10話『秋谷 旭 夏休みの一日』
夏休みが始まる前に最も危惧していた宿題。だが拍子抜けだ。こんなもの、僕らをバカにしているのか、そう思ってしまうほど。数学の問題冊子(20P)古典の問題冊子(20P)。
と極めて少ないものだった。僕は冷房の効いた自室にいつも通りとじこもり、一日で終わらせた。もちろん適当なんかではなく、全問正解。なぜなら答えの冊子が付属しているから。
あとはやってもやらなくてもいい読書感想文。やらなくていいのならやらない。それが僕のポリシー。
僕は何となく指をポキと鳴らしてからデスクトップの電源を入れ夕方までゲーム。そんな蛮行が許されるのは両親は仕事で、櫻木は女子友達と遊んでいるから。きっと今頃きゃっきゃウフフでショッピングセンターとかおいしいスイーツとか食べているんだろうなー……あるいは、意中の男性と真夏で暑いことをしているのかもしれないと、意味の分からない方向に飛んだ僕の頭は完全にゲームに対する興味を失った。
僕はパソコンをシャットダウン。
椅子から降りた僕はテレビ台の前につま先立ちで上に置かれた本棚に手を伸ばし、読んでいなかった文庫を掴み取り、座る事無くその場で読み潰す。
やはり僕の一日というのは極めてつまらないものだ。
本を読んで、ゲームをして、今期のアニメを見て、掃除して、好きなもの食って、寝て。やっている本人はとても面白いと思っているのに。この生活から抜け出すにはなぁ、たぶんなぁ、彼女が必要だなぁ。そもそもこんなインドアな生活をしている時点で彼女なんて出来やしないなぁ。ハァ。
ネットサーフィンをし、不意に彼女の作り方、なんて知りたくなり『コ〇ケで出会いを作る方法』とみて僕は弾かれたように立ち上がり、スマホを投げた。僕は人ごみが嫌いだ。きっと行ったら酸素とエサの足りない金魚みたいに水面に浮かんで口をパクパクしてしまう。
前回の夏、僕はあの戦場をなめていた。そんな混んでいる朝に行くなんて馬鹿――、と僕はお昼ごろに行った、お目当ての同人誌はすべて枯れていた。たぶん二度と行くことはないだろうと僕はその時思った。唯一の思い出は某配信者とイラストレーターと握手したこと。十分だ。もう手は洗えません、って言ったのにたぶん今日にいたるまで千回くらい洗ってる。
僕はお昼寝をした。
夏休みの友達の少ない男子高生の一日でした。




