First Day
20×○年9月。テストも終り慌ただしく学校際の準備に追われている。この頃いつも家に帰るのは7時を回ってからだ。今は、ちょうど仕事が片付いて友達と帰りの仕度をしている所だ。友達の名前は、藤野琴。琴とは幼稚園の時からの付き合いですごく仲が良い。性格はすごく明るくて、クラスのリーダー的存在・・お姉さんタイプだ。
私も琴も仕度を終え教室の電気を消して外に出た。外はもうすっかり暗くなっていた。
2人で並んで話をしていたら琴が思い出したかの様に言った。
「そうだ、珠李さっき職員室で聞いたんだけど転校生来るって。しかも同い年の男の子。ちょと 嬉しくない?カッコイイかなー」
「転校生!?今の時期に?・・・信じられない。だってうちら高3だよ絶対可笑しいって。」
「う〜ん家の事情があったんじゃない?」
「・・・かな〜・・」
と、この話はここで終わりそれほど気にもとめなかった。その後は琴と分かれるまで琴の彼氏の話をしていた。
「じゃあ珠李バイバーイ。」
「また明日ねー。」
そう言って私達は分かれた。
家に帰ると玄関に知らない靴が沢山あった。私の家は、平安時代から続く老舗の料亭でいろんな有名人達が来る。そのせいか、家に帰ったら見慣れない靴があるなんて事には慣れている。
靴を脱ぎ、自分の部屋へ向かって真っ直ぐ歩き、自屋の扉を開けると信じられないものが眼に入ってきた。顔はよく見えないが誰かが私のベットで寝ているのだ。
おそるおそる部屋に入り静かに鞄を置きコートを脱いでベットに近づき寝ているだろうと思われる人物の顔を覗き込む。すると、寝ているはず人物と眼が合った。私は、驚きのあまりで言葉にならなく、その人物を凝視して固まってしまった。それもそのはず、私のベットで寝ていたのがよりによって男の子だったのだ。彼は、私の様子に気づいたのかニヤっと八重歯を見せて笑うと上半身だけ起こし私に話しかけてきた。
「初めまして。オレ紫藤空っていうんだよろしく」
私に話しかねてきた彼は正直いってすごくかっこよかった。極上の黒髪をウルフにカットしワックスで少し刎ねさせた髪、程よく焼けた小顔。それに綺麗な目、鼻、口がバランス良くおさまっている。だが、一番印象的だったのはなんと言っても彼のグレイの瞳だった。
大抵の年頃の女の子達だったら彼に無邪気な微笑みをかけられただけで、絶対に一瞬にして恋に落ちているだろう。が、私にしてみれば少しカッコイイかな位だった。
「あぁ、えっと宝井珠李ですよろしく。・・・って!!何挨拶してんだあた し!!てか、あなた何で私の部屋に居るのよ!!何者なの!!」
のん気にちょっとカッコイイ不審者に挨拶をしていることに気づき、慌てて何者なのかを訪ねた。
すると、
「あぁ、俺?あんたの許婚だよ(にやっ)ヨロシクな珠李♪」