1話 ふたりの始まり
初めての小説投稿ということで、この物語を手に取っていただき、ありがとうございます。物語の舞台は、幻想的で少し不思議な世界の中で繰り広げられる冒険と成長のストーリーです。主人公の「ましろ」と「陽菜」がどんな困難に立ち向かい、どのように絆を深めていくのか、その過程を楽しんでいただけたら嬉しいです。
「Rewrite Hearts Online」は、私自身の想像力と情熱を込めて書いた物語です。これからお読みいただく中で、少しでも心を動かされる瞬間があれば、それが何よりの喜びです。どうか、温かい目で見守っていただければと思います。
それでは、物語の扉を開けていただければ幸いです。
ましろが目を開けると、広がる景色に息を呑んだ。
それはまるで、彼女が今、異世界に迷い込んだかのような――いや、異世界そのものだ。目の前に広がる景色は、ありえないほど美しく、ゲーム画面を飛び出した現実そのもので、思わず声を上げた。
「……うわぁ、すごい! まるで絵みたい!」
彼女の視線の先には、青い空、浮遊する島々、まるで魔法で作られたかのような街並みが広がっている。地面を歩いているのは、精緻にデザインされた大理石の道。そして、空気を含んだ光の粒子が、幻想的に舞い踊る。
ましろは、気づけば足元で軽くバランスを崩して、ふわりと浮く感覚に思わず足を踏み外した。
「あっ!」
そしてそのまま、慣れない操作に引っ張られて、見事に顔から砂利に突っ込んだ。
「いきなり何やってるの?」
背後から、冷静な声が聞こえてきた。
「陽菜っ!?」
ましろは顔を上げると、そこには冷静に立っている陽菜の姿があった。完璧に決めた動きでバランスを保ちながら、まるで何もなかったかのようにこちらを見下ろしている。
「まさか、最初からこんなことやるなんて思わなかったけど」
陽菜は少し呆れたような表情を浮かべていたが、その目はどこか楽しげでもあった。
ましろはすぐに起き上がり、地面についた手を払いながら言った。
「大丈夫、慣れたらきっと平気だから! …たぶん!」
陽菜は溜息をつきながらも、ましろの勢いに引き込まれていくように微笑んだ。
「それで、何が見えてるの?」
「すごいよ、陽菜! これがゲームの世界だよ! 本当にリアル!」
ましろは目を輝かせながら周囲を指さした。そこに広がるのは、まさに異世界そのもの。浮遊する島々や煌めく魔法の光――まるで映画のワンシーンをそのまま持ってきたかのようだった。
陽菜はそのまま、しばらく周りを見渡した。目を細めて、やや感慨深げな表情を浮かべる。
「さっきから何を言ってるのかと思ったら、現実と一緒にゲームの中身を見てるだけじゃない」
「は?」
「ましろ、キューブ。さっきから後ろに浮いてるアレ」
ましろは不安そうに背後に視線を向ける。――黒い立方体のキューブが、浮いている。
「これか……。言われてみれば、なんか自分でも気になるけど、他の人には見えないんだって」
陽菜はそれをじっと見つめると、何かを感じ取ったように静かに頷いた。
「不思議なものを手に入れたね。しかも、こんな世界で」
ましろは自信満々に言った。
「たぶん、私にしか使えないスキルだと思うんだ。もしかしたら、めっちゃ強いやつかもしれない!」
「その調子で進めば、きっと最強だね」
陽菜は冷静に答えると、ふたりはゲームの操作に慣れようと一歩踏み出す。
ましろはつま先から魔法を出そうとしてみるものの、やっぱりうまくいかない。
「うーん、なんかうまくいかないなあ……」
「その魔法、空気を裂けって感じ?」
「うーん、それっぽい感じだけど……あれ? あれ、だめだ!」
ましろは、またもや見事に足を踏み外して転んだ。陽菜はそんなましろを静かに支えながら、微笑んだ。
「なかなかやるね、転び方がきれいだよ」
「それ、誉めてるんじゃないよね?」
「まあ、けどちょっとだけ楽しいかも」
陽菜が軽く肩をすくめてから、ましろを引き上げる。
その後、ふたりは一緒に操作を学び、軽くバトルをこなしてみた。ましろは陽菜のサポートを受けながら戦うが、やっぱり魔法も剣もなかなかうまくいかない。
「陽菜、ほんとに上手だよね。剣道とか、すごく得意なんでしょ?」
「少しだけ。けどこのゲームじゃ、技術だけじゃ足りない」
「でも、私と一緒ならきっとできるよ!」
ましろはすぐに笑顔で返した。その笑顔に、陽菜もまた無意識に引き寄せられるように感じた。
「それでこそ、相棒だね」
陽菜は一瞬、真剣な目をしてから、画面に目を向けた。
「目指すべきは――ペアランキング1位」
「いきなりすごいこと言うね、でも私もやる気出てきた!」
「よし、じゃあ決まりだ。最強のペアを目指して、今日から一緒にやろう」
ましろは力強く拳を握り、陽菜もそれに応えるように肩を叩く。
「それじゃ、チーム名決めないと」
「《Rewrite Hearts》! これで決まり!」
ましろは力強く宣言する。それを受けて、陽菜も笑みを浮かべて頷いた。
その時、ましろの背後に浮かぶキューブが、一層強く輝きだした。
ましろと陽菜、ふたりの物語はここから始まる。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この物語を一緒に楽しんでいただけたこと、心から感謝しています。
執筆にあたっては、様々な試行錯誤がありましたが、キャラクターたちが成長していく様子を描くことができて、とても充実した時間でした。特に「ましろ」と「陽菜」の関係性にこだわり、彼女たちの絆が物語を支える力になってくれることを願っています。
まだまだ未熟な部分も多いと思いますが、これからも成長し続け、より良い作品をお届けできるよう努力していきます。もし少しでも共感していただけたなら、それが私にとっての励みになります。
次回作もぜひ楽しみにしていただければ嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。
良ければブックマーク、評価お願いします!