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探し物発見

そのあと私と敵の男…めんどくさいからA男と呼ぼう。

2人で逃げられないように木に縛られながらルベルが見張り番をして、ヴォルクとフィリアがA男が探している物を探している。


その間暇だから本当にスキル封じになっているのかステータス画面を見て確認しようと思って開いてみた。


【名前】  リア 

【年齢】  21歳

【レベル】 1

【スキル】※現在スキル封じの為攻撃できる

      スキルはありません。

      サーチなら可能です。


攻撃スキルは使えないがサーチなら使える?

スキル封じってスキル全部使えないんじゃ?

疑問に思いながらもサーチを使ってみる。


「??」

現在地から近い場所に???と出ている。

なんだこれ?

場所はこの近くの一軒家だな…


「ルベル、聞いてもいい?」


「…なんだ?」


ルベルはチラッと私を見てすぐ視線を逸らすが返事をくれる。


「このスキル封じって攻撃だけしか封じられない?」


「んな訳ねぇだろ。全スキル封じられる」


「ですよね。だけどサーチ使えるんだけど…」


『は??』


ルベルとA男が同時に驚いた顔を私に向ける。


「暇だから本当にスキル封じになってるのか確認してみたら攻撃スキルはできないけどサーチなら使えるって書いてある」


「おいおい、どういうことだよ」


「さぁ?」


「え、じゃ俺も攻撃スキル以外使えるってことか?」


A男がそう言ったあと詠唱を始める。


「使えねぇじゃねぇか!嘘つきが!」


と言われイラッときたが縛られてる上に足が届く距離でもないから何もできない。


「リア、サーチで何か分かったのか?」


何もできないからA男を睨んでいるとルベルが聞いてきた。

顔をルベルに戻し


「よく分からないけど近くの家の所にハテナマークがある。A男が探してる物を示してるのかなと思って」


「おい、A男ってなんだよ?」


「どの家だ?」


「そこの左側の家の裏の家かな?」


私とルベルはA男を無視して会話を進める。


「無視すんじゃねぇよ!」


「うるさいぞ。何騒いでる」


そこでヴォルクとフィリアが戻ってきた。


「おう。なんか見つかったか?」


ルベルが聞くと2人とも首を横に振る。


「そうか…えっとな…リアがサーチでそれらしい物を見つけたらしいんだが…」


「は?」


「どう言うことだ?スキルは今使えないだろう」


驚くフィリアに怪訝そうに聞くヴォルク。


「それは俺にもサッパリ」


ルベルは肩をすくめ、両手の手のひらを上に向け、首を傾げる。

ヴォルクはルベルから私に視線を向け説明しろと目で訴えているように見える。


「私にも使える理由は分からない。だけど探してる物を見つけたかもしれない」


「サーチでそんなことできるの?」


「初めて聞いたわよ!」


ルベルがフィリアの顔を見て、フィリアも知らないと顔を横にブンブン振る。

そしてなんでスキル使えるのよっと小さく呟いた。


「取り敢えずそこに向かってみるぞ」


木から私達の縄を解き、逃げられないように腰に紐を巻いて、足首にも枷を付けられる。

その縄をルベルが持って目的の場所へと向かう。

足の枷の鎖が邪魔で歩きにくいと思ったが、これがこの世界でのやり方なのだろう。


「この家に探し物があると思う」


「この家のどこにあるかは分からないのか?」


「そこまではちょっと…家の中もしくは周辺にあるとまでしか分からない」


「家の中を隈無く探すしかないってことだねぇ〜」


「広い家ではないけど…」


家の中を手分けして探す3人。

勿論私とA男は逃げられないように縛られている。


「どんな物が手がかりなのかも知らないで探してもダメなんじゃないかしら?」


ファリアが本棚周辺を探しながら呟く。


「おい、お前の探してるものはなんだ?」


「……」


ヴォルクに聞かれてもA男はダンマリ。


「どんなものか言えつーの!ん〜…ん?」


ルベルは屈んで棚の下に手を伸ばし壁側の床に隙間を見つける。

床の隙間を指で確認するとひんやりとした冷たくて硬い何かが手に触れる。

ルベルはそれを手に掴み取り出す。


「…腕輪?」


それは黒色の細いブレスレットだった。


「なぁ、これのことか?」


ルベルはA男に聞く。


「俺のだ!返せ!」


その返答に探し物はこれだと確信し、ヴォルクとフィリアもブレスレットを覗き込む。


「腕輪か?」


「これ魔石で作った物のようね」


ヴォルクとフィリアはマジマジと見つめている。


「ここ、文字か?印か?」


「ん〜どっちにも見えるけど分かんねぇな。おいA男!これは文字か?印か?」


「A男じゃねぇ!誰が教えるかよ!」


A男はプイッと顔を逸らす。


「俺達に言わなくても戻れば嫌でも吐かせられる。ギルドに戻るぞ」


「もっと調査に時間がかかると思ったのに案外早く戻れるわね」


話し終えた後すぐにギルドへと出発した。

数時間歩けば他の村があるみたいだ。

何故サーチでその村を教えてくれなかったのかと思ったが、それは結構すぐ理解した。


あの時いつの間にか森の奥まで入っていた事と、スキルを思い出したのが森の中だったからだ。

そのおかげで今向かってる村から離れて行ったらしい。

そして人がいなくなった村にたどり着いたわけだ。


だが、もしもの事を想像してみる。

森に入る前にスキルを思い出し、サーチで人がいる村に行くとする。

見慣れない服を着た無一文の女。

うん、村に入れたか分からない。

怪しいものだと縛られていたかもしれない。

現状縛られているから変わらないか。


「ここで少し休憩するぞ」


もしもの事を考えている中ヴォルクの声で我に帰る。

いつの間にか森を抜けていた。


「あとどのくらいで着くの?」


「あと1時間もしないかな?」


随分歩いてきたんだな。


「おい」


ヴォルクの声でそちらを向くとバサッと何かを投げられた。

何を渡されたのか手に取って見てみると


「マント?」


ヴォルクが羽織っていたマントだった。


「ここからじゃ、その格好は目立つからな」


「…ありがとうございます」


「それとその髪だが色を変えさせてもらう」


「色…?」


「あぁ…その色は目立つ」


ブルーやオレンジ、ピンクも目立ちますが。


「フィリア、変えてくれ」


私の返事も聞かずに変えないでいただきたいのですが?


「リア動かないでね」


だから私返事してません。

フィリアはブツブツと呪文を唱える。

そしたら私の髪の色はあっという間に赤く染まった。


「リアの髪赤も入ってたじゃない?だから赤にしてみたけどどうかしら?」


確かに私の髪は銀白の色に何故か赤メッシュが入っていたけども…


「全体が見えないのでなんとも…」


髪が長いから色は確認できるが…赤も目立つと思うのは私だけでしょうか?

カラフル頭ばかりのこの世界、元の色でも平気だと思うのだが…


「終わったなら行くぞ」


私を確かめてからヴォルクが言う。

腑に落ちないが黙って歩き出す。

それから歩き出し、村に着いたのは外が完璧に暗くなった頃だった。

塀に囲まれた入り口には2人、槍みたいなものを持って立っていた。


「………」


ヴォルクは無言でカードを出して見せている。

冒険者だからギルドカードとかいう奴だろうか?

ルベルとフィリアも同じようにカードを出している。

門番の2人はカードと帳簿みたいなやつを見比べている。


「確認しました。そちらの2人は?」


「…男はギルドの依頼人物だ。女は森で歩いてるのを見つけたが1人で怪しかったから縛ってあるだけだ」


「それでは牢に入れておきましょう」


「あぁ、明日の朝ギルド本部に出発し騎士団に引き渡す予定だ」


「了解した。その2人を預かる」


そして私とA男は牢に入れられた。

勿論別々にだ。


ーーーーーーーーーーーーーー


出発時間になったのか牢から出された。

ヴォルク達と合流して馬車に乗って出発する。

罪人だから歩かされるかと思ったが、ギルドまで5日かかるらしい。

歩いたら時間がかかるとの事で荷台に乗せられた。


休憩しながら先へと進んでいき、暗くなる前に野営の準備をする。


夜、フィリアが携帯食じゃ嫌だと騒いでご飯を作ると言い始め、ヴォルクとルベルが青い顔をしながら慌ててフィリアを止める。


その静止も虚しく料理を始めるフィリア。

私とA男は縛られながら眺めているだけだ。


フィリアの料理を見て2人が青ざめた理由が分かった。

手つきも危ない中、ダンダンと大きな音を立てながら野菜を大雑把に切って鍋にドバーッと入れ煮込み、味付けの調味料をまたもやドバドバーッと入れる。

そしてなんの材料なのか調味料なのか分からない怪しいものも鍋に突っ込んでるのを見た。


「おいおい、どうするんだよ、あれ」


「知らん。俺は食べないぞ」


「俺も食いたくねぇよ!」


「死んだらちゃんと埋葬してやるから安心して食え」


「そういう問題じゃねぇ!」


「あのさ…もしかしてアレ私も食べる感じ?」


私達の近くでコソコソと話すヴォルクとルベルに私は小さな声で聞く。


「あの鍋見たらお前ら2人もそうだろうな」


ルベルが困った顔で答えてくれる。


「多分アレ食べられない。私自分で作ってもいいかな…」


ここに来て初めて少し表情を見せたリア。

その顔は引き攣ってるが…


「そうだよ!リアが作ればいいじゃん!」


ルベルがパァと明るい表情になる。


「ダメだ。毒を盛られたり逃げたらどうする」


「じゃヴォルクはアレ食えよ。俺がリアを見張ってるからさ。そして俺はリアのご飯を食べる!」


「………」


ヴォルクは黙ってチラッとフィリアを見る。

そして1つ大きなため息をつき


「妙な真似はするなよ?」


「毒も持ってないし逃げる場所なんてないから安心して」


そしてフィリアにリアが作ってくれるらしいと言うが、自分で作ると言って聞かない。

そんな中ルベルがリアの料理美味しかっただろうとか俺が見張ってるからとか色々説得して


「確かにリアの料理は見たことない料理で美味しかったわね」


と納得して危機を逃れた私達はホッと胸を撫で下ろした。


ルベルに見張られ、枷はされていたが鎖がなくなった事で動きやすくなり料理をすることになった。

鎖は長さを調節したりできるスキルがあるみたいだ。

なんと便利なんだろう。

それからギルドまでのご飯担当は私に決定した。

この日はA男だけがフィリアの料理の犠牲になったのは秘密にしておこう。


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