第4話 半年から1年後
「それでは防御付与させて頂きますね」
女神アンキシャルは壮真のパートナー作成に早く取り掛かりたくて話を進める。
「えっ?あっはい!じゃあお願いします」
『女神は神』と『心の中読まれるのね』を考えてもどうにも出来ないが考えていると声に反応する。
「はい!少し壮真さんの体内に失礼しますね」
「えっ?」
「大丈夫ですよ!少しチクッとしますがこれが壮真さんが味わう最後の痛みですから」
「はぁ~分かりましたお願いします」
「はい!」
女神アンキシャルは綺麗な透き通る声で返事をすると目の前に立つ
右腕を上げると人差し指を出して壮真の心臓に向かって服の上から突き立てるとそのまま指を侵入させる
『注射の針が刺さった程度の痛み』を感じる
気が付くと女神の右腕の肘まで体内に侵入していて心臓を撫でたり握ったり暖かくなったりする
その間も
「壮真さん痛みは大丈夫ですよね」
「もう痛みは大丈夫ですよ」
「体内を動く右腕の違和感は我慢して下さいね」
「頭部に手を添えてお手軽に付与しても良いですが絶対防御ですから体内から確実にさせて貰ってます」
「もし痛かったら手を上げて下さいね」
など女神ジョーク?など話をしながら心臓付近を終わらすと右腕が首、顔、順番に上がり壮真の体内を通りながら頭部に辿り着く
「はい!もう少しです脳内も失礼します」
微笑みながら女神アンキシャルは心臓と同じ様に撫でたり握ったり暖かくしたりして最後に女神が少し目を閉じると脳内と身体全体が光に溢れた感覚と硬くなる感触が漲る、すると侵入していた右腕を壮真の頭部からゆっくり抜く。
「はい!お疲れさまでした、成功で絶対防御付与は完了しました」
「あっはい!お疲れさまでした、ありがとうございました」
頭部から抜けていく血液も体液も一切見当たらない綺麗な白い右腕を眺めながら微笑んでいる女神アンキシャルに自然と頭を下げてお礼をする。
「お礼など結構ですよ壮真さん」
「あっ?分かりました!勝手に身体が動いちゃいました…それで俺は絶対防御になったんですよね?」
体内では不思議な感触を体験したが表面の肉体は見渡すが何1つ変化が無い。
「そうですよね?、見た目が変わってないですから実感は出来ないですよね」
「まぁ~ぶっちゃけそうです‥…」
「分かりました!壮真さん失礼しますね」
「えっ?」
驚いていると目の前の女神アンキシャル微笑みながら右手を拡げると手の平を壮真の胸に添えて軽く押す。
「えっ?ええええええええぇぇぇぇぇぇええええぇぇぇぇぇ」
身体が浮くと叫び声を上げながら床を10回以上バウンドして壁の無い空間を止まる事無く進んで行く。
「えっ?嘘おおおぉぉぉぉぉぉぉええええぇぇぇぇぇぇぇぇ」
2回目の叫びが終わると壮真の身体は最後に大きくバウンドして床を回転すると勢いが止まる。
「はぁ~はぁ~はぁ~はぁ~ビビった~女神様の手の平が当たった瞬間に突然訳が分からず吹っ飛んだけど‥…てかっ?ここ何処?」
汚れていないが胸を払いながら立ち上がりキョロキョロ周囲を観察するが女神、黒猫、1つだけあった椅子も無く壁の無い空間だけが視界に入る。
「あの~女神様~?」
叫んでみる。
「はい!」
「えっ?」
叫び終わった瞬間に目の前に微笑んだ女神アンキシャルが立っている、黒猫は毛繕い中で前足をペロペロ舐めていて椅子も有る。
「‥…どういう事なんでしょうかね?」
「はい!絶対防御を体験して頂こうと思いまして失礼ながら軽く攻撃をさせて頂きました」
「あっ?はぁ~」
「それで遠くまで行ってしまわれたので転移でこちらに戻って来て頂きました」
「あっ?はぁ~‥‥何となく分かりました、でも俺物凄く吹っ飛んで何回も飛び跳ねてましたけど…」
「はい!痛みはまったく無かったと思います」
「あっ!」
ここで理解する、身体を見るがあれだけ吹っ飛ばされたのに痛みは無く着用していたTシャツも何も変化が無い。
「ご理解して頂いたようですね!それが絶対防御の能力の一部です」
「一部?」
「はい!後は壮真さんが身に着けている衣服や触れている人物や物質も絶対防御は適用範囲です、それと先程は壮真さんご理解の途中でしたので遠くまで飛ばれて行きましたが意識を変えればその場で何も無かった様に立ち止まったままも可能です、残りは感触ですね相手が打撃をした時の感覚もご自由に調整できます」
「はぁ~立ち止まるは例えば巨大な大木に殴りかかってもまったく意味が無くその場で動きもしない感じなのかと何となく理解は出来るのですがもう一つの皮膚感覚はどういった物なんですかね?」
「はい!皮膚感覚は相手が攻撃を壮真さんにされた時、例えば巨大な大木でしたら殴れば手に痺れや打ち抜いた実感が有ると思いますが皮膚感覚の調整で痺れや打ち抜いた感覚も無効にしてただ巨大な大木に弾き返される感覚ですかね」
「なるほど!相手が殴った感触が有るか無いかですかね」
「はい!相手も感触が有れば少しは手応えを実感しますが、その感覚が無効なら反応が無い巨大な大木を無駄に攻撃してる感覚に近くなるはずです」
「その感覚操作は頭に思えば可能なんですか?」
「はい!それで十分です」
「分かりました」
その後女神に同じ様に手の平を押す凄まじい攻撃を何度も当てて貰い皮膚感覚の感触を養う。
「それではこの辺りで宜しいでしょうか?」
女神アンキシャルは兎に角パートナーの作成をしたい気持ちを隠して話す。
「あっはい!わざわざありがとうございました…最後に女神様の手の平の攻撃力ってどのぐらいだったのでしょうか?凄い事は理解してるのですが今後の参考までに教えて貰っても良いですか?」
「はい!全然大丈夫ですよ、あっ!落ちちゃうと何処に行くか分からないので少し離れて下さいね」
すると女神アンキシャルは壮真を指示して遠くまで移動させる
「そこで大丈夫です」と少し大きな声で言い終わると膝を折り床に拡げた右手を添えると軽く力を込める
その瞬間に見渡す限りの壁の無い空間一面床が粉砕されて女神の真下周辺の床は巨大な底の見えない穴が出現して女神は微笑み黒猫を肩に乗せて浮いている。
「‥…凄い威力だったんですね‥…それで床は大丈夫なんですか?」
巨大な穴付近に近付いて見えない底を確認してから女神アンキシャルを見る。
「はい!床はもう直しましたよ」
もう一度視線を下げると綺麗な床が目に入る。
「あはははは!女神様凄いんですね‥…」
ドン引きの笑いが勝手に口から流れる。
「ありがとうございます!壮真さんも凄くなってますよ」
「ですよね!女神様の攻撃凄かったですからね」
暫く今後の事や異世界の話を少し会話する。
「それじゃあ元の場所に転移して貰っても大丈夫ですか?」
「はい!それでは半年から1年後お待ちしてますね壮真さん」
「はい!」
軽く頭を下げてから女神アンキシャルの微笑みと瞳を見た瞬間少し揺れて頭が真っ白になる。