罪人の独白:〇〇
私は罪人である。
己の利己さによって世界を滅ぼした罪人だ。
今この瞬間に至るまで、私は自らが行ったすべてに対し、罰を受け続けている。
いつから墜ち始めたのか、どれほどの時を墜ちてきたのか、私は知らない。
いや、そんなことを考えても、何の意味もない。
意識が途切れることなく在り続けていても、時間も空間も計ることはできない。
なぜなら私は、ずっと「体験」し、ずっと「観て」きたからだ。
ずっと── 他人の人生を。
時には、貧困に喘ぎ、路地裏の穢れの中で餓死した。
時には、富を極め、金と食糧で築かれた山の頂に立った。
時には、塵のように卑しく、高貴なる者を仰ぎ見て憧れた。
時には、権勢に渇き、卑しき者たちを見下ろし、蔑んだ。
時には、悪を重ねる犯罪者となり、人々に忌み嫌われた。
時には、悪を討る英雄となり、衆人に敬愛された。
私は繰り返し、繰り返し、人生を経験し続けた。
それが私ではないのに── いや、私であってはならないのに。
幸福と苦痛は、とっくに見分けがつかない。
私はただ、麻痺したように、繰り返されるこの審判を受け入れているだけだ。
私の精神は、とっくに崩れ果てているのかもしれない。
いや、もしかすると今この瞬間まで、崩れ続けているのだ。
これが私への罰なのだろう。
…… ふっ。
自分自身に関する声は何も聞こえない。
ただ、今この自分に対する嗤りだけが、異様に鮮明に響く。
違う。
これは罰ではない。
これは、私が永遠に抜け出せない檻だ。
神はもういない。
いったい誰が、私を裁く資格があるというのか。
仮にそのような者がいたとしても、傲慢な私は、いかなる存在にも自分を許すことなど、決して許さないだろう。
墜ち続けよう。
底なしの深淵へ。
私は、
永遠に救われない。
目を開いていようと、閉じていようと、ただこの罰がさらに重くなることを願う。
永遠に瞼を閉じるその時まで。
……
風か?
風を感じる。 そして、顔に当たる陽光の温もり。
またか…… 今度は、誰の人生だろう?
私は待った。 あの奇怪な多重の視点と感覚で、この見知らぬ人生を味わう準備を。
あの感覚は正気の沙汰ではない。 どんな者でも、一度味わえば狂ってしまうに違いない。
しかし、今回は── しばらく待っても、
空にいながら地上を観測し、自分の中にいるような錯乱は起こらなかった。
感覚が歪むほどに増幅されることもない。
どうしたというのだ?
私は驚き、戸惑った。
…… 違う。
なぜ、私はまだ「驚く」ことができる?
これ…… は手か?
指を曲げてみる。 関節から、ぎこちない感覚が伝わってくる。
足も?
下半身からも、久方ぶりに「身体」というものの反応が返ってくる。
ああ…… ああ……
これは口か? いや、この感覚は──
私自身の肉体だ。
鳥の声が耳に入る。
目を開けると、まぶしい陽光が見えた。
よろめきながら起き上がろうとし、自分が林間の空き地に横たわっていることに気づく。
森…… か?
なぜ、私はここにいる?
…… ああ、わかった。
頭が重く、複雑な思考は働かない。 ひとつの荒唐無稽で絶望的な考えが、静かに浮かび上がる。
この身体を与えられたのは、魔物に引き裂かれ、噛み砕かれ、飲み込まれる痛みを、私に直接味わわせるためだ。
真の死を。
今の私は、もう何も考えたくない。
何も考える必要などない。
私は疲れた。
静かに魔物に見つけられ、食い尽くされるのを待っていればいい。
……
だが、これは本当に正しいのか?
これは救いではなく、最後の拷問なのか?
私は、この身体の中で…… 考え始めてしまった。
…… いいだろう。
口を開く──
「あ──」
この身体の扱い方を知らない私は、精一杯の声を出そうとした。
神のいない今、最後に一度だけ、偽りの「運命」というものを信じてみよう。
もし魔獣が私を見つけて食い殺すなら、それは当然の報いだ。 何の怨みもない。
もし誰かが私を見つけて連れ去るなら……
…… ふっ。 ありえない。 近くに何匹もの獰猛な魔物が潜んでいるのを、もう感じ取っている。
私はやはり……
…… どうしようもないらしい。
考えるのを、やめよう。
……
しばらく待っても、予想された引き裂かれる痛みは訪れなかった。
代わりに感じたのは、優しく抱き上げられ、温かな衣に包まれる感覚だった。
…… 一目、目を開けてみよう。
視界に映ったのは、銀髪で白い肌をした男だった。 彼はうつむき、私を見つめている。
私が目を見開いた瞬間、彼の表情が一瞬、わずかに固まった。
私はまばたきをした。
再び見ると、彼は穏やかな笑みを浮かべていた。 その笑顔は陽光にまぶしく、
温かすぎて、かえって現実感を失いそうだった。
(魔物が来た…… 逃げてくれ。 私を置いていけば、お前は生き延びられるかもしれない)
伝えようと思ったが、結局、黙っていた。
男は避ける間もなく、私を胸に抱きしめ、斧を構えて前に立った。
(このままでは…… 必ず死ぬ)
目を閉じ、記憶の奥底を探った。
普通に魔法を使うのは、あまりに久しぶりだ。 力を制御できるかどうかもわからない……
だが、この人が私のせいで死ぬのを、ただ見ているわけにはいかない。
風が起こった。
魔獣の体勢がぐらつき、攻撃は空を切った。
霧が生まれた。
濃い霧が周囲に立ち込め、やがて森全体を包み込んだ。
霧には私の魔力が溶け込んでいる。 魔物と男を容易に隔てられるし、気づかれずに彼を山の下まで送ることだってできる。
(そして…… その後、どうすればいい?)
考えていなかった。
目を閉じ、思索に沈んだ。
(もしかしたら、本当に眠ってしまったのかもしれない。 久しぶりに誰かに抱かれて、これほど安らかな気持ちになるとは)
……
風が止んだ。
代わりに、温かな気配が、優しく私を包んだ。
(どこかに着いたのか?)
私は別の人の手に渡された。
抱く腕はやはり優しいが、しかし、さっきとは違う安らぎがあった。
半眼で見ると、美しい女性が優しい眼差しで私を見つめ、子守歌を口ずさんでいる。
私は、再び目を閉じ、深い眠りへと落ちていった。




