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政治経済エッセイ

農家の時給はなんと10円!? 「食料供給困難事態」は政府の「国策」と思われる状況について

作者: 中将

筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回は現状の日本の「農業政策の悲惨さ」についてみていこうと思います。



質問者:

 農家の方々は困窮して「令和の百姓一揆」と呼ばれるデモが3月30日に行われたようですね。

 トラクター30台を始めとして主催者発表で3200人集まったとか……。

 


筆者:

 東京以外にも全国10カ所以上で同時に行われそれぞれ盛況だった模様です。

 やはりそれぞれの農家の方々が困窮をし、それを訴えようという気になられたのだと思います。


※ちなみに今回は「財務省解体デモ」とは異なり朝日新聞、毎日新聞、産経新聞などが報じました。



質問者:

 そんなに農家は困窮しているのでしょうか……?


 アメリカからは「アメリカ産のコメに700%関税を課している」とか言われているんですけど……。日本の農家はむしろ保護されているのではないか? と言われていることについてはどうなのですか?



筆者:

 日本政府が2005年の世界貿易機関(WTO)交渉時に当時のコメの国際価格を基に実質的な関税率を778%と計算していたこともあったそうなのでそれを根拠にしているのでしょう。


 しかし現実は日本は輸入するコメに一定の低関税枠(国内で消費する量の3%以下)を設けたうえで、それを超える分は1キログラム当たり341円の関税を課している程度です。


 

質問者:

 それなら日本が守られているということは無いんですね……。



筆者:

 むしろ日本は農業政策は「後退し続けている」と言えます。


 特にコメに関して言えば2022年度の時給は「実質10円」、2023年度の時給は「実質97円」と言ったことが衝撃を呼びました。


(肥料代や光熱費なの必須な経費を除いた所得を労働時間で割った金額であるために純粋な売り上げがそんなに低いわけではありません。しかしそんな金額で暮らせないのは間違いないです)


 しかもこれは補助金を含めた金額であるために極めて農家は危機的状況です。


 雇われているわけでは無い個人事業主がほとんどであるために最低賃金を実質的に下回っても労働基準法などに違反しないのです。



質問者:

 補助金含めてその金額は酷いですね……。


 でも今は減反政策などは無くなったんですよね? どうしてそんなに売り上げが低いままなのでしょうか……。



筆者:

 確かに安倍晋三首相(当時)は平成30年減反政策を廃止し、「生産数量目標」の設定は無くなりました。


 ところが、農水省は現在も毎年、翌年作るコメの「適正生産量」を決定・公表し、これに基づいてJA(農業協同組合)などが農家にコメ生産を指導しているそうです。


要は実質的な生産調整が今も行われており、実態はまったく変わっていないのです。


 かつては戸別所得補償制度は減反への参加を条件に、主食用米を生産する農家に10アール当たり1万5,000円を政府が支払っていたのですが、

政府はこれを平成26年には7,500円に引き下げ、さらに減反政策が無くなった平成30年には廃止されました。


 さらに、米から飼料用米や麦などへの転作補助金はむしろ拡充したのです。


 このような状況は「自ら食料困難事態を生んでいる」とも言え政府が米農家廃業(転作)を促進しているのです。



質問者:

 それは酷いですね……。特に米は唯一日本の中で自給率が100%近いのにその扱いとは……。



筆者:

 農家のためのセーフティーネットとしては、代わりに2019年度から「収入保険制度」の導入が予定されました。


 過去5年間の収入の平均額を算出し、この金額と申告時点の収入との差額のうち81%を農家に支払う仕組みです。しかし現在は米農家からJAに売られている金額はそれほど上がっておらず、低くい基準額とより少なくなった所得との差額の8割を補填してもらっても、農家の経営が改善されることは無いのです。



◇農家は「食料供給困難事態対策法」をほとんど知らない



質問者:

 4月1日から「食料供給困難事態対策法」と言うのが施行されたそうなのですが、

 この法案はどういった法案なのでしょうか?



筆者:

 食料供給が減少し、国民生活・国民経済に影響が生じる事態を防止するため、必要な対策を政府一体となって早期から措置を行うものです。


 今のところ誰もが思いつかれることとしては「台湾有事」が想定されていると思うのですが、農業は天候などで大きく左右されます。


 そのために世界の食料生産国で飢饉が生じれば日本の天候が普通だったとしても即座にダメになるでしょう。



質問者:

  今現在の食料自給率が4割を切っている状況ですからね……。


 食事が半分以下になるかと思うとゾッとしますね……。



筆者:

 化学肥料自給率は0%に近く、それらを加味すると食料自給率10%台と言う話もあります。


 そもそも思う事としては、日頃から支援していないで海外から食料が入ってこないような深刻な状況の時に急に増産できるのかと言う事です。


 しかも肥料なども輸入できない可能性が高く(ほとんどが輸入)、むしろ減産になる可能性が極めて高いです。


 そうなると、事前段階として生産力の抜本的な強化、生産者の所得の向上、若い方の就農などを大きく強化していく必要があると思うんです。


 特に米につきましては「減反」している場合では無く「米粉」などを普及させ小麦の輸入などを抑えるべきだったのです。



質問者:

 確かに、「時給10円」や「時給100円」で新しく就農したいとは思いませんものね……。



質問者:

 この「食料供給困難事態対策法」について農家の方々はどのような評価をされているのでしょうか?



筆者:

 中古農機具の買取・販売事業「農機具王」を展開する「株式会社リンク」の農家に対する調査によりますと(調査期間:2025年3月12日~25日)、


・食料供給困難事態対策法を認知している農家は約3割


・食料供給困難事態対策法を認知している農家のうち、深く理解している農家は7.2%


・食料供給困難事態対策法に対し、前向きな意見を持つ農家はわずか16%


・法案を反対する理由の1位は、「食料生産の要請に対応する余力がないから」


・農業に対する政府の支援が不十分だと感じている農家は75%以上


 と、いうアンケート結果が出ています。

一番影響が出る農家の方々に全く認知されていない上にやはり政府への支援への不満が大きくあります。



質問者:

 何か「賃上げ」についてもそうなのですが、「指示」しているだけで実際のところは何もしてくれない感じが凄いですね……。



筆者:

 この状況が深刻だと気づいた方々が「令和の百姓一揆」に参加したのだと思いますね。



◇政府の支援が無い「稼げる農業」は「一般国民の負担増」になる



質問者:

 政府は今現在「稼げる農業」と言うのを目指しているのですが、これを推進していくことが大事なのでしょうか?



筆者:

 今現在において農家の方々が利益が出ていない状況と言うのは先ほどお伝えしたわけですが、これを国の戸別補償なく「利益が出る状況」と言うのは日本国民にとっては悲惨だと思うんですよ。


 つまり、日本国内の農作物の値段が爆上がりして何も買えなくなるか、

日本に流通せずに海外に流れて、海外から日本人の体に合わない食べ物が流入するという事を意味しますからね。


(地元で生産された野菜や果物は、輸送や保管の過程での栄養素の損失が少ないため、基本的に僕は地産地消と言う考え方に賛同しています)


 これは本当に恐ろしい状況を示しており政府がそれを率先して推進しており、

 更にはマスコミもこういった分析をしてくれていないのです。



※コメ輸出を8倍に増やすという目標が発表されており、

 輸出向けの作付けには4万円/10aの補助金が支給しているという有様です。


※さらに現状農作物は中国が日本の2桁多く買っている“爆買い”の状況であり、日本が今後“買い負ける”可能性すらあります。



質問者:

 確かに農家の方々が利益が出るという事は他の日本国民が困窮する又は海外から輸入することになるんですね……。


 ところで政府は今年度の予算で新しく追加で何かないんですか?



筆者:

 農林水産省の令和6年度予算が2兆2,686億円に対して令和7年度は2兆2,706億円とほとんど変わりません。



質問者:

 大丈夫なんですか……?



筆者:

 大丈夫じゃないですよ。


 ただ、2024年11月29日に財務省は「食料自給率の過度の重視は不適当」「高水準の農林予算の早期是正」「飼料用米の水田活用交付金からの除外」などと削減を要求していたので“横ばい”はまだマシな方ですよ



質問者:

 凄い低レベルの話な気がします……。



筆者:

 EUでは共通農業政策と言うのがあり直接農家に支払われます。

 所得保障や市場価格の変動に対処するための農業者支援が行われているのです。


 農業は豊作すぎれば価格は下がり、不作なら価格は上がるが収穫量が無いのでそれはそれで儲からず、「適度に収穫して、価格が高いことを願う」ことしかできないというのが実情なんです。


 だから戸別補償というのは必須であると僕は考えます。


 農業が出来る平地の土地面積も狭いために日本は海外に対して“竹槍”で戦っているのが実態だと思います。



◇少しでもいいので自分で作っていくしか値上がりに対抗できない



質問者:

 最近は米の値上がりがハンパじゃ無いですよね……。去年の同時期と比較して2倍になっているとか……。



筆者:

 これは僕も最近知ったのですが、24年8月20日に値上がりが始まった状況の中でSBI証券が「米の先物取引」を開始してなんと米を「投機化」したんですね。


 これにより需給バランスによる価格決定以外の要因が出てしまったわけです。


 更に岩屋毅外相が25年3月22日の「日中ハイレベル経済対話」で中国に対して精米の輸入拡大を求めたということがありました。


 このように日本人が食べる安い日本米は無くなっていくと思われます。



質問者:

 これは悲惨ですね……。まず日本人のための米を安く作るように補助してくれよと……。



筆者:

 野菜などに関しても肥料が輸入が8割以上なので今後ドンドン上がっていくでしょう。


 そこで僕がお勧めしたいのが家で少しでもいいので栽培していくことです。



質問者:

 筆者さんのご家庭では既に野菜の栽培を実行されているそうですが、自給率はどれぐらいなんですか?



筆者:

 種や苗を買う初期投資はかかりますが、それ以外は去年の秋以降は野菜を全く買わずに済みましたね。ということで秋以降は野菜自給率100%でした。



質問者:

 え……大成功じゃないですか!



筆者:

 いや、全然成功していないんですよ(笑)。


 まず芽が出ない(笑)。芽が出ても大嵐が起きたら吹き飛ぶ。そして最近は収穫した作物を保管に失敗して勿体ないことに腐らせてしまいました……。



質問者:

 結構難しいんですね……。



筆者:

 課題が見つかってその都度学んでいく感じですよ。


 まぁ、僕の場合は化学肥料を使わなかったり、無農薬でやろうとしているので普通の作物より難易度が高いんですけど、安全度は段違いです。


 後は、できた時の喜びはひとしおですね。



質問者:

 なるほど……少しでもいいからご自分で作っていくことが大事になるんですね。



筆者:

 最早、政府の農業政策は何のアテにもなりません。


 今後値段は上がるか外国産の食べ物になってしまうのでその先手を打っていこうというわけです。


 皆さんもベランダ菜園や室内菜園でも良いので初めてみてはいかがでしょうか?


 僕がお勧めなのは「ブロッコリースプラウト」を作り発芽3日目ぐらいのブロッコリーの小さい状態のを食べると非常に栄養価がありつつ市販されていないので貴重です。


 家の電気の光で育てられるので農地が無くとも出来るのが良いですね。僕はこれをお味噌汁の具の一つに活用しています。


※ただし気温が高くなるとできなくなります。6月~9月以外の時期にやると良いでしょう。


 植えられる土地がある方はサツマイモを栽培すると良いでしょう。何と葉っぱを茹でて食べることも出来るので(味はホウレンソウみたいな感じ)、野菜みたいな活躍も出来ます。適当に植えて放置しても育つので時間の無い方にもお勧めです。



質問者:

 なるほど……ちょっとでもいいから始めて行かないと本当に日本の農業政策はマズそうですからね……。



筆者:

 僕は「食料困難事態」と言うのはある種自主的に作っていって国民を従属させる作戦なのではないか? とすら思ってしまいます。


 その手から逃れるためには自分で作るしか無いと考えています。


 今後もこのような政治政策とその対策について個人的な意見を述べていきますのでどうぞご覧ください。

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― 新着の感想 ―
 質問者の発言部分が一部抜けてます?   価格や所得の補償制度はあくまでも保険なんでね。  「例年通り」や「例年に僅かに届かない」くらいだと当然対象にならないから制度に加入している分マイナスになるし…
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