異世界召喚
使い方がまだ分からないです。
誤字脱字あれば優しく教えていただけると幸いです。
少しでも面白くないと思われる方は何も言わず閉じてください。
誹謗中傷は心が折れるのでご了承下さい。
「やめろ!娘だけは殺さないでくれ!」
「…っ」
震える娘を抱きしめる親子の前には銃を突きつけ、腰まである白にも銀にも見える髪に赤メッシュが入っておりスーツのような黒い服を着た無表情の女が立っていた。
カチャリとハンマーを引く。
「………」
「いや、死にたくない」
「頼む、娘だけは…」
パンっ!
「きゃあああ」
女は銃の引き金を引き父親に放った。
頭に一発撃たれた父親はガクンと娘に保たれるように倒れた。
「お父さん!お父さん!」
娘は父の亡骸を抱きしめながら揺らし必死に問いかける。
女は次に娘に銃口を向ける。
「い、や…」
パンっ!
娘も頭に銃を撃たれ父親と一緒に倒れ込んだ。
女は2人の人間を殺しても無表情のまま、親子を見下ろして立っている。
1度、目を閉じ持っていた銃をホルスターにしまった。
次に向かおうとした瞬間ーー
「えっ?」
黒い渦が現れ飲み込まれた。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「おぉ〜!」
「召喚が成功したのか!」
「ついに…」
そんな声が聞こえて目が覚める。
見えたのは日本で見たことがない服装
ファンタジー世界で出てくるような服装をしている。
髪の色は、まぁ珍しくもない黒や茶色、金髪、後は赤やオレンジ、青に近い紺色など
それはもう目が痛くなるようなカラフルばかり。
そして私の隣には、制服を着た少女。
高校生だろうか?
この娘も状況がわからない感じでオドオドしている。
そういう私も内心状況がわからず焦っている。
「どっちが聖女だ?」
状況を理解しようとしていたら、偉そうな男性が言った。
顔を見るとかなりの美形だ。
「今鑑定するのでお待ちください」
モノクルでしたっけ?
片眼鏡をかけた結構若い男性が答える。
こちらも美形です。
しかし鑑定とは?
さっきは召喚、聖女という言葉が出てきたし。
まさしくファンタジー…異世界物語でよく聞く言葉じゃないですか。
あんまり詳しくないけど、暇つぶしに目を通したことがある。
じゃ、ここは本当に異世界?
取り敢えず、この状況が把握できるまで大人しくしておきましょう。
「おぉ!この女性は素晴らしい!まさしく聖女様と言えるでしょう!」
片膝をつく片眼鏡野郎が一緒に召喚された少女を見て叫んでいた。
隣の少女の方に顔を向けると彼女は頬を赤く染めていた。
そして彼女の顔の前に四角い画面のような物がある。
ステータス画面と言えば良いのだろうか?
ステータスオープンとか言ったら自分のステータス画面とか出てくるのかな?とか思いながら、女子高校生のステータスが自分にも見れるかと凝視する。
「!?」
高校生のステータスを見て驚いた。
いやいやいや、この片眼鏡野郎大丈夫でしょうか。
これのどこが聖女だと言えるのでしょう。
私が見た物は
【名前】 マキ カシワギ
【年齢】 17歳
【レベル】 1
【スキル】 ヒール
【性格】 わがまま
クソビッチ
お金大好き
男は容姿
アバズレ
いじめ大好き
自分が中心と考えている
何というダメ人間。
その性格が顔に現れてますよ。
でも、これで聖女と騒いでる片眼鏡は本当に鑑定ができているのだろうか。
ヒールとは間違っていなければ傷を治したりするヒールのことだろうと思う。
この片眼鏡野郎はスキルだけしか見えていないのか?
それとも性格は問題視されないとかでしょうか?
こんなので聖女と言えるのだろうか。
それともこの世界の人はヒールが使えないとか?
色々考えていると
「おぉ!そなたが聖女か!なんと可憐で美しい!」
「王子、もう1人いますので、まだ決めるのは早いかと」
王子だったのですね。
それは偉そうな態度取りますよね。
「うむ、早く鑑定を!」
その言葉で片眼鏡は私の前に来て片膝をつく。
ジッと私の顔を見つめてくる片眼鏡野郎。
それを無表情のまま見つめ返す私を見て、片眼鏡野郎はムッとする。
その意味を理解したが表情は変えません。
「鑑定」
先ほどと同じ様にジッと顔を見つめられてるように見えるが、目線は画面を見ている。
あの少女はきっとこれで照れたのだろう。
「王子…この方は無能のようです。スキル項目には何もありません」
ハァ〜とため息を吐きながら立ち上がる。
「無能⁉︎そんな奴が何故召喚されたのだ?」
「考えられるのは召喚に巻き込まれたのかと」
「そうか」
トントンとそんな会話をしている中、自分の鑑定を見てみることにした。
あっ、ちゃんと自分のも見れる。
【名前】 リア
【年齢】 21歳
【レベル】 1
【スキル】
※現在スキルは全て秘匿されている為閲覧できません。
城から出た時にまた確認してみてください。
と書かれていた。
うん、なんかよく理解できないけど、私のスキルは秘匿されてるのね。
だからこの片眼鏡野郎は私を無能と言っているのね。
でもなんで秘匿されてるのだろう?
「ーーーだ。良い案だろ?どうだ?」
「えっ?」
いつの間にか私の前に王子とやらが居て、片眼鏡野郎と頷いている。
話を聞いていなかった私は、キョトン顔。
「だから、お前は容姿だけは良いのだ。まぁ、胸はないようだが…私やこいつが可愛がってやる!喜べ!王子である私とこの宰相がお前を玩具としてそばに置いてやるのだ!無能のお前は奴隷なのだ!」
良い考えだろう?と言わんばかりに片眼鏡野郎とウンウン頷いている。
何言ってるんだ、こいつら?
胸がないとチラッと視線を送るとは最低だ。
胸はちゃんとありますよ?
ただ任務中邪魔なので小さく見える下着を付けているだけですけど?
可愛がってやる?玩具?奴隷?
私はどこの世界に行ってもこんな扱いなのか。
私は道具でも奴隷でもでもない。
「お断りします」
無表情だが先ほどより冷めた目をして答えた。
私の一言でシーンと静まり返る。
「なっ!断るだと⁉︎」
まさか断られると思わなかった馬鹿王子はワナワナと怒りに変わる。
周りも断ると思っていなかったからか、ザワザワし始める。
「初対面であるあなた達に無能と呼ばれ、あげくに玩具?奴隷?馬鹿なんですか?」
無表情で言いたいことを言う。
「王子であるこの俺様に何という無礼な!無能の人間は奴隷になるのは当たり前だろう?そうな無能を王族の側で使ってやると言うことは他の奴隷よりいい暮らしが出来る。何が不満だ!」
「自分で俺様とか言ったり、人を簡単に奴隷呼ばわりするとか終わってますね。そんな人の方がよっぽどクズだと思います。王子ってことはまさか次期国王だとか言わないですよね?貴方みたいな人が国王になったらこの国終わりますよ。かわいそうに…」
「なんだと⁉︎」
あっ、声に出てたんですね。
心の中で呟いてたはずなのですが…
私は普段こんなに長く話したりはしません。
心の中で思っていることは言いますが、今回はどうやら声に出してしまったみたいですね。
そう思っていた時、バシッと言う音と、痛みが走った。
「無礼にも程がありますよ」
「っ…」
何が起こったのか理解するのに少し時間がかかった。
左頬を殴られたのだ。
目の前には片眼鏡野郎が警棒みたいな乗馬で使われている騎馬鞭に似てるような物を持っていた。
成程、手に持ってるやつで殴打したってわけですね。
「デニス俺にも貸せ」
「どうぞロレンツ様」
デニスと呼ばれた片眼鏡野郎は王子、ロレンツに渡す。
「俺がクズだと⁉︎俺が国王になったら国が終わるだと⁉︎巻き込まれて召喚された無能風情が生意気な!」
ロレンツは大きく腕を上げた後、勢いよく振り翳した。
バシッ
「っ!」
今度も左頬にあたり痛みが走る。
このくらいなら耐えられるが痛いものは痛い、とリアは顔を伏せギリっと奥歯を噛み締めた。
「処刑してやる!王族を馬鹿にした罪は重い!」
めんどくさい事になりました。
リアは顔を伏せながらため息をつき考える。
逃げましょうか?
周りをチラッと見て2,30人はいるだろうと把握する。
剣を持っている者もいるが、主に杖を持ってローブを纏った者が多い。
この人数なら逃げれそうだし…
でもここで逃げたら追いかけて来ますよね。
杖を持ってるってことは、魔法が使える世界なのかもしれないですし…。
魔法を使われたらかわせるかもしれないが、咄嗟に銃で攻撃してしまう恐れがあります。
魔法があるのに、銃もあるとは考えにくい。
下手に使うわけにもいかないですね。
しかし捕まるまで追いかけてくるだろうし、またずっと逃げ続けることになるのでしょうか?
あっちの世界と同じようにこっちの世界でも逃げ続ける生活を送る?
正直めんどくさいですね。
でも、逃げなかったら処刑でしょう?
どうしたものか…
「あの…流石に処刑はかわいそうかと…」
どうするか考えていたら、クソビッチ…失礼
マキと言う高校生が何故か間にはいってきた。
「何を言うのです。聖女様!王族である王子に失礼な態度と言動、これは許されない事です」
「でも、勝手に召喚してきたのは貴方達ですよね?それなのに処刑だなんて…」
「聖女殿…いや、マキだったか。お前は優しいのだな。やはりそなたが聖女に間違いはないだろう!」
片眼鏡野郎、クソビッチ、王子の順で会話をしている。
「王子様、どうか助けてあげてください!」
「だが、こやつは王族であるこの俺を馬鹿にしたのだぞ?処刑になるのは当たり前だ!」
「だけど、処刑はあんまりです!貴方はそんな酷い方なんですか?」
クソビッチから涙がポロポロ出てきた。
何でしょう、この茶番は?
「分かった…分かったから泣かないでくれ。聖女は心優しい慈悲深いと伝えられているが本当なのだな」
と、王子はクソビッチの前まで行き、抱きしめながら涙を拭っている。
「王子様」
クソビッチはうるうるした瞳で王子を見つめる。
早くこの茶番終わらせてください!
切実に願います。と心の中で叫ぶ私。
「おい貴様!マキの慈悲深さに感謝しろ!本来なら処刑だがマキが泣くから見逃してやる!しかし俺はお前の顔を見たくない!追放だ!それで許してやる!俺にも感謝するのだ!罰が追放だけなのだからな!」
「王子様、この方を助けてくださりありがとうございます。あの…少しだけあの人と2人だけでお話しさせてくださいませんか?」
お礼を言われて王子は満足そうに微笑んだが、その後の言葉にムッと表情を変える。
「あんな奴と話すことなんてないだろう?」
「知らない世界に来てこれから1人で生きていくのを考えると…なので少しだけでいいので、お願いします!」
吊り目の少女はウルウルと目を潤ませて王子を見つめる。
「…分かった。しかし何かあったら危ないから俺とデニスも同行しよう」
「いえ、すぐ終わりますのでここにいてください。お願いしますね?」
ニコッと笑ったあと私に近づいてくる。
その間王子は手をあげて周りに合図を出した。
その合図で剣を握りしめる者、杖を前に出し構えている者…いつでも攻撃できる体制になった。
少女は私の前まで来て見下す。
「追放という形になってもう会えないかも知れないけど、死ぬよりはマシです。同じ召喚者として仲良くしたかったですがどうかご無事で…」
と言った後、座り込んでいた私を抱きしめて私だけに聞こえる様に小さい声で耳元で話し出した。
「本当はあなたを虐めてあげたいけど、あなた無表情だし虐めてもつまらなさそうだけどすぐ死んだら面白くないわ。あのイケメン達も独り占めしたいし…だからあなたは私には必要ない人間。追い出されて野垂れ死なさい。城から出されたあなたが苦しむ姿を想像して楽しみながら私はここで自由に暮らすわ。おばさんは用無しなの。残念だったね?」
言いたい事が終わった後、私の顔を見てニヤリと笑って
「きゃっ…」
と後ろに倒れ込んだ。
「マキ!」
「マキ様!」
ロレンツとデニスが駆け寄ってきて、ロレンツはマキを抱きしめる。
もちろん私は何もしていません。
勝手に彼女が倒れ込んだだけです。
「だ、大丈夫です」
「お前っ!」
キッと私を睨みつけるロレンツ。
「王子様私は大丈夫ですから…」
と、わざと震えてロレンツの胸に頬を寄せるマキ。
「早く城から追い出しましょう!この様な者がいつまでも城に居座られては困ります!」
デニスがロレンツにそう言うと王子は一度頷き
「その者を連れて行け!」
その一言で、私はこの国から追放された。
後にリアを生かした事を深く後悔する事になろうとは思いもしないだろう。
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そして今、門の外にいる。
一言言いたい!
テンプレ通りでありがとうと。
ありがちな異世界物語だ。
テンプレ通りことは進み、無一文で追い出された。
私のスキルを鑑定できなかった片眼鏡野郎も、あの俺様王子も、クソビッチのあの笑みと性格あの女に似すぎだ、イライラする。
自分勝手な人間は大っ嫌いだ。
ただでさえ、あっちの世界でストレス溜まっていたのに、こっちの世界に来て尚更ストレスが溜まってしまった。
殺ろうと思えば出来たけど、我慢した自分を褒めてやりたい。
「ちっ、私を無能だと言って殴った2人も、クソビッチも許さない。奴らは私の敵と見做しました」
ニヤッとリアは笑う。
いつか必ず戻って痛い目に合わせてやります。
「まずは情報を集めないとですね」
リア、復讐を決断する。