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2023年 4月某日 長期戦

連続エピソードになります

2023年 4月某日編 (6/6)

先ほどまで咆哮し自身の体の岩を投げ飛ばしていたエニグマは、土の塊へと姿を変えていた。

さあ、ここからが俺たちクリーンの仕事だ。


少し離れた場所から戻って来た車の扉を開ける。


「高木、大丈夫か?」

「……何とか、大丈夫です。」

「とりあえず、危険は去ったから片付けに行くけど、出動できそう?」

車に乗り込んだ時よりも血は通っているようだったが、まだいつもより顔色が悪い高木。


「役に立つかどうかわかりませんが、出動します。」

「わかった。気分悪くなったら遠慮なく言えよ。」

そう言い残し、村越へ高木の任務参加を伝えに向かった。


「班長。高木参加できるそうです。」

「了解。ガッツ見せたな。でも、すぐにできること少ないだろうけどな。」

「コア探ししてから、ショベルとダンプ要請ですか?」

「今回ばっかりは、大規模崖崩れで外部委託になるな。」

「この量だと、支部じゃ手に負えないですもんね。」

「一応コアさえ回収できれば、大規模エニグマの残土は一般処理でも大丈夫だからな。」

「土を置いておく場所も無いですもんね。」

「悪い宮部、高木にコア探しの説明して、もう一度参加できるか聞いてくれるか?」

「了解しました。」


高木は車の外に出ていた。


「お待たせ。今回は残土が多すぎるから、大部分は外部委託の片付けになるけど、俺らはこの中からエニグマのコアだった物を探すのが任務になる。」

「はい。」

「あの土の中に入って、掘って探せるか?」

「車の外に出て分かりました。動かずじっとしてる時に恐怖がぶり返してくるので、コア探しさせてください。」

「OK。じゃあ車の中のスコップ持って川の方に降りよう。」


ヘルメットをかぶり、スコップを手に持ち準備が整った。高木の顔色もだいぶ戻って来た。


「班長。遅くなりましたが、高木と一緒にコア探し行ってきます。」

「よろしく頼んだ。高木、無理するなよ。」

「「はい。いってきます。」」


少し離れたところから、木を伝い獣道を通り河原へ降りた。

目の前には4メートルほどの高さとなった、丘の様な土がそびえていた。

他の班員は既に土の上に乗り、作業をしている。


「上に誰かいないか確認してから登り始める。上に人が居ると崩れてきた土や石に当たって怪我するから慎重に場所選んで登って。」

そう高木に言うと、上で作業している西城に声を掛けた。


「西城さん!今からここ登りますけど大丈夫ですか?」


西城はあたりをキョロキョロ見渡し、大きく両手で丸を作った。

「大丈夫!気を付けて登ってきな!意外とこの土柔らかいから。」

「ありがとうございます!」


「登るのは訓練でもやってるから、足場の選び方とか気を付けて登れば大丈夫だよ。」

「はい。がんばります!」

「よし、登ろう。」

俺の合図で登り始める。西城が言っていた通り、水分を含んでいるとは思えないほど柔らかい土だった。俺たちは難なく土の山を登りスコップを手に取った。


「ここからは、ひたすら掘ってコアを探す。変な形や色の割れた岩を見つけたら教えて。」

「はい。」

「何となくビギナーズラックで高木が見つける気がするんだよね。」

「……あんまり第一発見者になりたくないです。」

「そう言わず、頑張って!」


俺たちは、土の中に埋まっているコアを探すためだけにこの山を掘り進める。


ゴールの見えない戦いは長時間に及んだ。3時間掘ってもまだ見つからない。

土の山は高さもさることながら、上に乗ると広いことが分かった。この土、トラック何台分になるのだろう。そんなどうでもいいことを考えながらさらに掘り進める。

支部への連絡と、外部委託の算段を付けた村越が加わっても、一向に終わりが見えなかった。


「――コア発見!!!」


インカムから成岡の声が響いた。

班員全員が安堵した。戦闘終了から4時間やっと見つかったのだ。


「高木、コアがどんな物か見に行こう。」

「はい。」


今回のコアは紫色をした蛇腹模様の入った岩だった。直径1メートルの楕円の岩が真っ二つに割れている。この岩を棘で貫いたと思うと、その攻撃の威力が想像でき背筋に冷たいものが走った。

コアは金属性ヒーローの渡部に力を借りてさらに細かく砕き、同行したトラックへ運んでいく。

全ての作業の締めくくりに、自分たちの透視を解き、三上が残土に可視を掛ける。


「リビール。」

三上のこの技名を聞き作業が終了した。


支部に戻ると、高木はレポートの提出を言い渡されていた。提出期限は明後日。

村越も明日にしないあたり優しいよな。なんて思いながら、今日の振り返りをしている。


「高木、今日のエニグマは数年に1度レベルの異常なエニグマだから、次回以降そんなに怖がらなくてもいいからな。」

「はい。先輩みんな口々にそのことを言ってくださったので、ちょっと気が楽になりました。」

「なら良かった。」

何だかんだ言って、みんな後輩を気に掛ける優しい班員ばかりなのだ。


自分の班を誇りに思いつつ、レポートのアドバイスを始めた。


数年に1度。この時はそう思っていた。


次回は 4月 1日 水曜日 更新です

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次回から新しい話に入ります。

お楽しみに!

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