2023年 2月某日 クリーン研修13(ラスト)
長かったクリーン研修編最終回
研修生全員が着席して教官たちを待っていた。
講堂の後ろにあるドアが開き、宝田、柏木、相葉の3人が入ってきた。相葉の手には午前にやったテストを抱えている。
「テストの答案を返却する前に、言っておく。」
宝田の言葉にごくりと生唾を呑んだ。
「お疲れさん。みんな合格だ。免許は後日支部宛てに発送される。」
講堂内の緊張が一気に柔らかくなった。
やはり、合否のあるテストだったからみんな緊張していた。宝田の『みんな合格』の一言で緊張の糸がほぐれた。安心して答案用紙を受け取れる。
全員軽い足取りで答案用紙を受け取り、元の席へ着席する。
「15時までに、3日間のレポートを書き上げ提出するように。正面に設置されてるプリンターから出力して提出してくれ。早く終われば、食堂でしゃべっていても大丈夫だぞ!」
「「「はい。」」」
研修も終わりが見えてきた。
昨日までのレポートは書き終わっている。今日の座学のレポートを書けば俺の研修は終わりを迎える。少し寂しい気持ちになりながらパソコンを開いた。
キーボードを打つ音だけが響く講堂のプリンターが動き始めた。プリンターに向かったのは坂下だった。彼は頭の回転も速いし、レポート書くのは得意なんだろうと思った。
ここからは怒涛の印刷ラッシュだった。俺も負けじと、レポートを仕上げ印刷する。
「レポートよろしくお願いします。」
宝田、柏木、相葉へとレポートを提出する。
「宮部。」
俺を呼び止めたのは宝田だった。
「はい。」
「怪我、しっかり治せよ。お疲れさん。」
「はい。ありがとうございました。」
この人の一言は重さが違う。ジーンとしてしまい、お礼を言うのがやっとだった。
荷物を部屋まで取りに行き、食堂に向かうと14時を回っていた。あと1時間で解散か……。そう思いながら食堂のドアを開けた。
「おそいで、ツッキー!」
田中の声で我に返った。まだまだ感傷に浸らせてもらえないようだ。
「かじやんと待っとたで!」
田中の隣で鍜治口も手を振っている。
「2人とも早いね、レポート得意なの?」
「俺は、学生時代得意だったよ。」
少し得意げに鍜治口が言った。観察してそれをまとめるの、確かに得意そうだと思う。
「……俺は、レポートよう書いとったからな!」
「……田中、それレポートじゃなくて反省文っていうヤツでは?」
「はがっ!ツッキーそれは言わんといて~……。」
3人で笑う。やっぱりこの2人といると心地よい。これがあと1時間で終わりか……
「なんや、ツッキーとかじやんとはまた会う気がすんねん。」
「わかる。てか、普通に旅行がてらウチの県おいでよ。温泉多いし!」
「温泉か~いいね!田中少し静かにできるなら一緒に行こうよ!」
「ツッキーひどない?どんどんお口わるぅなっとるんやない。」
またドッと3人で笑う。
「なんか他支部連携でも俺たちならいい連携取れそうだよな。」
口をついてそんな言葉が出た。
「連携っちゅーことなら任せとけ!って感じや!」
田中が俺の肩を叩く。
「えー、俺はもっと平和に会いたいんだけど。」
3人でいると笑いが絶えない。今年の夏休みにまとまって休みが取れたら、田中と鍜治口の所に行くのもありだな。
あっと言う間に1時間が経過していた。
「なー!最後にみんなで円陣くもうや!」
田中の提案でみんなで円陣を組むことになった。
「んじゃ、最後の掛け声、委員長よろしゅうな!」
「そこは自分でやらないのかい。」
思わず突っ込んでしまう。
「じゃあ、僕が掛け声やるんだね。えーっと……うん!」
律儀に対応してくれる山下は優しいヤツだと思う。
「じゃあいくよ。」
「お疲れ様でした!これからもよろしくお願いします!」
「「「おねがいしまーす!!!」」」
こうして俺たちの研修は終わった。
明日からまた日常に戻る。
だけどここで知ったこと、学んだこと、そしてできた絆はこれからも活かしていける。
素直にそう思える研修だった。
この時俺はまだ知らなかった。
俺たちの再会が、案外すぐに訪れることを。
次回 3月 11日 21時更新です。
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次回から新章開幕!
お楽しみに!




