炎天下のカッターシャツ
光里と紗奈は体育祭が終了したにも関わらず、きっちりと第一ボタンまで閉めたカッターシャツ姿で学校生活を送っていた。
現在カッターシャツを着用している生徒はたったの4人でかなり目立っている事は明らかだったので恥ずかしさが余計に増していた。
体育祭以降はずっと30℃超えの蒸し暑い日が続いているので、学校に着くまでには汗で襟がぴっちりと首に張り付いている。
袖ボタンも閉めているので、手首周りまで汗で気持ち悪くなる。
7月の上旬まで光里も紗奈も襟の窮屈さを味わい続けていた。
休み時間
光里「あーもう!襟と手首が気持ち悪い、、、あと二週間もこの服で過ごすなんてありえない、、、」
紗奈「あと二週間でやっと終業式だね。もう少しの我慢だよ。」
光里「そういえば終業式って長袖のセーラー服じゃないとダメだったよね?」
紗奈「そういえば式は季節関係なく長袖のセーラー服だった。」
光里「終業式は私たちも長袖のセーラーでいいよね?」
紗奈「たぶんそれでいいよ!カッターシャツは終業式の前の日までじゃない?」
光里「あとで先生に聞いてみよう!」
担任の授業が6限目に入っていたので、光里と紗奈はその授業が終わった後に先生に聞いてみる事に決めた。
6限目終了後
光里「あの、先生すみません、今少しお時間いいですか?」
担任「いいですよ。授業の質問ですか?」
光里「授業のことじゃ無いんですけど、終業式は私たちも長袖のセーラー服で良いんですよね?」
担任「ああ、その事ですが、カッターシャツの着用違反者は、カッターシャツの上に長袖のセーラー服を着ることに決まりました」
光里・紗奈「え!?」
光里「こんな暑いのに長袖2枚ですか!?」
担任「ええ。さすがに登下校中はあなたたちは長袖のセーラー服を着なくてもいいです。ただ式の際は長袖セーラー服も着ておいて下さい」
紗奈「そんな、、、こんなに暑いのに」
担任「忘れないようにして下さいね。また違反になってしまいますよ」
放課後
光里と紗奈はきっちりと第一ボタンを閉めたまま家まで歩いていた。
光里「カッターシャツにセーラーって死ぬほどダサいよね、、、」
紗奈「今より絶対ダサくなる、、、もう最悪!」
光里「とりあえず帰ってこの上からセーラー服着てみようかな」
紗奈「うわーもう今から気が重いんだけど」
光里「着たら写真送ろうか?笑、紗奈も着たら写真送ってよ」
紗奈「絶対ダサいし着たくないけど光里が送ってくれるなら私も送る」
光里「家の中でもシャツの第一ボタン外したらダメだからね?笑」
紗奈「光里こそ外さないでよ!」
光里「顔も隠さないでよ?」
紗奈「わかったって、、、」
光里と紗奈はほとんど居ないカッターシャツ仲間なので、前より仲良くなっていた。
家に着いた光里は第一ボタンを閉めた暑苦しい格好のままクローゼットの長袖セーラー服を取り出す。
そして鏡の前に立ち、長袖セーラー服を着ていく。
光里「うわぁ、、、やっぱダサすぎる、、、」
カッターシャツの上からセーラー服を着た光里は、セーラー服の首元から見える真っ白な襟と第一ボタンの芋臭さにびっくりしていた。
長袖のセーラー服は全体的に暗い色なので、カッターシャツの白さが無駄に強調されてしまう。
冷房の効き始めた部屋でも暑苦しくて汗が吹き出してきた。
恥ずかしさと首の窮屈さ、暑さで顔が真っ赤になり、早く脱ぎたくて堪らなくなった。すぐに鏡の前で写真を撮る。
メッセージアプリに紗奈から写真が送られてきていた。紗奈も恥ずかしそうな真っ赤な顔にセーラー服とカッターシャツ姿だった。
いつも可愛い紗奈がとてつもなく芋臭くなっている。
光里もすぐに写真を送ると、紗奈から「ダサすぎ笑めっちゃ似合うじゃん笑」と煽りのメッセージが届いていた。
光里もすかさず「可愛いね笑ちんちくりんの紗奈ちゃん笑」と煽り返す。
最近はお互いのカッターシャツ姿のダサさをいじり合う事が多くなっており、そのせいで2人とも余計に恥ずかしさが増していた。
終業式の日の朝の教室
2人とも朝から終業式の事を考えて憂鬱な気分になっていた。
みんなの前でカッターシャツの上にセーラー服というダサすぎる姿にならなければならないからだ。
そしていつも通りきっちりと第一ボタンまで閉めたカッターシャツ姿で2人とも登校した。
紗奈「ちゃんと長袖セーラー持ってきた?」
光里「持ってきたよ、、、仕方ないもん、、、」
紗奈「とりあえず着替えにいこっか、、、」
光里「うん、いこう、、、もう襟がびっしょりで首に張り付いてるし最悪、、、」
更衣室
光里と紗奈は更衣室に着いてすぐにカッターシャツの上に長袖のセーラー服を着る。
紗奈「うわ!光里ダサい!」
光里「紗奈も死ぬほどダサいから笑」
紗奈「いつも可愛いのに服のせいで台無しだよ笑」
光里「紗奈にこの格好見せるのも恥ずかしいのに、、、このままみんなの前に出るなんて信じられない、、、」
光里と紗奈は最近は恒例となったいじり合いをしながら体育館に向かっていた。
しかしその途中で注がれる視線のせいで、2人とも顔から火が出そうなほど恥ずかしい思いをしていた。
恥ずかしさで体育館に着くまでに結構な量の汗が出ていた。
終業式
もちろん体育館に冷房は無く、小さい窓が開けられているだけなので、蒸し暑さが半端では無い。
この中で1時間以上ほとんどの時間を正座をして式に臨まなければならない。
式開始から5分程度で光里も紗奈も汗でびっしょりになっており、カッターシャツが肌に張り付いてしまっている。
気持ち悪さのあまり今すぐ体育館から飛び出してセーラー服だけでも脱いでしまいたいと2人とも考えていた。
窮屈になるよう採寸された襟が今までにない量の汗で首に張り付いるのが特に不快だった。
頭から首にかけて流れてくる汗が襟をさらに濡らしている。
今すぐ第一ボタンを外して首に風を通したくなってしまう。
だがそんな事をすればまたカッターシャツの着用期間が延長になってしまう事は明らかなので、光里も紗奈も必死に堪えていた。
紗奈はなんとかして首に隙間を作ろうとして指を襟元に当てているが、首に食い込んでいる襟がそれを許さなかった。
光里もなんとか襟に隙間が出来ないかと首と襟の境目を指で探ってみるが無駄だった。
体育館の固い床に正座というキツイ姿勢、窮屈なカッターシャツの襟、カッターシャツの襟と第一ボタンを目立たせるセーラー服のダサさ、恥ずかしさ、それに加えて汗による気持ち悪さを光里と紗奈は1時間我慢し続けた。
放課後
いつも通りカッターシャツの第一ボタンをきちんと閉め、汗で濡れた襟に首を締め付けられながら光里と紗奈は下校していた。
首に食い込んでいる真っ白な襟が、光里と紗奈の襟元をとてつもなくダサくしている。
光里「あーやっとカッターシャツから解放される。間違っても家に入るまでボタンは外さないけど」
紗奈「今外して先生に見られたら本当に終わる、、、家まで我慢すればやっと終わりだね」
光里「そうだね、、、紗奈のダサい姿見れなくなるのちょっと寂しいな」
紗奈「私もそう思ってたんだよね」
光里「じゃあ後で何かのゲームして、負けた方は次遊ぶ時カッターシャツで来ることにしない?」
紗奈「絶対負けられないじゃん!もちろんカッターシャツは第一ボタンまで留めて、それ以外も校則通りの服装だよね?」
光里「やばい、、、なんかもう怖くなってきた!」
紗奈「そんなんじゃ負けてダサいカッターシャツ姿で私と遊ぶことになるよ?」