2023年 2月某日 クリーン研修12
クリーン研修編 3日目(1/2)
スマホのアラームの音で目が覚める。
今日で研修は終わる。嬉しいような寂しいような感情が湧き上がってきた。
そう思えるのも、あと30分で食堂に集合する研修生のみんなのおかげだと思う。食堂じゃなくて部屋に突撃してきそうなやつも1人いるけどね。
そんなことを考えながら朝の身支度を済ませる。今日は実習がなく、座学がメインになる。服装をどうするか悩んだので、食堂で他の人の服装を聞いて決めようと思った。
食堂へ移動すると、昨日より多くの人が扉の前で待っていた。
「おはよう。」
誰にするわけでもなく、みんなに向けてあいさつをした。数人挨拶を返してくれた。
山下と鍜治口が私服でいることに気付き、声を掛けた。
「おはよ。昨日実習着だったけど、今日どうする?」
「おはよう、宮部君。僕たちもその話をしていたところだよ。」
山下が返事をしてくれた。続けて鍜治口が話し出した。
「実習終わったらすぐに帰ることを考えるとスーツで座学受けた方がいいかなって話になってさ。」
「そっか、もう帰ることも考えなきゃか。」
「ね、思ってたより短く感じるよね。」
「ホントそれな。」
研修が終わったらそれぞれの支部へ帰る。当たり前のことが頭から抜けるくらい居心地がよかった。
女子たちから離れて近藤がこっちに来た。
「さっき服装のこと話してたみたいだけど。私、昨日相葉教官に聞いたらスーツで座学だっておっしゃってたから、一応男子全員にも伝えて。特に昨日寝坊してた人とかね。」
「そうなんだね。わざわざありがとう近藤さん。」
服装のことを事前に聞いてるなんて流石だなと感心しつつ、そういえば今日もまだ田中の姿が無いことに気付いた。
食堂が開き、待ってたみんながなだれ込む。来ていないのは、田中だけだ。
「モーニングコールしてみるよ。」
ため息交じりで俺は食堂を出た。
スマホを取り出し電話をかける。しばらくコールを続けると階段の上から着信音が聞こえた。着信を切り階段に向かって声を掛ける。
「おはよう!先に食堂入るよ。」
「あー!ちょい待ち!おはようさんツッキー。朝から着信サンキュー!」
バタバタ階段を走る音の後に田中の声が響いた。姿も確認できたので、降りて来るまで待つことにした。
「また寝坊?」
「ちゃうやん!今日はヘアセットで遅れたんや!」
「結局遅れてんじゃん!」
田中にツッコミを入れることもだいぶ慣れてきてしまった。そんなやり取りをしながら食堂に入っていった。
食堂で朝食を取り、部屋で身支度と帰りの支度を整え座学へ向かう。
講堂に着くと既にスクリーンの前で相葉が待っていた。集合時刻の20分前には到着したのだが、よほど時間に余裕がないらしい。全員そろい次第、座学を開始するようだ。
集合時刻10分前に全員揃い、最終日の研修がスタートした。
『スーパー短縮』と宝田が言っただけあって、振り返りなしでガス器具などの説明が続いていく。休憩を含め3時間の講義の後、すぐにテストに入る。3日目が1番ハードかもしれないと思うほど脳内にいろいろな物を詰め込み、答案用紙に吐き出した。
テストが終わり、昼休憩に入った。みんなテストの内容の話をしていた。なんだか学生時代に戻ったみたいな懐かしい感覚だ。俺も「あそこの回答どうした?」とか「そこ何て書いた?」なんて話しながら、その懐かしさに浸っていた。
「もう終わりになるのか……。」
不意に言葉にしてしまった。
「……長いと思ってたけど、案外短かったよね。」
鍜治口が笑いながら答えてくれた。
「なに、しんみりしとんねん!まだテストの結果すら聞いてへんのに!なんやオタクら、合格確信しとんのかい。ええなその余裕。りょーちゃんうらやましいわ!」
「もうちょっとしんみりさせてよ。」
「させへん。涙でサヨナラしたくないねん!」
「誰が泣くか!」
この軽快なやり取りもそろそろ終盤ってことだもんな……
「なんだかんだ楽しかったよね、宮部!」
「そうだよな!鍜治口!」
「なんで俺入ってへんの!いれてーな!」
軽口を叩きながら俺たちは昼休憩を終えて、テスト結果が待つ講堂へ向かう。
この研修が最後までよかったと思える結果であることを祈りながら。
次回は 3月 8日 21時更新です。
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クリーン研修編も大詰めです!
次回もお楽しみに!




