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声の正体は【2】

【名前】

【種族】  天狐

【年齢】  1002

【レベル】 993

【スキル】 火属性 幻影 千里眼 結界魔法…etc.

【状態】囚われし者の呪縛


「囚われし者の呪縛?」


「呪いをうけているのね。今の私には呪いを解くスキルは取得してないわ…」


フィリアはシュンっとして俯く。


「……」


そんなフィリアを見て、私はステータス画面を開く。


【名前】  リア

【年齢】  21歳

【レベル】 1

【スキル】 浄化


「浄化?」


リアが呟くと辺りは眩い光で覆い尽くされる。

眩しいと目を瞑ったり、目を細めて何が起こってるのか見ようとしたり反応はさまざま。

そして光が消えると


ーーー治ったのじゃ!体が動くのじゃ!前より調子がいいのじゃ!


天狐の周りに音符マークが浮かんでるんじゃないかと思うくらい、天狐は喜んでいた。


「浄化スキル。なんでそんなスキルを…」


取得が難しいスキルばかり使える上に無詠唱のリア、フィリアはヴォルクに顔を向ける。

ヴォルクも同じことを思っていたのか、小さく頷いた。

リアはもしかしたらーーー


ヴォルクとフィリアが真剣な顔をしている間ルベルは今も逃げようとするA男を押さえつけ、リアは無表情だがキラキラとした目でじぃぃぃっと天狐を見つめていた。

そんな中大きなお腹の音が鳴る。

皆一斉に視線をそちらに向け、お腹の音を鳴らした者と目が合うと


ーーー碌に食べてなかったからの。そんな目で余を見るでない


天狐は恥ずかしいのかプイッと顔を逸らした。

その姿を見てリアは心の中で悶えていた。

可愛い、撫でたいとーーー。


「天狐の好きな物作ってあげる」


心とは裏腹に無表情で天狐に言う。


ーーー人間の食べ物なんていらぬ


ツンデレだなぁ〜まだデレは見てないけど。動物だから仕方ないかと何も言い返すことなく、リアはヴォルクの方に体を向けご飯にしようと言った。

はぁ?と不機嫌な顔のヴォルクだが気にせず準備を始めるリア。


「おいおい、いいのか?」


A男を木にぐるぐる巻きにして、うるさいからと口の中に布を押し込んで戻ってくるルベル。

A男はウーウーと叫んでいるが誰も気にしない。



ーーーーーーーーーー


「出来たよ」


ヴォルクは眉間に皺を寄せていたが、何も言わないことからルベルとフィリアもリアと天狐を見ていた。

自分達もお腹が空いていたのと、天狐も動けるようになったのに逃げようとしなかったのも一つだろう。

ここら周辺には美味しそうな匂いが漂っている。

天狐は今にも涎が垂れるんじゃないかという顔をしながらリアをガン見していた。


A男と天狐以外皆で食事を囲む。


「あなたもこっちにおいで。好きなもの取ってあげる」


リアが天狐に声をかけると、天狐は素直に近づいてきた。

リアの隣に来るとその大きさが分かる。


「…あなた本当に大きいわね。小さくなれないの?」


この巨大な体ではリアが作った料理は足りないだろう。

ただでさえ大飯食いが3人いるのに。


ーーーむ?何故小さくならねばならぬ?


「あなたの体じゃ足りないのわかってるもの。それにその大きさじゃお皿も小さいし食べにくいでしょ」


ーーーふむ。仕方ない


そう言うと煙が立ち、一瞬で小さくなった天狐がいた。

その姿を見てまた心の中で悶えるリア。


ーーーこれでいいか?


「うん。何食べたい?」


ーーー……肉


「了解」


リアは天狐が食べたいと言っていた肉を取り分ける。

そんな中ヴォルク達は心に決めた。

もう何を見ても聞いても驚いてはダメだと。

規格外なことが多すぎていちいち反応していたら疲れることを覚えたヴォルク達であった。


「はい、どうぞ」


リアがお皿に盛った肉を天狐の前に置く。

天狐は尻尾をユラユラと揺らしながら目はキラキラしていて、取り分けてもらってる間に涎が垂れていた。


「いただきますって言ってから食べてね」


ーーーむ?なんじゃ、そのいただきますとは?


「私の故郷の言葉よ。それ言わないならあげないからね」


ーーー仕方ないのじゃ。いただきますなのじゃ


素直に聞く天狐が可愛すぎてやばいとリアは心の中で思うが、それはもう誰にも見せられないようなデレデレとした顔であった。


今回作ったのは生姜焼きと自分が食べたかった豚キムチ野菜にポトフ、在庫にあったパン、これだけじゃ足りない3人に野菜たっぷりお好み焼きとじゃがバター、天狐には焼き加減を別々にした肉。

本当はパンじゃなく米が良かったんだけど、この世界にも在庫の中にも何故かなかった。

通販召喚で買えばあるが、現在お金がない。

お米も入れといて欲しかったと恨めしく思った。


ーーーふむ。これは生に近いのじゃ


ーーーむ?これは硬いが美味いのじゃ


ーーーこ、これが1番美味しいのじゃ!肉汁が口の中に広がるのじゃ!


食べる度に感想を言う天狐。

ミディアムレアが1番好きだと言うことが分かった。

美味しそうに食べてくれる天狐に満足してリアも食べ始める。

ヴォルク達はすでに食べていて結構な量を作ったのに半分ほど減っていた。


ーーー小娘!次はあれとあれを食べてみたいのじゃ!


天狐が可愛い前肢でポンポンしながら言ってくる。

天狐が差したものは生姜焼きとじゃがバターである。

その2つはヴォルク達の好物だった。

2つを取り分けてふと思う。


「狐に玉ねぎって大丈夫?イヌ科だから食べたらダメなんじゃ?」


「何故俺を見て聞く」


冷たく応えるヴォルク。


ーーー人間の食べ物を食べても害はない。余はそんなに柔ではないからの。だから早く寄越すのじゃ!


待ちきれない天狐はバシバシと叩きながら急かす。

はいはいっと言って、天狐の前に皿を置く。

生姜焼きをパクッと食べると、雷に打たれたような衝撃を受けた後んまんまと言いながら食べ、次にじゃがバターを食べると前肢を器用に使い自分の両頬に手を当てる。

もう言わずとも分かっているだろうが、リアの心は……キャラが崩壊するのでやめておこう。


ーーー野菜など腹の足しにもならぬと思っておったが美味いのじゃ!


その言葉で、お前もか!っと思ったリア。

何故ならヴォルク達もその考えだったからである。

基本肉の考えのヴォルク達。

しかし毎日肉だけでは飽きる。

だからと言って野菜は美味しくないし味気ないとのこと。


そりゃそうだ。

この世界の基本的な調味料が塩なのだから。

この世界で1番まともな調味料が塩らしい。

他の調味料は極端な味で不味い調味料しかないと言っていた。


試しにヴォルク達が持っていた調味料を少し舐めてみたが、あのままでは確かに使えない。

何かと調和すればなんとかイケ…ないかもしれない。

だからフィリアはあんな訳の分からない調味料をドバドバ入れていた訳だ。

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