第3話 腕によりをかけて心を込めさせて頂くので
「‥…中の中普通っていう事は…でも鍛えれば攻撃面も強くなるって事なんですかね?」
「はい!当然です、今の世界では魔物は存在しないので不可能ですが、異世界なら魔物を倒せば経験値が入手出来てレベルアップも可能です」
「なるほど有名ゲーム『ドラゴン討伐クエスト伝説』みたいにレベルアップは可能なんですね?」
異世界物の漫画や小説は知識不足だが子供の時に熱中したゲームの名前を思い浮かべる。
「はい!普通の速度ですがレベルアップは致します、壮真さん安心して下さいね」
「分かりました、何となく理解しました」
普通の速度に少し気になるが絶対防御で身体の心配は大丈夫と思い、どうせ帰る場所も無く所持金も無くなり『これも俺の人生かな』と少し昔を思い出す。
壮真は一般的な家庭に生を受けた今年15年目
両親は優しく1人息子の壮真を悪い事はダメ良い事は褒めて普通に一般的と思われる様に可愛がってくれていた
壮真が13歳の頃突然幸せが終わる
父親がギャンブルと女遊びで借金をすると法外な利息を払いきれずに自殺をする
その後も借金の取り立てにヤクザチンピラお決まりの法を無視した取り立てが始まると母親も耐えきれなくなり自殺をする
住んでいた住居にも嫌がらせのビラなどが連日貼られたり近所の人達にも助けてくれる事も無く嫌われると2年程耐えていた壮真は家を飛び出した
見知らぬ町で15歳住所も無く仕事も見つからない状態で残金が少なくなり犯罪するか自殺するか頭の中でぼんやり考えている時に黒猫と出会う。
「攻撃面と防御面の能力はなんとなく理解できました…後は何か教えて貰えることはあります?」
一瞬少し昔を思い出すが気持ちの整理もついているのでもう少し女神アンキシャルに質問してみる。
「そうですね!異世界では魔法も才能があれば使える事もあります」
「体力を回復したり火の玉で攻撃するアレですよね?」
「そうですね!そのアレです、ですが壮真さんは魔法も中の中普通ですね」
「そうなんですね、防御以外はほとんど普通の能力と考えていい感じなんですね‥…」
「はい!その考え方で間違いないです!」
「‥…‥…」
女神アンキシャルに微笑みでハッキリ言いきられた事に理解をするが『普通か~』と少し黙り込む。
「で♡す♡が♡壮真さんをわざわざお呼びして私の話にも納得して頂いているので、私が腕によりをかけて気合を入れて1から壮真さんの為にパートナーを作成させて頂きます」
女神アンキシャルはこの場所に来て初めてドレスの両腕を捲る腕捲りのリアクションをして嬉しそうな声を出す。
「女神様何か嬉しそうですね?」
リアクションと声の質で聞く。
「はい!最近は召喚や洗脳なのでお気軽に済ませておりましたが…今回はなるべく最高状態で壮真さんに異世界に旅立って頂きたいのです、防御面は相性が完璧で最高ですけどそれ以外が及ばないですから私200年ぶりぐらいに最初から作成するので気合いを入れさせて貰いますねアイデアも知識も材料も豊富にありますから、何か壮真さん希望はありますか?」
「‥…‥…特に何もありません、女神様にお任せします」
壮真は女神アンキシャルの美しくて嬉しいと顔と楽しそうな声を黙って聞いて色々気になる200の数字を聞いていたが突然尋ねられ少し考えるが何も浮かばなくて異世界自体知識不足なので丸投げする。
「はい!私に任せて下さい壮真さん!腕によりをかけて心を込めて作成させて頂きます」
『料理を作るみたいな雰囲気っぽい』と思いハイと頷く。
「お願いします」
「はい!半年から1年お時間いただきますね!」
「えっ?」
「その間現代で時間を過ごされても良いですし異世界に行かれても良いですよ」
「半年から1年ですか‥…分かりました」
「はい!腕によりをかけて心を込めさせて頂くので」
女神アンキシャルは言いきる、『半年から1年は決定』と今までの会話と雰囲気で納得させて現代か異世界どちらか考える方に切り替える
「‥…それでは現代でお願いします」
現代か異世界、日本か未知の場所、15年生きてた空間とほとんど知らない空間すぐに答えが出る。
「はい!分かりました私も現代の方が良かったと思いますよ、未知の場所や知らない空間は寂しいですからね」
「‥…‥…女神様もしかして俺の考えとか分かります?」
「はい!当然分かりますよ」
「‥…ですよね」
「はい!」
あっさり心を読める事を知らされて『女神アンキシャルは神確定』と意味不明に納得させる。