猫は知らない
少々ブラックです。
お気を付けてお読みください!
人の気もちなど、猫は知らぬ。
「あーむかつく、ちょっと今からメッセージ送るね」
飼い主の携帯に映る差出人の文字に猫は寄り目になった。どうして怒ったらメッセージを送りたいのか。猫ならば怒ったら引っ掻いたり殺したりするのに。
蚊やネズミにからかわれたら猫は怒るものだ。猫は仮初の理解をした。虫けらやネズミのような奴にコイツはムカついたのだな、と。
ピコ♪と音がする。また同じ差出人からだ。
猫は画面をバシバシ撫でて全文読んだ。
「アイツ自惚れてるよね。ちょっと優しくしたら偉そうな御託並べて。何様って感じよ。いい加減利用されてるって気づけばいいのにwwwてかさ、アイツキモいから全員で無視しない?もう用済みでしょwww」
なるほどわからん。
格下相手に優しくしていたのか。格下に利用価値があると思っているのか。もしかしたら格下がコイツを利用しているかもしれないのに。自惚れているのはどっこいどっこいだろう。
猫は思った。
ムカつく前に仕留めなかったのが悪いのだ、と。
格下に猶予を与えたのだから、完全にコイツの負けである。考えながら猫は不思議そうに画面を眺めていた。
携帯の点滅を見た猫の飼い主が携帯を取り上げる。画面を見ながら、
「うわめんどくさ……」
と言った。
猫は飼い主がなんと返信したかわからない。
「はぁ、適当に返しとこ」
飼い主の言う『適当』は猫にはわからない。
わからないなりに考えてはいる。
きっと、
「今度は確実に仕留めろ」
そう返したのだと想像して猫は欠伸した。青い琥珀糖のような空が綺麗である。見惚れていたら突然視界に虫が飛んだので、猫は迷わず仕留めた。
そう、ムカついたら、こうすれば良いのだ。
猫はまるで手本を示すように、仕留めた虫を玄関に置いた。飼い主の悲鳴が鳴るまであと3、2、1……。
おしまい
最後まで読んでくれてありがとうございます!
多くの人は脳内で『仕留める』んですよね。笑




