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第一話 インキャ、超絶美少女につきまとわれる

 俺、影山白兎(カゲヤマ ハクト)は幼い頃から、陰キャラとして生きてきた。それには理由がある。小学生の時に、父親が転勤になったせいで、幼稚園の時に住んでいた、陰台市に引っ越すことになった。そして、そこで出会ってしまった。とてもとても嫌な奴に。


 幼稚園の頃、そいつは俺にべったりだった。


「影山君と結婚したい!!」

「影山君、大好き!!」


 そんなことを俺の母親の前でも堂々と宣言する奴だった。対して、俺は幼稚園の頃からひねくれていたので、人前でそんな堂々と発せない子供だった。


 まぁ、俺の話はどうでもいいか。


 とにかく、そいつは転校してきた情報を聞きつけると、俺がいるクラスに来ていた。


 そして、そいつは言ったのさ


「なんか。全然かっこよくないね。もう一人の子の方が、かっこいい」


 俺はそいつの言葉に深く傷ついたっけな。


 だが、俺の非モテへの道はそれだけではない。


 小学5年生になると、またもや俺の事を好きになる変わった女が現れた。そして、そいつの行動は常軌を逸してた。席替えで俺の隣を無理やり勝ち取ったり、俺の絵に手を加えてきたり、修学旅行の時には、女子禁止の俺の部屋に入ってきてボディータッチまでしてきた。


 今思えば、そんな奴に対して、俺は少し心を開いていたのかもしれない。


 だが、現実は厳しい。


 6年生のプールの時だ。当時、俺は少し太っていて、腹の肉も乗っかるような体型だった。


 その体形が気にくわなかったのだろうな。


「え! 影山君ってこんなに太ってたの......」


 そんなことを遠くで呟いているのを聞こえてしまったのさ。


 俺はその言葉にショックを受けた。でも、一番大きいのは、この二人が俺をからかい始めたことだ。


 あー、今にでも忘れたい。忘れ去りたい記憶だ。


 とにかくだ。


 それから、俺は女子に対して心を閉じたのさ。そして、それは今も変わらない。


 だが、俺の平穏な高校生活を脅かす存在が再び現れている。


 そして、そいつは学年一の美少女と言って過言ではないだろう。それどころか、テレビにも出れるような容姿をしている。スタイルもよく、家も裕福らしいその女、伏見結愛(フシミ ユア)はなぜか俺に付きまとい始めた。


 きっかけは結愛が街を歩いているときだ。結愛は厳ついお兄さんたちに囲まれていた。


 俺はそんな結愛を見て、助ける気などなかった。だが、結愛は犬の散歩中で、その犬は俺を悲しい目で見つめてきたんだ。


 そんなの放っとけないだろ。


 そんな様子に、俺は思わず助けてしまったのだ。


 後々思ったね。あーやってしまったって。


 女と関わると不幸になるので、関わるのをやめる。


 俺の鉄則であるそれを破ったんだ。自業自得だ。




「影山君! お昼一緒に食べない?」


 それから、結愛は毎日こんな調子で話しかけてくる。


 俺はその言葉に対して飽き飽きしているし、困っていた。


「何回も言っているだろ。絶対に嫌だね」

「えー! お願いだよー!」

「チワワの様に潤んだ目で見られても、お断りだね」


 結愛は犬ではないからな。もし、犬だったら『はい』と即答していたが。


「ちょっといいかな?」


 そんな時だ。クラスで一番かっこいい奴との呼び声が高い、青島優斗(アオジマ ユウト)が話しかけてきた。


「どうした?」


 こいつは、男で無害だろうね。俺は普通に応じることにした。


「結愛さんは君をもう10回以上誘っているんだ。提案に乗ってあげてもいいんじゃないかな?」


 あー出ました。フェミニストのイケメン野郎。


 俺はこういうフェミ野郎が心の底から嫌いなんだ。男である俺の気持ちを無視して、話し始めるからな。


「なら、俺が嫌だという気持ちはどうすれば?」

「そ、それは......」


 青島は唇をかんでいた。


 おー悔しがれ。ざまあみろ!


 皆さん、正義は完了されました。


 俺は友達である江島出雲(エジマ イズモ)とこの感覚を分かち合いたい衝動に駆られ、隣にいる出雲を見た。


 すると、ちょうど口を開いていた。


「影山。1回くらいは行ってあげてもいいんじゃないか?」


 友達である出雲はそう言っていた。


 出雲とはこの学校に入学したときからの友達だ。そんなこいつとは馬が合う。


 だが、今日の出雲は何か変だ。頭でもぶつけたのか。


 出雲は初めて、女を許容している。


 いや、違う。出雲は頭をぶつけたわけではない。聡明な出雲は真面目に言っているんだ。


 出雲の目を見て、真面目に言っていることを理解した。


「お前が、そこまで言うなら...... ただし! 1対1は嫌だね」


 俺の発言に結愛も、青島も考え込んでいた。


 よし、うまくいけば断れるかもしれない。


 俺のそんな期待を青島は簡単に一刀両断した。


「じゃあ、僕と、宇佐がいくよ」


 青島は現役読者モデルである八坂宇佐(ヤサカ ウサ)に声をかけていた。


 宇佐は自分が呼ばれるとは思っていなかったのだろうな。目を丸くしていた。


「ちょっ! なんで私なの! 行かないに決まってるじゃん!」

「結愛さんも困っているんだ」

「あー分かったよ! 行くって!」


 ちょっと待ってください、宇佐さん。なんで今行くって言ったのか。


 くそっ。せっかく、断れる口実が作れると思ったのに。弱みでも握られてるのか? それは知ったことではないが宇佐は行くらしい。


 あーあ。俺の貴重な昼休みが壊される。


 こうして、俺たちは一緒に昼食を食べることになった。






読んでいただきありがとうございます!

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