3話 System Alert
こんにちは、作者です!
気づけばもう第3話。今回は少しずつ物語の世界が広がり始め、ましろの“キューブ”の力についても、ほんのちょっとですが深掘りしていく回になります。個人的にこの回は、ましろと陽菜の距離がぐっと近づくきっかけにもなるので、書いていて楽しかったです。二人のやりとりが少しずつ自然になってきて、会話のテンポも「らしさ」が出てきたかな…と、ちょっとだけ満足してます(笑)
それでは、本編をどうぞ!
《イベント終了》
「…………あ、勝ったの?」
ましろがぼそりとつぶやいたときには、すでに視界にはいつものログインロビーが戻っていた。
「――ましろ!」
陽菜が声をかけてくる。ましろはキューブを抱えたまま、ソファの上で放心していた。
「え? あ、うん! ごめん、なんか一瞬だけ寝ちゃってた気がする……」
「寝てないでしょ。あんた、キューブで《ブラフェザ》の大剣を“止めた”んだよ?」
「……え、うそ……それ、私なの?」
「誰でもないでしょ。キューブは、ましろだけのものなんだから」
陽菜は笑いながら肩を叩くが、その目には少しだけ緊張が残っていた。ましろの能力は、戦闘の中でもはっきりと“異質”だった。
「……でもさ、あれって、なにが起きたんだろうね。完全にゲームの仕様超えてなかった?」
その瞬間、ましろの視界に――ログウィンドウとは別に、“それ”は現れた。
《Rewrite(再定義)完了――次の命令を入力してください》
「……え?」
表示されたのは、ましろにしか見えない、あの黒いキューブの画面だった。
だが、明らかにいつもと違う。そこには通常のインターフェースでは見たこともない、プログラムのような命令文と不規則なノイズ。
「陽菜……見えてる? これ……」
「え? なにが?」
「……やっぱ、私にしか見えてない……」
ましろがじっと画面を見つめると、文字が静かに書き換わった。
《Rewrite:現在のゲーム構造にアクセス中。警告:この行動は管理者権限に干渉します》
「……これ、やばいやつじゃない?」
「うん。どう見てもやばいやつだね」
陽菜が腕を組みながら、眉をひそめる。
「これってつまり、ましろ……あんた、ゲームの“ルールそのもの”を、書き換えられるってこと?」
思わずましろはキューブを抱きしめる。
「え、ええええ!? 私、なんかすごい怖いことしてる!? ただ、守りたかっただけなのにっ!」
「いや、そこはすごいんだけどさ。運営が気づいたら……」
その言葉の続きはなかった。
画面の片隅に、新しい通知が表示されたからだ。
《Rewrite Hearts Online 管理局より:対象プレイヤー「ましろ」へ――面談のため、特別インスタンスに移動します》
「……うわ、絶対これ、怒られるやつだ……!」
「違うかもよ。むしろ“スカウト”かも」
「それはそれでこわいってば!!」
視界がゆっくりと白く染まり、ふたりの体が再び光に包まれる。
だがそのとき、ましろはまだ知らなかった。
自分が引き起こした“書き換え”が、《Rewrite Hearts Online》というゲームそのものの根幹に、静かに波紋を広げはじめていたことを――
最後まで読んでくださって、ありがとうございます!
第3話はいかがでしたか?実は今回、ましろのキューブの使い方でけっこう悩んだところがありました。「これ強すぎでは?」と自問しつつ、「でもこの世界観なら…」と自分を納得させながら書いてます(笑)でも、そのぶん自由度が高くて、今後どんな風に展開していこうかな~と妄想が止まりません。
それと陽菜の剣さばき、地味にこだわってます。見た目はクール、中身はちょっとお姉さんぽい彼女が、どうやってましろを支えていくのか…今後の展開も楽しみにしてもらえたら嬉しいです!
次回は
少しだけシリアスな展開になる予定…お楽しみに!
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