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バーサ先生。

本当の貴族は、自分の部屋で勉強したとかなんとか…?






 私の目指す先が、奥様に決まってから5日が経った。この5日間、私は何をしていたかというと、特に何もしていない。



決してぐうたらしていたわけではないけれど、庭園を散歩したり、スザンナにオススメされた恋愛小説を読んだりと、もはや“いつも通り”とも呼べる5日間を送っていた。



しかし、そんな日々も今日でおしまいだ。今日から私は、家庭教師や講師の元で様々なことを学ぶのだから。



 「アイヴィ、紹介しよう。こちら、ヒューゴの家庭教師もしてくれているバーサ先生だ。これからは、アイヴィの勉強面も見てくれることになったから、ヒューゴと一緒に無理のない範囲で頑張るんだよ。」


 「はい、公爵様。お初お目にかかります。バーサ先生。アイヴィ・ウィンストンと申します。これからどうぞ、宜しくお願い致します。」


 「…こちらこそ、宜しくお願い致します。アイヴィ様。」



バーサ先生は、思っていた以上に愛想のない人だった。



これが彼女の通常運転なのか、はたまた私という存在が気に食わないのか。どちらなのだろうかと思っていたが、答えは案外早くに知ることとなった。



 公爵様の書斎から、勉強する為に用意された部屋へと移動する私とバーサ先生。会話は一切なく、私はこの間みたくドレスに足を引っ掛けないよう気をつけながら、バーサ先生の後ろを歩く。



 「こんにちは、バーサ先生。アイヴィ。」


途中、ヒューゴに会った。今日も彼の手には一冊の本があった。どうやら5日前に読んでいた経営学の本とは違うもののようだ。



 「まあ!ヒューゴ様!こんにちは。本日はお目にかかれないかと思っておりましたわ。」


 「今日からアイヴィの家庭教師も担当してくださるのですよね。ありがとうございます、バーサ先生。」


 「まあまあ!そんな、とんでもない!ウィンストン家のご令嬢に、この(わたくし)のような人間が勉強を教えられるだなんて光栄なことですわ!」


 「バーサ先生の教え方はとてとお上手ですから。きっとアイヴィも、どんどんと賢くなっていきますよ。俺も負けないように頑張らないとですね。」


 「まぁぁぁ!なんて謙虚なお方なのでしょうか!ヒューゴ様、大丈夫ですわ。貴方様はいつだって賢く聡明なお方ですわ。家庭教師であるこの私が、保証致します。」


 「あはは、ありがとうございます。」



愛想の無さはいったいどこへ行ったのか。ヒューゴに会った途端に、よく喋るおばさんへと大変身したバーサ先生。



さっきは公爵様の手前、下手な態度を出すことが出来なかっただけで、この先生は私のことをあまりよく思っていない人間なのだと、今、悟った。








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