表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/21

2022年 12月某日 ヒーローとして

2022年12月某日編(1/2)

連続エピソードになります。

今日は宅呑みしない?その誘いは仕事の話をしたいということだ。

俺たちの仕事は、人に知られてはいけない仕事。外で話すわけにはいかないのだ。

ただ、今日の宅呑みは、地獄の相談会になる。そんな気がする――


今日の訓練が終わり訓練棟を出ると、そこに三条が待っていた。

「お疲れ。今日家で飲まない?」

彼から宅呑みに誘うのは珍しい。初任務の興奮冷めやらぬ週末に誘われて以来じゃないか?

「いいけど、どうした?」

気になった俺は探りを入れる。

「ちょっとね……。」

三条は話を濁すばかりだった。これは、いい話じゃなさそうだな。

「OK!じゃあ、飲み物俺が買ってくから、つまみはよろしく!」

ここでは話しづらい事もあるだろうし、深く聞くのは飲み始めてからでいいや。

それ以上は聞かずに、それだけで会話を打ち切り、一旦自宅へと帰る。

訓練で汗臭い体をシャワーできれいにしてから、最寄りのスーパーへビールとチューハイを買いに行く。今日は話がちゃんと聞けるように度数弱めのチューハイだ。

実家からもらった日本酒の四合瓶も持っていく。

しっかり話せたら注いでやろう。なんて思いつつ、これは俺が飲みたいだけ。

リュックにアルコールをしこたま詰め込み、歩いて三条の自宅へと向かう。


三条の自宅まで、徒歩20分くらいの距離だ。訓練の外周を荷物持って走っている俺らにとっては、軽い散歩程度の距離だ。

訓練の荷物より好きな物が入ってる方が心なしか軽く感じる。

いったいどんな話だろう。そんなことを考えながら、三条の家へと歩いた。


家に着くころには、日も沈んでいて街灯が点いていた。

一階にある部屋のチャイムを鳴らす。

「はーい。上がってー。」

部屋着の三条が現れた。まあ俺も、上着を脱げばほぼ部屋着みたいなものだけど。

「お邪魔します。てか、いい匂いだけど何作ってんの?」

鼻をくすぐる香ばしい香りに誘われて、居間へと入っていった。

「燻製の鴨が売ってたから、皮の方だけ火を入れてみた。」

「めっちゃオシャレなことしてるじゃん。」

「残りはレンジが頑張るよ。なんなら月陽が作ってくれてもいいけどね。」

確かに、宅呑みのほとんどは愚痴を聞いてもらうため、俺の家で飲んでいる。なので、つまみを作る腕前だけは上がってきていた。

「……考えとく。」

日本酒飲んで、気分良くなったら作り出しそうだなと、自分でも思った。


居間の座卓に鴨の他にイカを炒めた物とピザが乗っていた。

俺はリュックの中身を取り出し、どれにするか三条に聞いた。

「今日はチューハイにしようかな。」

やはり、話をしっかりしたいんだろう。俺も同じチューハイを手に取り、残りを冷蔵庫へ入れた。

「月陽が日本酒なんて珍しいね。」

四合瓶を見て三条が言った。

「今年の正月に、うまいうまいって飲んでたら、親父が買ってきてくれた。たぶん偉紀も好きだと思うよ。」

「やった!楽しみ。」


「「お疲れ様~」」

座卓の料理が冷める前に乾杯をし、飲み始めた。


「で、今日はどうした?」

俺が単刀直入に話しを振った。


「今日、兵員会議にオンラインで参加したんだけどさ。」

「古賀さんが、全国のヒーローに向けて“必殺技名を付けて叫べ”って言い始めて……。」


「はい?」

俺の頭の上には?が乱立している。


「“発動中は、声も一般人には聞こえないし、叫んだ方が力出るでしょ。”って。」

思いつめた顔で、三条は話している。

スポーツ選手も声を出して力を出すこともあるし、一理あるのではと思う。


「それの何がダメなのさ?」


三条は押し黙った。しばらく沈黙が続く。


「……恥ずかしい。」


「はい?」

「だから、恥ずかしいじゃん!自分で決めた技名叫ぶのって!」

冷静に考えると、やらせようとしていることが中二病チックだとも思う。


「……確かに。でも、それで力入れやすくなるんだろう?」

「じゃあ月陽は“バキュームなんちゃら”って言いながら走れる?」

「うわ、はずい。」

「でしょ!」


考えただけで背筋が凍った。大の大人が寒すぎる……。


「しかも、今週中に技名の案考えて、来週支部内で発表なんだぜ!」

「ドンマイしか出てこない……。」


少し落ち着いた三条が、テーブルの一点だけ見つめたまま俺に言う。


「月陽、考えるの手伝って。」

「はあ?」


今度は真っ直ぐ俺を見て

「月陽が考えたやつなら、滑っても月陽が考えたやつだしって、恥ずかしくなくなるから。」

「なお悪いは!」


と、いいつつ一緒に考えるのが幼馴染の性ですけどね。


さあ、ここから地獄のネーミング会議が始まった。


次回は 1月 30日 21時更新です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今回&次回はギャグ?ほのぼの?回なので、ごゆるりと読んでください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ