第0話 復讐を誓ったあの日
気付いたら50ptいっていたので宣言通り投稿です。まぁそのうち更新するんで悪しからず。と言うか今やってる作品が終わったらこっちを中心にやります。
あと、恐らく、多分この作品は1〜20話程で終わらせられたらな〜と思います。
この世には魔獣化と言う症状がある。
魔獣化とは、生まれる際周囲の魔力濃度が一定値を超えた場合にのみおこる現象だ。魔獣化の主な症状としては肉体の一部が人とは異なる形で作られる、もしくは全身が人間とは全く別の生き物になってしまう。
この魔獣化は治療する事はまず不可能で、治療不可能な病とされている。だが近年この現象は空気中の魔力濃度が関係するのでは?と言う意見が出ておりそれに基づき研究を重ねた結果、空気中の魔力濃度によって肉体が魔獣のものになる、だが魔力濃度が低かった場合自分の意志で抑えることができる、と分かった。
だが安全性は皆無で突然暴れ出す者も多数いて時々魔獣化発症者を殺す場合もあった。数年前王都周辺に魔獣化発症者の集まる村があり、そこを焼き払ったばかりだ。
この事に対し少数の人達は
「魔獣化しなければ普通の俺達と同じ人間なんだぞ!」
「その人達に人権は無いの!?」
と騒ぎ立て時々デモが起こる。
それを抑えるのが対魔獣化討伐騎士達だ。隊長のリーシャルハイネスを筆頭に世間に大きく知名度がある者達だ。
隊長のリーシャルハイネスは数年前にあった魔獣村(魔獣化発症者が集まる村)を自身の所属する騎士数名で焼き払った張本人で後日その理由を聞かれると「人外の怪物を討伐して何が悪いのですか?善良な市民に危害を加えられる可能性を配慮したら最善の行動だと思いますが」と説明しておりそれを聞いた市民達は激怒した。
だが逆に王都の貴族、王族達からは「よく言った!」等と大変気に入られている。
この話は数年前リーシャルハイネスらの手によって自分の暮らす場所、大切な人達を奪われたある子供の復讐劇だ。
数年前この村には小さいながらも確かな幸せがあった。
村自体は小さいながらもそこで作物を育てたり動物を飼ったりして小さく暮らしていた。
ある時俺はとある疑問が浮かび親に聞いてみたことがあった。
「ねぇ父さん母さん?」
「何?私の可愛い我が子」
「お前は何時でも堅っ苦しいな...まぁそんなところも好きなんだけどな?」
質問をしようと思うがこの夫婦子供の前でイチャイチャし始めた。と言うかほぼ毎日である。夫婦仲が悪くないのはいい事だけどさ...
ちなみに聞きたいこととは〝何故俺達の村は外部の人間とコンタクトをとらないのか?〟だ。俺も今年で15になったしそろそろ聞かされてもいい頃だと思うんだけどな。
そんな俺の視線を感じてか父さんが折れて俺に話しかけてきた。
「はぁ...お前も今年で15になるんだよな...まぁ話だけでもしとくか」
ため息混じりにそう言った。
「お前も気付いてると思うが俺達は異常だ。普通の人間はいきなり手が刃物になったりしないし超高速で移動もしない。夜な夜な勝手に村を抜けだして狩りをしているお前なら分かると思うが」
「え?バレてたの?」
「バレてたって...さっきも言ったが俺達は異常なんだ。そんな俺達を大半の人達は危険視している。だから俺達はそれに気付かれ無い様に隠れてるんだ」
この事を他の人達は〝魔獣化〟と呼ぶんだ...
少し悲しそうな目で俺を見ながらそういった。
「でも!バレたとしたら戦えばいいんじゃないの?」
「それは駄目なの」
今度は母さんが話し始めた。
「それは駄目なの...私達が戦ったらどんな国でも半分の数は減らせる。だけどどんなに戦っても勝てない相手がいるの...そいつ等からしたら私達は赤子同然。そう、私の可愛い子でもね」
「じゃ、じゃあリュク爺はどうなの!?リュク爺は世界最強って言ってたけど...」
リュク爺は狙われる存在ながら襲って来る脅威を自分の力でねじ伏せこの世界を一周してきた超人なのだ。それに俺の師匠でもあるし
俺がリュク爺について言うと2人は吃り、目を合わせこう言った。
「リュクさんの傷見たでしょ?あの肩から腰にかけてある、一直線の切り傷。あれはね世界を一周する時に偶然見つかったあいつら...対魔獣化討伐騎士、通称魔人殺しにつけられた傷跡なの。つけられた直後に2、3人殺した、と言っていたけどあの人でもその人数が限界なの」
「なら俺は!?リュク爺に『儂よりも強くなる』って言われた俺は!?」
リュク爺、俺の中での最強だったその人でも勝てないと言われ、少しムキになりながらそう言った。
「確かに...だけど戦わせる訳にはいかないの。貴方の【超速再生】は強い、あのリュクさんも唸らせる程ね...それに珍しい魔獣化を持っているけど戦わせられない、今の貴方では...」
悲しそうな顔をし、俯いた。今の俺では...?
その事を聞こうとしたが、いきなり2人は顔を上げ急いで玄関口に向かう。
「父さん、母さん?どうしたのそんなに慌てて」
「ごめんね、ごめんね...」
母さん?そんなに泣いてたらわからないよ!?
「くっ...あいつら見つけやがった...!!」
母さんの肩を掴み「お前はこの森の奥に逃げてろ!絶対戻ってくるなよ!」と父さんが俺に怒鳴りつけ母さんと一緒に外に出た。
え?...何が起こってるんだ?父さん?母さん?そんな慌てて何があったの?沢山の疑問が浮かぶが今外で何が起きているかが知りたい、そう思い外に出てみた。
そこは地獄みたいだった。
小さいながらもお隣さんと半々で分け、丹精込めて作った畑は誰がやったか知らないが赤く燃え上がっていた。
そこから目を離すと辺り一帯火の海だった。
その火の中で村の人たちは武器を持って必死に戦い、時には魔獣化を使い精一杯死ぬまいと戦っていた。
村人数十人に対し相手は1人。人数差では圧倒的に有利だが敵は身の丈ほどある大剣を振るいなぎ倒していった。
「おおおおおおおお!!!」
大声を上げ自分を奮い立たせるようにしながら戦っている1匹の虎。
だがこれが誰か俺は知っている。
(リュク爺...)
目の前にいる黒い鎧を着ている男2人とほぼ互角に戦っている。
迫り来る大剣をギリギリのところで回避し爪を振るう。
目にも止まらぬ早業で繰り出される双剣を少しかすりながらも回避する。
それを繰り返す。何度も何度も避けて攻撃し避けては攻撃し、何とか双剣の男を倒し一対一に持ち込めたその時リュク爺は俺を見つめ驚き声を上げた「はよ、逃げんかッ!!」その一言の間に大剣の男は一瞬で近付き首を跳ねた。
「う、嘘だろ...俺のせいだよな...俺が父さんの言う通り森に逃げていれば...」
そう考えている間にも大剣の男は着々と俺に近づいてきてる。恐らく子供だと思って油断しているのだろう、先程とスピードが違い過ぎる。
落ち込んでばかりもいられない、リュク爺を殺したのは俺同然なのだから...
「『解放』」
その言葉に反応するかの様に俺の体がメリメリ と音を立てて変わっていく。
目から出た赤い液体は顔を染めながら全身へと染まってく。
ボコ...ボコ...
音を出しながら腕に鋭く尖った棘が手首から肘にかけて生える。
手も同様に赤く染まり鱗みたいに棘が生え、刃物と見間違うような爪が生える。
『ウググググ...グガァ!!』
2足で立っているのが辛くなってきたのか大きく声を上げ肩から計4本目の腕を生やしたのと同時に獣みたく腕と足で4足になった。
新たに生えた2本の腕は手首から先が包丁の様な刃物になっていた。
胸から足先まで赤く染まり、腰から足先がドロドロと溶け固まる頃には足先の部分が鋭くなり、3本の爪となった。それを見た大剣の男が勢い良く飛び出し俺に向かって飛びかかってくる。
だがそれが分かってたかのように肩から生えた2本の腕が交差し受け止め、逆に弾き飛ばした。
男を弾き飛ばした時には既に魔獣化を終えていた。
尾てい骨あたりに自分の身の丈の約2倍程ある尻尾が生え、その先には人を刈り取る為としか思えない鎌があった。
全身真っ赤だったが時間が立つ頃には固まり、赤黒くなっていた。
この間5、6秒。
『ガルルルルルガァ!!!!!』
さぁここから俺のターンだ。