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母親という存在。

初めての異世界作品であり、始めてのなろう作品です。

中世ヨーロッパ風の世界は書くのがとても難しい…。

お試しで始めた作品ですので、誹謗中傷はお控え頂けましたら何よりです。

無知ながらも頑張ってるんだな…と温かい目で読んでください。頑張ります。宜しくお願いします!




 私の名前は、アイヴィ。ローナン男爵家が生まれの貴族令嬢だ。元は平民だったお母様と、そんなお母様に酒場で一目惚れしたお父様が結婚し、生まれたのがこの私。…と、双子の妹のエヴィ。



貴族というのは実に厄介なもので、系図に平民の名が記載されることをあまり良しとしないプライドの高い生き物なのだ。



しかし、ローナン家は、周りの貴族に比べると歴史が浅く、そもそも爵位自体が低かったこともあり、あまり周りからとやかく言われることもなく。私達家族は、それなりに平和な日常を送っていた。



優しい父と母、顔はそっくりだけれど性格は活発だった私と違って大人しかった双子の妹のエヴィ、そして屋敷を駆け回る私に対し、『お嬢様は本当にお元気ですね』と笑ってくれる使用人達。お母様にはよく、『男爵令嬢として生まれたのだからもう少し落ち着きを持ちなさい』なんて小うるさく注意されていたけれど、間違いなくあの頃の私は幸せだった。



 私の幸せが壊れたのは、6歳のとき。大好きだったお母様が、病気で亡くなってからだった。



お母様は言っていた。平民生まれは基本、元気なのだと。しかし、それは嘘だったのかもしれない。お母様はある日突然発熱し、結局最期まで良くなることはなく、そのまま亡くなってしまった。



あれだけ生きようと必死にもがき続けたのに、死ぬときは一瞬なのだ。人の死というのは、案外呆気ないものだと、幼いながらもそう思った。



お母様が亡くなってから暫くは、屋敷内(我が家)も暗かった。



私は塞ぎ込むように部屋から出なくなり、お父様はお母様の居ない屋敷に居るのが辛いのか、よく外へ出るようになった。



そして、そこで出会ったのがサンドラという女。お父様にいったい何を吹き込んだのかは分からないけれど、サンドラは度々我が家に来ては、楽しそうにお父様とお茶をして帰って行ったそうだ。おおよそ、『娘さんもまだ小さいし、母親という存在は必要なんじゃないかしら?』とでも言って取り入ったのだろう。



あのときのお父様は、弱っていた。漬け込もうと思えば、いくらでも漬け込めた。それらしきことを口にすれば、それもそうだと受け入れてしまうような状態だったのだ。



母親の存在がどうかなんて、ただの口実に過ぎない。お父様はただ、お母様の代わりに自分の心を満たしてくれる人が欲しかっただけに違いない。こんなことを、人の変わってしまったお父様に言ったところで、馬鹿を言うなと一蹴されて終わりだろうけれど。



…そう、お父様は変わってしまった。サンドラの毒牙にでもかかってしまったのだろうか。お母様が亡くなって1年した頃には既に、私の大好きだったお父様は何処にも居なくなっていた。



 仲良く我が家でお茶をするような2人がそう簡単に離れるわけもなく。私の許しなんて関係なしに、お父様は、サンドラと結婚をした。



何度、仲良くするよう言われたか分からない。これからは彼女が母親なのだと、とにかく言われ続けた。しかし私は、受け入れられなかった。だって、私のお母様は、お母様だけだったから。代わりなんて、必要がなかった。必要としてなかった。きっと、妹のエヴィだって同じことを思ってる。そう思っていたけれど、私が実際に目にしたのは『お義母様』と恥ずかしそうにサンドラに笑いかけるエヴィの姿だった。



嬉しそうにその呼びかけに応えるサンドラ。そして、2人の様子を微笑ましそうに見守るお父様。認めたくはなかったけれど、その光景は、確かに“家族”でしかなかった。



最初は、私に好かれようと頑張っていたサンドラだったが、次第にエヴィだけで十分だと思うようになったのか、私には一切声をかけなくなっていた。そしてお父様も、あれだけ仲良くするよう言っていたのにもかかわらず、最終的には何も言わなくなっていた。



感じずにはいられない疎外感。此処は確かに私の家の筈なのに、まるで他人の家に放り込まれたような感覚だった。



お母様が恋しくて、涙を流す毎日。涙を流しすぎた目は真っ赤に腫れていたけれど、お父様はそれを気にする様子なんて一切ない。お母様が生きていた頃ならば、『どうした?』、『大丈夫か?』そう声を掛けてくれたくれた筈なのに…そう思わずにはいられなかった。






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