結局
夕食を食べ風呂の準備をした。
「おーい、風呂が入ったから入ってくれ」
俺は声をかけると、自分の部屋に戻った。
男一対女多数だと居場所が無い。
自分の部屋。
両手両足を伸ばせるっていい!
だから考えられる
台所だと風呂から出た女性陣を見ることになる。
この歳の体だ、結構きつい。
正直、カミラやフルが俺の前を通るのも我慢していた。
さすがにあの四人は気にはならなかったが……。
好かれているのも知っている。
だから手を出していい?
俺はどうなんだ?
好きなのか?
責任を取れるのか?
受け止められるのか?
わからない……でも、これだから俺は家族ができなかったのだろうか?
一歩踏み出せば、俺のあのマンションに家族があったのだろうか?
一人になるってのも、いろいろ問題あるんだな。
見られる緊張から解放されたせいで余計なことまで考えてしまう。
さて、俺はどうしよう。
いや、どうしたい?
誰かがキイと音を立て部屋の扉を開けた時、
「まあ、俺は、カミラが好きなんだろうな」
と独り言を言い切ったあとだった。
入ってくるのはカミラ。
無言のまま服を脱ぎ始める。
「おい」
無言のまま全裸になると俺に飛びついてきた。
カミラ怖いから……。
そのまま俺にしがみ付くと唇をむさぼる。
糸を引きながら唇が離れると、
「やっと言ってくれた」
再び俺にむさぼりつく。
脳筋プラス肉食か……。
まあこれくらいのほうが俺にはいいのかね。
魔法で扉を閉め、周囲に防音壁を作る。
外に漏れたら教育に良くないだろう。
しばらくすると、俺の腕に疲れ切って抱き付いているカミラ。
「凄かった。ガルムが私を辱めたのなんて比にならない位凄かった」
「『すごかった』って二回も言わんでいい。まあ、俺も五十年近く生きてきていろいろやってきたんでね。それなりの経験はある……とはいえ、そこまで言われると恥ずかしいぞ」
「だって、凄かったんだもの」
「言い方変わってないか?女になっているって言うか……」
ギャップが凄い。
「嫌?」
「嫌ではないが」
「だったら……」
俺の腕に胸を押し付けてくるカミラ。
結局夜明け前までだった。
結局風呂に入れなかった俺は、朝方カミラが寝ているベッドを抜け出し風呂に向かう。
外はまだ薄暗かった。
湯を張りなおして入る。
ふぅ……。
広い風呂はいい。
疲れを癒しながら大の字で浮いていると。
ありゃ?
光点が二つ近づく。
「誰だ?」
俺は声をかけた。
「私、カミラ」
「あと、私はフル」
「で、俺に何の用だ?」
「ガルムがお風呂に入ったってカミラが言ったから……」
フルが現れる。
真っ白な肌に金髪碧眼。
何だこのバディは。
「ボ」じゃなくて「バ」で言ってしまう。
メリハリ付き過ぎだろう。
プラス、カミラの褐色の肌。
「で、何でカミラが居る?さっきまでしてただろう?」
「二人でガルムを襲おうって……」
「なぜに襲う?カミラは既に陥落しているはずだが?」
「そっそれは……」
「またいろいろなところに入れられたいのか?そこだけじゃなくてあそこも」
真っ赤になるカミラ。
「私もお願い! もう耐えられない。だって、カミラと同じで私もあなたに奪われたから」
五人が頷いた様を思い浮かべる。
まさか、前のガルムはあの四人にも手を出したのか?
カミラとともに頷いていた四人が気になる。
えっ、まさか、淫行?
常識が違うよ、勘弁してくれよ、いくら盛りが付いたってあの年齢に手を出すのは無いぞ!
はあ、ヘコむ。
困った体に入ったもんだ。
「でもね、今のあなたならいいの。私はあなたに奪われてよかったと思う」
「俺、フルを抱いた記憶さえないんだが……。嫌だっただろ?」
「それは、確かに嫌だったけど、今のあなたならいいって言ってるでしょ? だからいいの。だから抱いて! さっき聞いたわよ?凄いって」
何だその情報?
チラリとカミラを見ると、目を逸らせる。
「カー、ミー、ラー」
俺はカミラを睨み付ける。
「だっ、だって凄いんだもん。あんなところを弄られるなんて思わなかった。単調に弄られ、そのまま奪われたのよりは数段凄い。私の気持ちいい所を触ってくれるし、私のこと思ってくれるのわかるし、だから安心できるし」
はあ……。
「この世界ではそういうのを他人に話すのか?」
「あなたが部屋を出た時、フラがあなたの部屋に入ってきたの。その時に話をして、フラは『ガルムに抱いて欲しい』って言った。だから、あなたがお風呂に入るのはわかってたから『襲おう』ってことになったの」
そのまま二人が俺の両脇に来る。
据え膳食わねば……かね?
「しゃーねーな」
とは言ったが、俺も何が仕方ないのかはわからない。
俺は二人を弄り返した。
乳房や秘部をむさぼり、何度も果てさせる。
「まあ、こんな感じだ」
と言った頃には完全に朝になっていた。
教育上良くないので防音の魔法は使ってはいたが……。
この時間までやっちゃうとなあ。
防音を解除した時に既に台所で生活音がしていることに気付いた。
俺は今度はちゃんと風呂に入り、体を洗う。
背中に胸を押し付けたり、俺の息子を洗おうとする二人。
「それしなくていいから」
「「だって」」
受け身だったのが悔しいらしい。
「気にするな」
そして、体を拭いて三人で風呂を出た。
両腕はカミラとフルにホールドされている。
「どうだった?」
台所に入った瞬間、カミラとフルにユーリアが聞いていた。
それを聞いて真っ赤になるカミラとフル。
「恥ずかしいから、俺が居ないところで話せよ」
俺がそう言うと、カミラとフルと彼女たちは二階へ上がっていった。
彼女たち四人の部屋でも行ったのだろう。
というか、俺包囲網か?新手の嫌がらせか?
まあ、魂変ってから手を出したのは間違いないしなぁ。
はあ、勢いに任せてしまった。
これでいいのだろうか?
そんな事を考えながら目玉焼きを作っていると、焦がしてしまう。
「まあいいや、これはカミラの分にしよう」
焦げた目玉焼きをした結果……カミラが拗ねた。
フルと彼女たちはニヤニヤして俺を見る。
どうやって機嫌を取るのか見ているようだ。
俺は黙って台所でプリンを作る。
甘い匂いが漂う。
匂いが漂い始めると、カミラもフルも彼女たちも気になって仕方ないようだった。
あえて一個しか作らない。
これはフルと彼女たちへのちょっとしたイタズラだ。
ニヤニヤしているのにイラっとしただけ。
性格悪いな俺。
プリンが出来上がり、カミラの前にトンと置く。
「悪かった」
と言って、カミラにスプーンを渡す。
俺が、
「食ってみろ」
と言うと、カミラは恐る恐る食べ始めた。
ひと口食べた瞬間、体が止まる。
「ねえ、どんな味?私もひと口貰えない?」
フルが聞くが、
「ダメ」
と言って、子を守る鳥のようにプリンを守るカミラが居た。
容器の隅にある欠片まで綺麗に食べるカミラ。
気になって仕方ないフルと彼女たち。
「美味かったか?」
「こんなに美味しいの初めて」
「許してくれるか?」
物で許しを得るってのもあまりよろしくはないが、
「うん」
と言って、カミラは女の子モードになって俺に抱き付いてきた。
許してくれたようだ。
おれにとっては当たり前で、フルと彼女たちにとって謎のお菓子「プリン」。
しばらくは謎のままで置いておこう。
しかし、今更ながら俺は押しに弱く、女の子は甘いものが弱いことがわかった。
読んでいただきありがとうございました。