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2022年9月下旬 画面の先に

2022年9月下旬 編 (2/4)

前話からの続きになります。

それは見えない。

だが確実にそこに居続けた。周りに流れて来たもの全てを巻き込んでまるで流れを止めるかのように……。


「森田班全員戻りました。」

何も“異常”は無かったため俺たちは支部に戻って来た。森田が支部内に作られた対策本部へ報告に向かった。他の山間部組もチラホラ戻ってきている。慌ただしくしている様子は無い。今のところ、エニグマは発見されていないらしい。少し安堵した。支部にあと2班あるクリーンだが、何かと危ない任務は52班が多いらしい。今回何かあったら即出動掛かってもおかしくはなかったはずだ。


「うわ、俺の家断水だわ。」

立石がニュースを見ながら言った。立石の自宅は支部から少し離れた別の区に属している。

「立石さん朝家にいたんじゃないですか?」

断水は朝から続いていたはずだ、なぜ知らないのか不思議に思った。

「俺、頼まれて昨日宿直してたんだよ。家に帰ってなかったから知らなかった。」

「そうだったんですね。お疲れ様です。」

「てか、宮部の家の辺りも2時間前まで停電してたんだな。」

「冷蔵庫の中身だけ心配です。」

それぞれの自宅も何かしら被害の影響は受けていた。それほど大きな台風だったのだ。


「ホントだ!!!」

テレビの前で佐々木が叫んだ、ちょうど断水のニュースをやっているところだった。

「だよね!何かいたよね!!」

もう1人騒いでいるのは、普段はおとなしい同じ班の日下部くさかべ はなだった。いつも佐々木と一緒に騒いでいる西城は首を傾げている。

「珍しいね、日下部さんまで騒ぐなんて。」

俺と立石は、日下部にそう話しかけた。日下部が息巻いて俺たちに詰め寄った。

「おふたりとも、このニュースの画像見て下さい。エニグマかは判断できませんが、何か映っていると思うんです!」

スマホの画面には断水元の画像があった。流木や土砂で塞がれていて水を取り込めていないので断水していると書かれていた。

「そうか?」

立石も首を傾げた。俺も一緒に首を傾げる。

「そのまま動画見て下さい。」

そう言って日下部はそのまま動画を流した。

アナウンサーの説明を聞きながら動画を見続ける。頭の中に水の轟音がゴーっと聞こえた気がした。次の瞬間、格子の下から透明な何かがニュルっと逆流したように見えた。

慌てて立石を見るが、相変わらず彼の首は傾いたままだ。

「……もしかして、最後の格子下の事?」

俺が恐る恐る聞くと、日下部と佐々木は目を輝かせた。

「分かってくれましたか宮部君!佐々木さんも一緒に班長に知らせに行きましょう!」

俺と佐々木の腕を引っ張るように対策本部の方へ日下部が歩いていった。


「失礼します。村越班長お話よろしいですか?」

日下部はいつものオドオドした感じとは打って変わってハキハキと班長に話しかけた。

「どうした日下部……その……いつもと雰囲気違うぞ?」

逆にオドオドする村越を見て笑わないようにするので精一杯だ。

「この動画についてです。」

先ほどの動画を村越に突き付けた。まるで水戸黄門の紋所みたいに。

「最後の10秒くらい、中央の鉄格子、下の方です。」

俺が付け加えた。食い入るように村越も動画を見る。村越の目が一瞬開かれたように見えた。


「やっぱりそっちも若手が持ってきた?」

俺たちに何かを言おうとした村越を遮って、古賀が話しかけて来た。

後ろには三条と和泉がいる。

「断水の原因の所でしょう?若い子の動体視力は凄いね。」

古賀は、俺たちの方へ笑顔を向ける。

「月陽も見えた?」

三条が話しかけて来た。

「あぁ、最後にニュって出て来たあれだろ。」

三条が頷く。


「さっき支部長に話して来たら、報道陣多くて先発班派遣できないらしい。夜にぶっつけ本番で行ってこいって。」

支部長室のある方を顎でしゃくって言った。

「本気で言ってるのか?支部長……」

村越が半分あきれ顔で返事をした。古賀が村越に話すという事は派遣されるクリーンは52班なのだろう。

先発班の下調べが無いという事は、今日みたいに自分たちでエニグマの場所を最初から探し、属性も分からないエニグマと対峙する事になる。同行しているヒーローが対峙できる属性なら問題ないが、その逆だと最悪ヒーロー・クリーン共々命を落としかねない。

考えるだけで手汗がジワリと浮かび、背筋が凍り付いた。

「その代わり、ヒーロー4人に透視ヒーロー1人クリーンは精鋭部隊で行って良いって。」

得意げに古賀が言い、怪訝そうな顔の村越は古賀に問いかけた。

「そのヒーローはだれでクリーンの精鋭部隊って何?」

古賀が笑顔のまま三条と和泉の肩に手を乗せた。

「ヒーローは、俺、森田、和泉、三条。透視は夜だから法月、そしてクリーンの精鋭52班でいいんじゃないか?」

尚も自信満々な古賀に対して、村越はため息をついた。

「日下部、阿部呼んで来てくれ。宮部と佐々木は残りの52班集めて来てくれ。」

村越はこめかみに手をやり眉間に皺を寄せた。今日の激務を思い頭痛がしているのだろう。

俺もじわじわ背中に恐怖を感じた。

これを出動の度に、ほぼ1人で背負うヒーローの凄さを改めて思い知る。

ミーティングに備え早めに班員を集める事に集中した。

いつも以上に危険な夜の為に最善を尽くす。


次回 1月 20日 21時に更新します。

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4部作の次回3話目になります。色々話が動きます。


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