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7話 Fragments of Rewrite

ようこそ、第七話へ。

物語は、いよいよ“境目”に差し掛かります。


ここまで描いてきた日常や冒険の風景、そのすべてが、ほんの少しずつ歪みはじめています。

何気ない言葉、偶然の出会い。どれもが伏線として、やがて一つの輪郭を形づくろうとしています。


ましろと陽菜――

彼女たちの歩みが、ひとつの「真実」に近づくためのものだったと、読者の皆さまが気づき始める回であればと願っています。


どうか、静かに訪れる変化の気配に耳を澄ませながら、お楽しみください。

 

――ましろが目を開けたとき、そこは見知らぬ空間だった。


空も地面も、すべてが真っ白で、無音。まるで誰かが“設計図のまま”放置した世界のようだった。


 


「……ここ、どこ……?」


 


キューブは静かに浮かび、画面には文字が映し出されていた。


 


《ステージ002:Rewrite Core領域》

《適合者データ抽出中……》


 


「データ……? 何の……?」


 


ふいに、足元から光があふれ、地面に無数の映像が映し出された。


それはましろがこれまでRewriteを使ってきたすべての瞬間。


陽菜と笑っていたとき。

戦闘で苦戦していたとき。

悔しさに涙をこぼしていたとき。


 


「うわっ……全部、見られてる……?」


 


次の瞬間、映像の中から、一人の少女が現れた。


 


ましろ自身――だが、表情がまったく違う。無表情で、機械のように冷たい。


 


「Rewriteは万能ではない。お前は、誤った選択を繰り返してきた」


 


「……なにそれ、私が間違ってたってこと?」


 


「事実だ。Rewriteの本質は、“運命の拒否”だ。お前は、決まった未来を書き換えることで、本来の世界を崩壊へと導いている」


 


「…………」


 


ましろは、わずかに唇を噛んだ。


けれど、その顔には、迷いと一緒に、ほんの少し怒りも宿っていた。


 


「じゃあさ、運命通りだったら、陽菜は死んでたの?」


 


「――それは、答えられない」


 


「ほらね。なら、私は私のやり方で戦うよ。Rewriteって、私が“こうしたい”って思う気持ちが力になるんだもん!」


 


静かに、キューブが共鳴する。


その音に呼応するように、偽ましろの姿が溶け、場の空間が揺れ始めた。


 


《Rewrite適合値、安定化》

《新スキル:Chrono Layerクロノ・レイヤー 解放》


 


「新しいRewrite……!」


 


ましろの手に、薄い光のレイヤーが重なる。


それは“未来の選択肢をいくつも重ねて、最も有利なものを選び取る”Rewrite技術だった。


 


「陽菜、待ってて……今度は、私が迎えに行くから!」


 


 


――同時刻。陽菜側。


ログに残った《Rewrite Hearts の片翼が異常転送されました》という警告に対し、陽菜は黙々と行動を開始していた。


 


「ヒントはある……《Rewrite Core》、つまりRewriteの中枢。そこにアクセスできれば……!」


 


けれど、行く手には巨大なモンスターが立ちふさがっていた。


それは“Rewrite使用者を守るシステム”として存在している、AIセキュリティ。


 


「やるしかない……この剣で、Rewriteの扉を斬り開く!」


 


陽菜が構えたのは、自身のスキル《心刃・神識一閃しんじん・しんしきいっせん》。


一撃の中に、信念と意志を集中させて放つ、対Rewrite用の切り札。


 


「ましろ……私は、強くなるって決めたんだ」


 


地を蹴って、陽菜が跳ぶ。


 


「――喰らえ!」


 


光が走る。


そして画面は、ましろと陽菜、それぞれの戦いの中でフェードアウトしていく――。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


第七話は、物語の中でも特に“余白”を意識して書いた回です。

すべてを語らず、けれど確かに何かが動いている――そんな空気を大切にしました。


ましろのキューブが見せる力の先に、果たして何があるのか。

そして陽菜の沈黙には、どんな理由があるのか。

読者に委ねる部分も多い構成ですが、だからこそ、それぞれの想像が物語に広がりを与えてくれると信じています。


次回、いくつかの“気づき”が、物語に波紋を投げかけることになるでしょう。

真実はまだ遠く、けれど確実に近づいています。


これからも、彼女たちの物語にお付き合いいただければ幸いです。

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