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情報整理のために緊急会議です。

 


 私はさっそくシルヴァン様と殿下、アンジェリカ様を呼び出した。


 何か気づくことや問題があった時にはこれを使うように、と魔法の便箋を持たされていたのだ。便箋と言っても小さなメモ紙のようなサイズのもので、そこによびだしたい相手の名前を書いて折り込んでいくと、魔法が発動し鳥の姿になり、その相手の元に飛んでいく仕様になっている。


 ちなみによびだすために初めて使って、思わず興奮してしまった。


 こういう繊細な魔法って素敵だよね~~~!

 シンプルだけれど使い勝手がいいし、大胆で派手な攻撃魔法とは違う魅力が詰まっている。


 アンジェリカ様は「わたくしは王城にいるとき以外はいけないかもしれないけれど……知らないところでステラ達が集まっているかもしれないと思うと気になってしまうから、これを使う時は必ず私にも送ってちょうだいね」と、仲間外れ寂しいとなんとも可愛く伝えてくださったのでもちろん送ります!と答えた次第です。

 今日はタイミングよくこちらに向かう途中だったようで、アンジェリカ様も含む全員集合だ。


「なるほど……ステラ嬢の予想は正解だろうな」


 私が先ほどの出来事を報告すると、殿下は神妙にそう答えた。


「あの、騎士様の魅了の魔力の影響はあのお菓子をスカーレットの手で食べさせられていたことが原因では?と言い出したのは私なわけですが、ちょっと頭が混乱する寸前なのでここらへんで一度私にも分かりやすいように情報を整理させてくれませんか?」


 予想することはギリギリできているけれど、殿下やシルヴァン様が納得顔で物事を理解していっているのに全くついていけてないんですよね!


 まず、スカーレットとどういう関わり方をしていたのか、その内容が共有される。


「私は恐らく、王族の責務として誰よりも聖女スカーレットと顔を合わせる機会が多かった。彼女が王城に滞在するようになった最初の頃からだ」


 そう切り出したのは殿下である。


「顔を合わせる度に思考が鈍り、それでいて口は良く周り彼女を褒めたたえる言葉が自然と出てくるようになった。あの頃は自覚がなかったが、今思えば操られていたような、自分が自分ではないような、そんな不思議な感覚だったな」


 そうして最初は単純な身体的接触も拒んでいたはずなのに、いつの間にか腕を組まれたりということも受け入れてしまうようになったと。

 ふむふむ、私が見たスカーレットに腕を組まれている光景は、結構末期な状態だったわけね。


「しかし、王族としてむやみによく知らない他人の手作りのものを毒見なしで食べるのは許されないことだからな、聖女スカーレットに菓子を食べさせられそうになったことはあるが、それを受け入れたことはない。アンジェリカの作ったものならばいつだって喜んで食べたいものだが」

「まあ……今度、殿下の好きなアップルパイを作ってまいります……」


 突然水を向けられたアンジェリカ様は頬を染めて嬉しそうだ。

 お二人がイチャイチャしていると微笑ましいしなぜか誇らしい気持ちになるんだよね。私がキューピッドです!って気分になるからかな??


 今の話を聞くに、殿下は魅了の魔力の影響を受けながらも、王族としての自覚とアンジェリカ様への愛は決して失わなかったらしい。

 あと、個人的に殿下がスカーレットのことを『よく知らない他人』と評したことにかなり好感を持った。

 聖女であるから丁寧に接するけど、個人的な関心はないです、という心の表れと受け取りましたよ!


 次にシルヴァン様の話だ。


「私は聖女の担当ではないので、本来ならば関わりはほとんどないはずなんだけれど。ある時殿下とともに庭園を散策する聖女殿と遭遇し、自己紹介と挨拶をかわした。それからだ……」


 おおっと、なんだかこれからホラー話が始まるんですか?と言わんばかりの切り出し口。


「気づけば後ろにいて、気やすく肩を叩かれるんだよ。シルヴァン様、みーっけ、などと無邪気に笑いながら」


 ……冗談のつもりだったのに、わりとホラーだな。


 けれど、そう、私は知っている。それはスカーレットの常套手段だったから。

 スカーレットは気に入る男性がいると自分の無邪気さ、天真爛漫さを押し出して魅力をアピールする傾向にあったのよね。うんうん、知っている。マーファス領でもそうだったし。


 そこでアッと気付く。


「いつもいつも肩を叩かれていたから、そこに魅了の魔力が溜まってホコリになった……!?」


 シルヴァン様は恐らくそうだろうとばかりに頷いた。

 いや、魅了の魔力の仕組みは分からないけど、なんだかとっても単純じゃあない!?


 そう考えると、殿下は何度も顔をあわせていたから顔が薄汚れたということ……?

 腕にも触れられていたけれど、まだ回数が少なかったからホコリにまでならなかったということか、もしくは一番影響が強い部分に魅了の魔力が現れるのか……。後者かもしれないな。

 だって騎士ランディ様は見た目はどこも変わった様子はなかったので。


「ホコリは手で取った、顔の汚れは叩けば取れた。それなら、息に魅了の魔力の影響が表れているあの騎士様は、どうすれば浄化できるんですかねえ……?」


 うーんと首を傾げる。

 困りはてた私達の中で、ふと思いついたのはアンジェリカ様だった。



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