2023年 2月某日 クリーン研修3
クリーン研修編
連作エピソードです。
バスを降りた向かいには昔ながらの研修施設というか、少し古びたコンクリート造りの無機質な白い3階建ての建物が森の中に佇んでいた。
マイクロバスから乗降できる程度のエントランス前のアスファルトの広場に降ろされた俺たち12人は、ひとまずエントランス内へ入ることにした。
エントランスも昭和後期か平成初期に建てられた、ホテルのような内装をしていた。
足元の絨毯がところどころ薄くなっているのが分かる。
「長旅おつかれさん。」
奥から男性2人女性1人が現れた。
背の高い方の男性が、俺たち向かって話しかけながら歩いて来る。
「俺は宝田、詳しい自己紹介は後からするが、今回の教官だ。」
宝田は俺たち全員を見渡した。
「名前を呼ばれた人から、順番に鍵をもらい3階の個室に荷物を置きに行ってくれ。集合は10分後にエントランスだ。」
「「「はい。」」」
さすが、いつも同じような訓練受けてる人間たちだけあって、返事も揃った。
「田中 亮介」
「はい。」
珍しくふざけるそぶりなく田中が返事をし鍵を受け取った。
「近藤 真理」
バス停にいた唯一の女子近藤が返事をし鍵を受け取った。
「青木 美香」
「はーい。」
少し間延びした返事をしたのは、小柄で緩くウエーブかかった茶髪をポニーテールで結った子だった。
「山下 大志」
委員長のニックネームを嫌がらず受け取った山下が、きびきびした動きで前にでた。
「宮田 祥太郎」
宮田は、背が高くひょろっとした見た目で、ニコニコしながら鍵を受け取った。
「青山 玲奈」
青山は、少し小さな声で返事をし、おどおどしながら鍵を受け取りに行く。
「坂下 和輝」
眼鏡を上げてから返事をした坂下は、鍵を受け取り足早に階段へ向かった。
「中村 美月」
黒髪ショートカットの背の高いモデルみたいな体形の中村が颯爽と鍵を受け取りに歩み出た。
「工藤 葵」
「はぁい。」
語尾にハートマークが付きそうな返事をし、ゆるい三つ編みのポニーテールを揺らしながら工藤が鍵を受け取る。
「佐藤 宗」
「はいっ!」
周りがビリビリするかと思うほど大きな声で返事をする佐藤。
「鍜治口 蓮」
「はい。」
俺の肩を軽く叩いてから、鍜治口が鍵を受け取りに向かう。
「宮部 月陽」
「はい。」
一番最後が俺だ。鍵を受け取りに宝田の元へ行った。
「宮部、怪我のことは聞いてる。無理だけはするなよ。」
そう言って宝田は俺の背中を叩いた。
「ありがとうございます。大丈夫そうですが、気を付けます。」
「おう。そうしてくれ。俺にも覚えがあるからな~、無理は禁物だ。」
意味深な言葉を残して宝田が鍵を渡してきたので、質問したくはなったが、時間制限もあるし部屋へ向かった。
部屋は3階の階段上がって正面の部屋だった。
中に入ると絨毯敷きで、右側にユニットバスとトイレがあった。奥には窓があり、それを右手に見る形で机があり、その向かいにベッドが置かれていた。
古い作りだが、きれいにされているので、快適に過ごせそうだと思った。
とりあえず荷物だけ置いて部屋を出ると、階段の所で田中と鍜治口が待っていた。
「おう、ツッキーはよせんと時間になってまうで。」
「降る方が階段キツイから心配で待ってたんだよ、田中君も。」
「言うなや、かじやん。こっぱずかしいわ!」
田中が手でシッシとやりながら、あからさまに照れ隠しをしている。
「ありがとう。2人とも!」
小走りで2人の元へ行き、少しゆっくりめに階段を下りていく。
幸い、両側に手すりがあったので2人の力を借りずに降りることができた。
それでも、最後に1人ゆっくり降りるのと、周りにいてくれるのとでは全然違う。改めて2人がいてくれてよかったと思った。
「よし、時間前に全員そろったな。」
時計を見て宝田が言った。
時間前と言っても2分前で、結構時間ギリギリになってしまったと反省した。
「全員で講堂に向かうぞ。」
宝田の声に全員で返事をし、まだ知らぬ講堂へ向けて歩き出した。
次回 2月 14日 21時更新です。
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次回自己紹介編
お楽しみに!




