表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

炎天下のカッターシャツ

担任から服装違反の指導で、昼休みに職員室に来るように言われていたので光里と紗奈は午前中の授業にあまり集中できずにいた。


授業に集中できない理由は他にもあった。カッターシャツの襟に首を締め付けられていたからだ。


皆首を厳しく締め付ける襟が苦痛なようで、首元を触っている生徒が数多く居た。


前に先生がいるから第一ボタンを開けることは絶対に許されない。



休み時間



光里「私たち以外にもボタン外して指導になった人いるのかな?」


紗奈「さすがに私たち2人だけってことはないだろうし、いるんじゃない?」


光里「2人だけだと結構きついよね笑」


紗奈「きついきつい笑、絶対他にも違反した人いるよ」


光里「それにしても朝来る時恥ずかしかった、、、人が多いとこだとどこで見られてるかわからないからボタン外せないんだよね、まあ家からきちんと第一ボタン閉めてきたけど。」


紗奈「芋臭い格好してるとか思われてないか心配だったよ、、、光里がその格好で家から学校まで来たって思うと面白いよ笑」


光里「紗奈もそんな芋な格好で家から出てきたとか面白すぎるよ!笑。早く体育祭終わらないかな、、、カッターシャツを早く脱ぎたい、、、」



4限目が終わり昼休み



光里と紗奈はきっちりと第一ボタンを閉めて、恥ずかしそうに廊下を歩きながら職員室へ向かった。


職員室へ向かう途中も、生徒は全員第一ボタンまで閉めていた。昨日まで全員セーラー服だったからまるで別の学校の様に感じた。


職員室で担任を呼んだ。


担任「篠原さんと、園田さんね。別室まで移動しましょう。」



別室



担任「篠原さん、園田さん。あなたたちの服装の違反についてですが、処分は反省文とカッターシャツ着用期間延長、つまり夏休みまでカッターシャツ着用という事になりました。」


光里・紗奈「え!?そんな!!」


光里「どうしてそこまでするんですか!?」


担任「どうしても何も昨日私は注意をしたはずです。家に着くまで第一ボタンまで閉めて、袖ボタンも閉めておくようにと。巡回している教員がいるかもしれないからと。それに体育祭前で教員も指導に注力しています。」


紗奈「そんな、、、わかりました、、、この度は申し訳ありませんでした。先生、私たち以外にも違反者はいるのでしょうか?」


担任「1年生にもう一人いる様ですね。別のクラスです。2、3年生はまだ違反者は出ていません。それとカッターシャツ着用期間延長の間もボタンを外すことは固く禁じます。もしまた違反するようであれば相応の指導を行う事になります。」


紗奈「そうなんですね、、、」


光里「すみませんでした、、、」


担任「反省文は放課後書いてもらう事になっています。忘れて帰ったりしないようにして下さいね。」


光里「わかりました」


担任「ではこれで一旦終わりとします」


光里と紗奈はとんでもないことをしてしまったと実感した。まさかカッターシャツの着用期間延長なんて、、、しかも自分たち含めたったの3人。


これからどんどん暑くなるというのに長袖で過ごさなければならない。そう考えるとこれ以上違反を重ねたらどうなるか分かったもんじゃない、、、絶対にもう違反はしない。カッターシャツのボタンには家以外では触らないと2人は決めた。


放課後2人は襟に首を締め付けられながら1時間ほど反省文を書いていた。




ついに体育祭練習が始まった。応援の練習は3年生は特に気合いを入れており、絶対に優勝するという意気込みが見て取れた。


応援の練習以外、つまり競技の練習の時は体操服で練習を行う。


しかし応援の練習の時にはもちろんカッターシャツ着用、第一ボタンまで閉め、袖ボタンも閉める。


1年生は1時間に及ぶ行進のみを行う事になっているようで、十数人の3年生から厳しい指導を1日2時間程度受ける。


他の3年生は違う練習をしているようだ。


光里も紗奈も反抗する事など考えられないくらい3年生は怖かった。


厳しい日差しの中、行進の練習を行うので、暑さとカッターシャツによる窮屈さは尋常ではない。


先輩達からは「もっと腕あげて!」「もっと足あげて!」「もっと声出して!」と怒鳴られる。


ただでさえ暑い中第一ボタンを閉めた窮屈なカッターシャツを着ているのに、3年生からの厳しい指導の元行われる行進の練習は想像以上に苦しいものだった。


皆採寸された首を締め付ける襟に苦しんでいた。汗で襟が首に張り付き、不快感を増す。カフスも汗で濡れて気持ち悪かった。


そしてついに1年生の一人が第一ボタンを外してしまう。


それに気づいた3年生が間髪入れずに第一ボタンまで閉めさせる。そして厳しい言葉を浴びせ、先生の所まで連れて行かれていた。


その一年生は少し反抗的というか、不良の様な風貌で、カッターシャツを第一ボタンまで閉める事を特に嫌がっていそうだ。3年生に睨まれては何も言えない様だった。


光里と紗奈はあの子もカッターシャツ着用期間延長になるのだろうと思った。


どうやら練習中でも服装違反は減点の対象となる様で、3年生はなんとしても他のブロックに勝ちたいので、服装指導、行進の指導をを1、2年に厳しく行う。


3年生はネクタイをしており、1、2年より窮屈そうだが、誰一人ネクタイを緩めたり、ボタンを外したりはしていない。


光里「今日の練習も先輩達厳しかったね。」


紗奈「厳しすぎるよね、、、汗で襟と手首が気持ち悪いよ。」


光里「まだまだこれから暑くなるのにカッターシャツ着用期間延長なんて、、、恥ずかしいし苦しいしもう最悪。」


紗奈「皆第一ボタンまで閉めてるけど芋臭過ぎて見てるこっちまで恥ずかしいからね、、、」


光里「せめてネクタイできれば少しは可愛くなりそうだけどね」




そうして体育祭当日まで、一日2時間程度練習は行われていった。




体育祭当日



体育祭当日はかなり暑い日となり、気温は33度を超えるそうだ。


カッターシャツ着用での応援は一番暑くなるであろう昼過ぎの2時からとなっていた。


光里も紗奈も競技を一回終えているので、他の生徒の応援をしたりゆっくり昼食をとるなどして時間を潰していた。


光里「後30分で応援開始だけど、もう着替えにいこうか?」


紗奈「そうだね!更衣室まで行こう」



更衣室



紗奈「あの日第一ボタンを外さなかったら今日でカッターシャツ着用も終わりだったのに、、、」


光里「夏休みまでこんな窮屈な長袖カッターシャツで過ごすなんて厳しすぎるよね、、、」


紗奈「とりあえず行進がんばろう!恥ずかしいし暑いだろうけどね」


2人とも鞄から取り出したカッターシャツに袖を通し、カフスボタンを閉めていく。数週間毎日着用していたとはいえ、しっかりと採寸されたカフスボタンを閉めるのはやはり難しく、何度か失敗した。


そして首の苦しさと恥ずかしさの原因である一番閉めたくない第一ボタンを憂鬱な気分で閉めていく。


2人とも慣れているはずなのに、ギリギリまでサイズを窮屈にした襟周りの第一ボタンを閉めるのには相変わらず苦戦していた。


2人とも恥ずかしさとボタンを閉める難しさで真っ赤になった顔を上にあげて両手でなんとか第一ボタンを閉めようと努力をしている。


その姿が可笑しかったのか2人とも笑ってしまった。


紗奈はボタンを閉め終え、首の不快感と苦しさをカッターシャツに味合わされている。


光里は苦戦しているようで、中々第一ボタンが閉まらない。顔を真っ赤にしながらボタンを閉め終えた。


紗奈「やっと閉まったね笑」


光里「あーもうきつすぎ、、、鏡見るのも恥ずかしいよ。紗奈もすごく芋臭いね笑」


紗奈「光里だって死ぬほどダサいよ笑」


光里「鏡見てみなよ」


紗奈「いやだ!絶対見たくない!もう恥ずかしすぎる、、、」


2人で同じダサい服装、同じ襟の締め付けを味わったせいか、2人の間には妙な仲間意識が芽生えていた。




そして行進の開始時刻である午後2時




異常に強い日差しと、ジメジメとした暑さの中行進が始まった。


光里「やばい、、、もう襟が汗で濡れてきて気持ち悪い、、、」


紗奈「私も、、、この格好で大勢の前で行進するのやっぱり恥ずかしいよ、、、」


光里「なんとか首だけでも隙間ができたらいいのに、、、」


光里と紗奈がそんな無理な願いを言っている間に行進が始まる。


きっちりと閉められたカッターシャツの第一ボタン、汗で首に張り付く窮屈で不快な襟周りとカフス、それに加えてしっかりと腕をあげ、脚をあげ、大声を張り上げながら、異常な暑さの中行進を行なっていくので、生徒は全員気持ち悪さと羞恥心を我慢しながら行進をしていた。


こんなダサくて窮屈な格好で、汗だくになりながら行進をさせられていると思うと、光里は屈辱的な気持ちになっていた。


先輩達の厳しい指導により、光里たちの行進は見事なものとなっており、観客も感動しているようだった。


観客は光里たちの窮屈さなど知りもしないだろうが、、、


光里も紗奈も全身汗だくになっており、張り付いた襟の異常な気持ち悪さを味わっていた。


そして生徒達はなんとか1時間を乗り越えた。


生徒達はカッターシャツから解放される事を心から喜んでいるようだった。


光里と紗奈、他に1年生の2人はカッターシャツ着用期間が延長される事が決まっているので喜べないが、、、


光里と紗奈は一旦体操服に着替える為、更衣室へ向かう。最もこの2人はカッターシャツ着用期間の延長が決定しているので、体育祭が終わった帰り道もカッターシャツ閉められた第一ボタンと襟の恥ずかしさと窮屈さを味合わなければならない。



更衣室



光里「ああ!もう気持ち悪い!」


紗奈「あーやばい、首の解放感やばすぎる、、、」


光里「もう2度とこんなの着たくないよ、、、」


紗奈「観客の前にこんな格好で出るなんてもう2度と勘弁」


光里「なんか恥ずかしさもあって余計に暑かったよね。でも夏休みまで私たちはカッターシャツ着用だもんね、、、」


紗奈「まあとりあえず一番きつい行進乗り切ったし、夏休みまでダサいカッターシャツで2人仲良く頑張ろう!」


光里「うん!」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ