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2023年 2月某日 クリーン研修6

クリーン研修編 1日目夜

長いようで短かった1日が終わろうとしている。

みんな一度部屋に帰り、荷解きをしてから談話室に行くようだった。


俺も手すりを使いながら部屋への階段を登り、階段正面の自室へ吸い込まれるように入った。

談話室は斜め向かいの部屋。

誰か集まって来たら顔を出そうと思い、一度ベッドへ倒れ込んだ。

新幹線の中で心配していた“話せる人”については杞憂に終わった。田中や鍜治口がいてくれたおかげで、怪我のことを下手に隠すこともなくなった。いいこと尽くしだ。

でも、本来人見知りの俺が初対面の人の中にいるのは、やはり気疲れすることだった。10分後にアラームを掛けて目を閉じる。寝られなくてもいい。少しだけ休もう。


フッと意識が飛び、次に耳にしたのはアラーム音だった。

よほど疲れていたのかと自分でも笑ってしまった。外もさっきよりざわついている。

荷解きをして談話室へ行こう。俺はスーツケースに手を掛けた。


スーツの上着をクローゼットに掛けて、明日の実技用の作業着をスーツケースの出しやすい場所へと移動させる。館内で着るように持ってきたスウェットとジーパンに着替えてスラックスもハンガーに掛けた時。


ドンドンドン

「ツッキー生きとるー?」

扉をノックする音と共に田中の声がした。

「生きてるよ。寝てただけ、永眠はしてない。」

「そらよかったわ!」


俺はスマホを片手に廊下に出た。


「ごめん。ゆっくりさせてあげようって止めたんだけど……。」

苦笑いをしながら鍜治口が言った。彼もフリースにチノパン姿だった。

「大丈夫。10分寝たら談話室行こうと思ってアラームかけてたし。」

申し訳なさそうにしてる鍜治口に笑顔で対応してると、田中が肩を組んで来た。

田中はいかにも関西ヤンキー感あふれる黒に金のラインの入ったジャージを着ていた。

こういう服はどこに行けば売っているのだろう。未だかつて店舗で遭遇したことの無い服をまじまじと見てしまった。


「ほな、談話室行って連絡先交換しよか!」


俺は肩を組まれたまま、談話室へと引きずられていった。


「お疲れ様。来たんだね。」

山下が声を掛けてくれた。その隣には佐藤がスマホを操作していた。


「お疲れ。2人も連絡先交換中?」

俺の声に佐藤が顔を上げた。


「お疲れ。宮部も後から交換してくれよ!」

屈託なくニカッと笑う佐藤。北地域の支部より南国の支部の方が向いていそうな気質だなと勝手に思った。それも偏見なんだけどね……。


「ツッキーは先俺らとや。」

そう言って田中と鍜治口もスマホを出した。なかなか友達登録をしないせいで、全員の登録をするのに時間がかかった。あーでもないこうでもないとワイワイ交換をしていた。


「おっ!なんだ男子集まってるじゃん!」

陽気な声を出して手を振りながら厚手のカーディガンとワイドパンツ姿の青木が入ってきた。その後ろには中村と工藤もいる。


「連絡先交換してるの!私たちとも交換してグループ作ろうよ~!」

ニコニコしながら俺たちの輪の中に入ってきた。青木も相当陽キャっぽい。

だが差し出してきたスマホの画面にはひびが入っている。研修でも披露していたが相当ドジなのかもしれない。


「グループ作っていいなら、私作っとくよ。」

中村がテキパキ作業を始めた。


「今いないメンバーはどうしよっか~?」

工藤が少しゆっくりした口調で問いかける。確かにグループを作るなら全員に声を掛けたいよな。入る入らないは置いておいて。


「食堂には来るだろうから、そこで声かけようか。」

「いいね、グループ作るには全員に声かけようね。」

山下の提案に作業しながら同意する中村。


「ほなら、田中のリョウちゃんの連絡先欲しい人並んで~」

「宮部君交換しよう。」

「OK。青木さん」

「無視よくないでお二人さん。」

「田中さん、うるさいってよく言われませんか?」

「それどう意味やねん?工藤ちゃん……。」

「ハハハ!みんな面白いね!」

「佐藤にウケたで!かじやん!」

「よかったね。田中君。」


より一層騒がしくなった談話室。静かにレポートをまとめたい人たちは決して来ないだろう。

このままのノリでこの後、食堂で残る全員に話しを振ることになるのは、後1時間後。

そんな賑やかに研修1日目の夜は更けていった。


次回は 2月 20日 21時更新です。

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次回から2日目突入!

お楽しみに!

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