持ち、両足をしっかりと地に付けて踏ん張っている“アイツ”がいた。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 肩で息を切らしつつもニヤリと笑っている俺とは対照的に、ルミーネの表情は強張り、訝しげに眉をひそめている。


「……攻撃を受け止めた、だと……? 氷の槍の先端を咄嗟とっさに手で折り、強化魔術で強度を上げた氷柱それで先程の烈風をいなした、と。……そう見受けられるが?」

「ははっ、御名答。……ああ、言い忘れてたけど、俺は強化魔術が大の得意分野でね。……ってか、今はそれぐらいしか知らないしできねぇんだよ」

「ほう。それはそれは……」


 俺の言葉を受け、ニヤリと、ルミーネは興味ありげに口端を吊り上げた。


「――――ならば。尚のこと貴様を殺しておかねばなるまいな」

「ヘッ、やってみろよ天才エルフ。これが凡才にんげんの悪足掻きってやつだよ――――ッ!!」


 晴れ渡った青空の下、その一言を皮切りに戦闘は再開された。

 相変わらず、俺は彼我ひがの差約十メートル程度の間隔を空けたまま走り続け、ルミーネはそれを追うようにして、延々と“氷”の魔術を出し惜しみなく繰り出してくる――。


「遅いッ――――!」

「ッ!?」


 危うく足元をすくわれかけた。

 今し方、俺の体内に宿っている『魔力マナ』のほとんどを使い果たしてしまったため、どうも身体が倦怠感けんたいかんに近い感覚に見舞われ、全体的な動きが鈍くなりつつある。実際に俺は、肩で大きく呼吸を繰り返し、もはや気力のみで動いている両脚の筋肉ははち切れそうで、今にもひざから崩れ落ちそうだった。

 そろそろ限界か、とあごまで伝ってきていた汗をぬぐい、俺はふところをまさぐると例の“煙幕爆弾”に触れ、最後の頼みの綱であるそれを再び投げようと――



「まったく。芸の無いヤツだな」



 ……投げることは叶わなかった。


 気付くと、手中で固く握った爆弾を投げるモーションのまま、俺は一切の身動きが取れなくなってしまっていた。

 これは、遂に凍死してしまったからではない。原因は他にあった。


「…………っ!」


 自由の効く顔を下に向け、足元を確認すると――――俺の右腕と左脚が、地から伸びたツタのようなものに絡め取られていた。

 いや、厳密にはそれはツタではなく、一部の若々しい青草が異常なまでに成長した姿だった。

 ……何にせよ、小動物の如く無造作に走り回っていた俺は、ルミーネが仕掛けた罠にまんまとまり、完全に捕縛されたということだ。


「同じ手が二度も通用すると、本気でそう思ったのか? だとすれば……貴様は救いようのない愚か者だな」


 彼我の差、約十メートル。

 その差を、ルミーネは元来の悠然とした調子を取り戻しながら、ゆっくりと歩み寄ってきた。


「追いかけっこはもう止めだ。流石に私も、ただ怯えて逃げ回るだけの臆病者を相手にするのは飽きてきた。……だから終わりにしよう。――さあ、青年。私の目を見ろ。目を見るんだ」


 彼我の差、約七メートル。

 静かに語り紡ぐルミーネは、今や目と鼻の先にいて、俺の方をじっと見据えていた。


「…………!」


 彼我の差――約三メートル。

 見ないでおこうと、見ちゃ駄目だと、分かってはいた……。

 そんな当たり前のことをわざわざ理解して、己に何度も言い聞かせているにもかかわらず、身体は素直にルミーネを目視しようとする。

 結局、融通の利かない身体に根負けした俺は、正面からルミーネのレモン色の瞳をガッチリと凝視してしまう。


 ――――転瞬。


「――――ッ!!」


 本日、二、三回目の頻度で経験しているこの感覚。

 脳を針で直接刺されたような、電流が脳内を駆けずり回るような、そして脳内が徐々に熱を帯び始め、やがて焼け焦がされるような……そんな感覚。


「「!!」」


 バチチチッ! と火花を散らすような音がして。

 雷光が迸り、側頭部を鈍器で殴られような強い衝撃が走る。


「…………」

「……!?」



 が。

 ()()()()()()()()()()()()()



「クソッ、一体どういうことだ……!? なぜ貴様には“精神干渉”の魔術が一切通用しない……! 『人間種』如きの貴様に、阻害できるすべがあるはずなど……!」


 眼前のルミーネは酷く動揺していた。

 焦燥感を露わにし、その声音には苛立ちも多分に含まれていたが、俺にはそれよりももっと、“信じられない”という驚愕の念の方が濃いように思えた。

 何が何だかよく分からないが、とにかく、この再び生んでくれた“隙”を生かさない手はない。


「……チッ。さっきからバチバチバチバチ、痛ってぇんだよッ!!」


 がなり――それとは真逆に力を抜くと。

 パッ、と手中で固く握られたままだった爆弾が手から滑り落ち、後は“重力”という名の自然の摂理にお任せすることにした。


『キーキキキキキキーッ!!』

「な――ッ!?」


 胸糞の悪い下卑げひた笑みを浮かべるイタズラ爆弾は、先程と同じく地面で跳ね返ると――。

 ボムっ! と爆散し、もう一度周辺一帯に濃霧を張り巡らせた。

 ほぼゼロ距離にいた俺とルミーネは言わずもがな、それにすっぽりと覆われ、飲み込まれてしまう。


「――ゴホッガハッ!! ああ、クソがッ! どこまでいやしければ気が済むんだ! 姑息な手法ばかり使いおって!!」

「はっはっは! ザマァねぇな! 残念ながら俺は、いつか生活を脅かしかねない“厄介者チンピラ”が『LIBERAリーベラ』を襲撃してきた時の対処ぐらいはできるように、それなりの護身術は日々学んでるんだよっ!!」


 咄嗟とっさの判断だったが、僥倖ぎょうこうにもルミーネの不意は突けたらしい。

 俺は若干束縛の緩まったツタを力尽くで振り払うと、ボロ雑巾のような体躯を無理矢理横合いへ引っ張るように、走り出した。が、


「……それに、先程も言ったはずだぞ。有効的な手段が通用するのは――――」


 風のそよぐ音、羽虫の羽音、どこかで水滴がしたたり落ちる音、さらには生命の息遣いまで――。

 おそらくまなじりを細め、鋭敏な神経をさらに研ぎ澄まし、ルミーネはそんな些細ささいな音までをも聞き分けようとするほどの集中の域に入っているようだ。

 対して俺はルミーネを一発ブン殴るため、そして最後の賭けに勝つために、所定の位置までなりふり構わず全力疾走する。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 ――視界の端で、影がうごめいたのは一瞬のはずだった。


「――――()()()()()と!!」


 だがしかし、明鏡止水の境地へと至っているルミーネをあざむくことなど到底不可能で、無謀に等しい。

 ルミーネは、そこへありったけの『魔力マナ』を練り込んだ、自分の体一つ分ぐらいの大きさを誇る“風”の弾丸を撃ち込んだ。方角の誤差は、精密な機械の正にそれだった。

 そのあまりの風速と風圧に、視界をふさぐ濃霧など“目くらまし”の用途すらまともに全うできていない有様で、言わば“子供騙し”だった。


 ……勝った!


 その瞬間に、確実な勝利の手応えを感じるルミーネ。

 遮るものなど、もう何も無かった。


 視界は段々と、段々と晴れていき、そしてそこに――


「――――!!」



 ――そこに、()()()()()ことをルミーネは目撃した。



「……ッ! ま――――」


 ま・さ・か――――――――ッ!!


 ルミーネは頭で理解するより、ほとんど反射的に“反対”の方向へ振り返ると――――そこに。

 彼我の差――ほぼゼロ距離メートルで、右の拳を鉄塊のように固く握り締め、雄叫びを上げながらルミーネの間合いに突っ込んでくる“アイツ”がいた。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「ルミーネェエエええええええええええええ――――ッ!!」

「!!」


 俺は、牙をき出しにした一匹の獣だった。

 地べたを這いつくばり、泥水をすすり、それでもたった一滴の鮮麗な血を得るために、敵の喉笛へ何度も喰らい付こうとする……。

 そんな、諦めの悪い獣だった。


 だから俺は、血に塗れたボロ雑巾の身体を引きり、ルミーネに渾身こんしんの一撃を繰り出すため、これでもかと歯を食いしばる。


 ――が、現実はそんなに容易たやすく甘いみつを吸わせてくれない。


 ルミーネも本能的な無条件反射だったのだろう。

 体を半回転ほど振り返らせていた状態から、片足を使って俺の拳を横っ飛びに回避しようとする。

 これだけの窮地きゅうちに身を追いやられても尚軽やかな身のこなしができる、というのは流石さすがと言うべきか、敬服に値する他ない。


 また、ルミーネは回避すると同時に反撃カウンターとして、俺の存在をこの世から抹消しようと、手で薙ぎ払おうとする。


「!」



 瞬きすることさえ赦されず――――。

 ルミーネから向かって左側、前方の斜め左の世界が消し飛んだ。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「ハァ……ハァ……」


 やってしまった、と思わず力の加減をし損なった己の失態を悔やむように、ルミーネは強く唇を噛んだ。

 ルミーネは軽く息を切らし、派手に壊滅した大地をしばし呆然と眺める。

 レモン色の瞳には土色しか映えず、先程までそこにあったもの全てが跡形も無く消失していることは言をたない。


「……アイツ。この一手のために、毎度毎度同じ方向に逃げ続けていたというのか……。私の攻撃が無意識にそちらへ向くように仕向け、誘っていたと……?」


 ……………………。


「フッ――――」


 悪くない手だ、と言いかけたが、ルミーネは慌てて口をつぐむ。


 まあ、何にせよ。

 世界の均衡きんこうを崩しかねない“危険”な邪魔者を、この世界から一人排除できたことに変わりは――――



()()()()()()()()()()()



「――――!?」


 ルミーネは刹那的に己の耳を疑った。

 まさか。有り得ない、と。

 背後――そこから、つい先程頭の天辺から足の爪先まで木端微塵に消し飛んだはずの人物――“イトバ”の声が聞こえるなんてことは。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「――ッ!!」



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 おそらくルミーネは信じられないだろう。

 その瞳でしかと見届けた俺の“死”が、まさか嘘だったなどと。


 だから、もう一度言ってやった。


 ――()()()()()()()()、と。


 その存在を知らしめるように、誇らしげに語るように。


「く、そ――――ッ!!」


 手で背後を振り払おうとする傍ら、現状の理解に頭が追い付いていないルミーネは脳神経をフル稼動させて考察するだろう。

 ――なぜ、アイツはあの一撃から身をかわせたのか、と。そしてどうやって背後を奪えたのか、と。


 やがて、ルミーネは気付くだろう。

 自分の足元――先程“オレ”がいたその草地が、僅かに湿っていることに。



 そこで、天才である“ルミーネ”であれば必然的に、一つの結論へと辿り着くはずだ。



「――――『()()()()』かァァ……ッ!!」

「正解。奥の手ってのは……最後の最後まで明かさないってのが定石だろ?」

「イトバユウゥゥうううううううううううう――――ッ!!」

「――――もう遅い。俺の勝ちだッ」


 再度、彼我の差――ゼロ距離メートル

 しかも今度は、俺が既に拳を振り上げている状態だから、ルミーネの対処が間に合わないのは明白だった。

 後は、振り下ろすだけ――。

 最初は絶望的だった俺の“勝ち”は、無い知恵を振り絞り、無い『魔力ちから』を精一杯働かせ、貧弱な凡才なりに頑張って、ようやく手の届くところにまで手繰り寄せることができた。


 俺は、ルミーネに勝ったのだ。


「うォおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」


 大好きな人たちを守るため、愛すべき居場所を守るため――。

 そして、大切な日常を守るために。


 俺はその“想い”を拳に乗せ、総身の力を込めて、思いっきり振り下ろした。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「終わりだ」


 ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……。


「……本当に勝つつもりでいたのか? この私に」


 ……ハァ……ハァ……ハァ……ハァ。


「まぁ、確かに……惜しくはあったな。最初に煙幕を張って姿をくらました時――障害物にぶつかって威力が半減した私の攻撃をお前が氷柱で受け止めたあの時、敢えてあんな台詞を吐くことにより、お前は私に“魔術がもう使えない”という意識を植え付けさせた。実際は、後の代替魔術を使えるだけの余力は残していたのだろうな……。まったく、小粋こいきな」


 …………あ、れ…………。


「それから一定方向に回避し続けることにより、私の意識をそちらへ上手く誘導させた。私はまんまとその思惑に嵌まり、お前の張った二度目の煙幕で思わずそちらへ過敏に反応してしまい、何も無い虚空へと攻撃を放ってしまった……」


 …………なんで、おれ…………。


「その隙を見計らい……煙幕の中で身を隠していたお前は、私が親切にも地面から生やしてやった幾多もの氷柱を素材に代替魔術を行うと、本体は私の背後うしろへと回り込み――それと同時に“身代わり”が反対方向から姿を現し、私の懐へと突っ込んでくる。……で、“身代わり”が犠牲になるのは想定済みだったのか知らないが、本体を倒したと安堵あんどした私の不意を突き、背後からズドン。――――ざっとこんな手口か?」


 …………たおれ、てるんだ…………?


「フッ。みじめで愚かな『人間種』の割には、無い知恵を存分に働かせ、『魔力マナ』の最善の使い時を考えた良い作戦だったじゃないか。――だが、残念だったな。相手が悪い」

「…………っ」


 その声で、意識が覚醒し――。

 俺は、うつ伏せの状態で大地に這いつくばっていた。


 視界は赤と蒼、草花のそよぐ音色、土の匂い、苦い味、掌で微弱に感じる若草と大地の鼓動――。

 いつか見たような――でもつい先程までは決してこんなはずではなかった、そんな光景。


 止んでいたはずの透き通った雨もまた、頭上からポツポツと降ってきていた。


「――君の、負けだ。さて、そろそろ幕引きといこうじゃないか。……ま、唯一気がかりなのは、どうして君に“精神干渉”系の魔術が効かなかったのかということについてだが……この際どうでもいいだろう」


 …………ああ、そうか。


 ゴロン、と青草の絨毯じゅうたんの上で寝返りを打ち、俺は仰向けになる。

 視線の先には、青と白の二つの輝きが仲良く同居しており――眩しかった。


 ――――俺は、負けた、のか。


 記憶がどうも曖昧だった。

 ルミーネの背後を奪い取り、俺が鋼の如く固めた拳で渾身の一発を放ったところまでは憶えている。

 ……けれどルミーネに拳の先端が触れようとした刹那、突如発生した猛烈な衝撃波に攻撃を阻まれ――――そこから先の記憶は抜け落ちていた。



「――――何か、言い残すことはないか?」



「…………?」


 ふと、白い輝きの方が俺にそう尋ねてきた。


「フッ、何をそんなに不思議がる? “種”こそ違えど、私は人道を踏み外している悪魔などではない。辞世の句の一つぐらい、聴いてやる度量は持ち合わせているさ」

「…………」


 ……………………負けた?


 …………負け、た……?


 ……負けた…………。


「…………………………………………」


 負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた。


 マけた。マけ、た……。…………マけた。



 俺はルミーネに――――()()()のだ。

 守れるはずだったものを……守れなかったのだ。



「?」


 そう、改めて認識すると、視界がかすみ、ぼやけた。――今日は、雪が降っていた。


 寒くて身体は凍えているはずなのに、身体の奥が――特に喉の奥底が熱い。締め付けられたような苦しみだった。


 そんな苦しみの最中、ふと出現した火の玉が視界の片隅で漂い踊ると、様々な“記憶おもい”が脳裏に去来する。


「……お前、なぜ――――」


「          」


「…………。分かった」


 白い輝きはそれ以上何も言葉を紡がず、交えようとはしなかった。

 そして同居していた青の輝きから遠退くように、静寂の彼方へと降り立った。


 しばらくして、鼓膜に響いたのは凛とした声音――。

 それが大気を震わせる。


「――ならばちり一つ残さず、一片の痕跡も残さず、豊穣の女神の元まで送ってやろう。それがせめてもの……貴様の貫いた“正義”に対する礼儀だ。安心して、華々しく散れ」


 続けざまに、白い輝きはこう強く言い放った。


「分かったか? ――これが、“命を懸ける”ということだ。この世から消え失せるその寸前まで身に染み込ませておけ、その感覚を。……お前は戦場というものを、少々甘く見過ぎたようだ」


 ――ああ、マジでふざけんなよな……。


「さらばだ、イトバユウ。その名はしかとこの胸に刻み、私の記憶の中で息を繋いでおいてやるよ。私が息絶える……その瞬間までな」


 眠くなってきたのか、次第にまぶたが重くなり、視界が白から黒、白から黒へと明滅を繰り返す。

 電車に乗って、頭の中を空っぽにして窓辺を眺めている時と似ていた。


 これ、走馬灯ってやつだよな……? ……ふっ、だったら尚更ふざけんなよ。なんで死ぬ間際に出てくる人生最期の記憶おもいでが――――



『なにっ!? そろそろイトバの兄ちゃんが人生の最終回を迎えるって!? ……そうか。豊穣の女神様によろしくな。おいらも……直ぐに後を追いかけるからよぉ』



 ――電車は、止まった。どうやら終着駅に辿り着いたようだ。


 景色も音色も匂いも味も、感触も……心中を照らしていた灯も薄まり、感覚が、世界が――――。白き眩い光によって浸食され、崩壊していく――――。


 全てが“無”に帰そうとする寸前、記憶おもいでの中の“彼”が、そっと、俺の耳元で口ずさんだ。



『短い間だったが、それなりに楽しかったぜぃ。……うん、それじゃ……おやすみ――』



 なんで、フランカじゃなくてお前なんだよ。――――カルド……。




「――――」



 ――――――――――――――――と。



「――――!」


 一閃のきらめき――。

 電光石火の字の如く、それは迅雷をとどろかせ、疾風を巻き上げる。


 ……………………? ……………………なん、だ…………?


 俺の身体を嬉々として抱擁ほうようしようとしていた死神。

 それを何の前触れも無く吹いた暴風が一掃し、またそれによって冥界の奈落より掬い上げられた俺の心に、意識たましいが蘇った。


 …………。――――俺、生きて……。


 “生”を実感し、開かれた双眸そうぼうには雪などではない、本物の光が宿っていることを俺は把握する。

 それから――ふと、気付くと。


 俺の肉体に、影が落ちていた。


「……?」


 恐る恐る、ゆっくり、仰向けの状態から頭だけを徐々に上へ上へと持ち上げると――――そこには、どこか見覚えのある後ろ姿が。


「――!」


 ――俺より高身長な美丈夫びじょうふ、その全姿を包み込む暗緑色のローブ、背中まで緩やかに伸びた赤朽葉あかくちばの長髪、ザクロ色の瞳、そして頭上に二本、大きく気高く生えているのは……山羊のような巻き角。


「ナぁディぃアぁぁ……ッ!!」


 その時。

 静寂の彼方に降り立っていた白い輝きが、そんな激昂げっこうを露わに、眼前の人物に向かって甲高かんだかえた。



「――――大丈夫かい? イトバ君」



「…………」


 そう。その人物こそ。


『ナディア』と呼ばれたその人物こそ――昨日、『LIBERAリーベラ』の『ファクトリー』にポルク村の村長と共に“客人”として来訪していた、あのおっちょこちょいな旅人だった。


次回の更新は、もしかすると日をあまり跨がずにするかもです。

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