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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

幸せな日

作者: 白雪 慧流

お久しぶりです、慧流でございます!

今回は短編を一つ。

鬼のお話ですが、あまり良いものじゃないかもしれません

こちらでも注意を入れますが

血等のグロテスク表現、性的表現が含まれますのでご注意ください。

なんでも大丈夫な方は本編どうぞ!

私が人間だったら

私が人間だったら

私が人間だったら……

あんな惨劇は、最悪の結末は生まれなかったかもしれない。

あの人を助け、今もきっと幸せに……

嗚呼、何処で歯車は狂ったのだろうか、何処で私は間違った選択をしたのだろうか、笑って見つめた、血溜まりの中あの子の言葉が頭を離れない。

「お父さん起きて、起きて、私をお▽し◆∞」

ごめんね、私が、私がいけなかったの、もっと早く気付くべきだった、あの人をあの子の未来を奪ってしまったのは私……

私が未来を奪った……?なぜ?どうして?ドウシテ?ニンゲントオニデハシアワセニナレナイノ?

人間ニナリタイ、人間ニ……人間ニ……


ミーンミンミン、忙しなくセミが鳴き始めた夏の日、んーっと思いっきり背伸びをすると干したばかりの衣服から石鹸の香りが鼻をくすぐる。

今日も平和、晴天の雲一つない青空、向日葵が太陽の方を向き、一日の始まりで夏を満喫する。

「お母さん!おはよ!」

「おはよう、日向(ひなた)

太陽か、向日葵のような輝く笑顔を向ける我が娘日向、夫より私に似て、ご近所さんからも「日向ちゃんが大きくなったら双子みたいになるのかしら?」と冗談交じりに言われてしまうくらい、少しは夫に似てもよかったのに。

「日向、桜華(おうか)おはよう」

「おはよう!お父さん!」

「おはようあなた、日向はすっかり懐きましたね」

夫のお腹に勢いよく抱きつき、抱きつかれた夫は苦しかったのかうぐっと少し呻く、夫婦2人と娘1人、静かで平和でとても充実した生活。これが【幸せ】なんだと日々感じていた。

それでも幸せは壊れてしまうの、淡い夢はいつか弾けてしまう。弾けて……

私は無視すればよかったの?あんな悪夢忘れてしまいたい、見なかったことに聞かなかったことにしたい、だってだってまさか、あの人が娘を……

あの人は私を助けてくれた。

母と喧嘩して、1人鬼の村を飛び出したのはいいけど行く宛はなく、何日も何日も街中をさまよい続けた、空腹と疲労、そして降り続く雨は私の気力と体温、体力を容赦なく奪い、死の淵へと誘う。

濡れた服は重くもう動くことすら困難を極めた、私死ぬんだそう覚悟を決めた時、暖かな手が私の頬を包んだ。

「まだ生きているかい?」

優しい声、その人は私を抱きかかえると、家まで連れてきて、お風呂に入れてくれた、ご飯を出してくれた、幸いそれとも自分が鬼だからか、命に別状はなさそうで、体力さえ回復すれば普通に動けるようになった。

「助けていただきありがとうございます」

「いいよ、さすがに雨の中、女子を1人放置するわけにはいかないからね、好きなだけこの家に居るといい」

声と同じくとても優しい人だった。

彼の名前は知らない、どうして私を助けてくれたのかも言ってはくれない、それでも私は彼に惹かれた。

私が鬼だと教えたらあの人は怖がってしまうだろうか?もしかしたら出て行けって言うかもしれない、怖い、でも言わないのはきっと後悔するの、嘘はつきたくない。

「あの……ずっと言えなかった事があります」

「ん?」

そういえば、あの日も夏の日だった。

向日葵が咲き、セミが忙しなく鳴くそんな夏の日。

星が綺麗で、窓際にいた彼は淡い月の光に照らされて、その目を私は見れなかった。

「私……実はその……人間じゃなくて……鬼と呼ばれる妖なんです……」

その声は小さく、怒鳴れるのを覚悟で縮こまっていると、私の考えとは違い、頭の上にポンポンと手が乗せられ、驚きのあまり顔を見上げると、にこやかな彼の顔が目に入って、自然と泣いていた。

そんな私を彼は優しく抱きしめると、「君は君だから大丈夫」そう言ってくれた。

鬼だと明かしてしまうと気楽なもので、そのまま私はこの家に居着いてしまった、彼から離れたくないのもある、ご近所さんも優しくて、料理ができない私に料理を教えてくれたり、火を怖がる私に火の扱い方を教えてくれたり、すっかり囲炉裏の暖かさに魅了される私を笑って「暖かいでしょ?」と茶化してくれたり。

人間に混じって過ごす長屋生活も悪くないと思った、でも帰らないときっと皆が心配してる、帰らなきゃ……

想いを伝えずに帰る、そんな器用な事私にはできなくて、紙に私の名前を書いてあの人に渡した。

「妖にとって名前は人間より大事なものです、知っている相手には逆らえない、だからあなただけは本名を知っていてください」

彼は紙を見て、私をきつく抱きしめ耳元で呪縛を唱える、そうこれでいいの、私を離さないで、私をあなたに縛り付けておいて。

今だって私はあなたを愛しています、どんな形でお別れになろうと、あなたがどんな人であろうと、だから娘に私を重ねないで、私を実際の桜華を見てください。

一目惚れだった。

雨の中傘もささず歩き続ける君の姿は美しかった。だから、君が弱るまでずっと待っていた、見ていた。

ついに君が歩けなくなって倒れた時そっと手を差し伸べた、白い肌は柔らかく近くで見たら人形のように美しい、自分のものにしてしまいたい、そんな欲求が強くなり、君に呪縛をかけたんだ。

でもお義母さんは許してはくれなかった、君を独り占めはさせてくれなかった。

神様。自分は償っても償いきれない罪を犯しました。

あぁ、愛しい桜華よ、こんな自分を許しておくれ、君を壊してしまったこんな自分を……

あの音をあの光景を忘れてしまいたい、全てが壊れたあの日。

小さな少女の喘ぎ声に混じって、ぴちゃん、くちゅ、という普通に考えたら聞かない音が夜中家で聞こえた、喘いでいる声は間違いない日向、娘の声を間違うはずがない、声と音のする方へ導かれるように私は歩く、拍子の奥、影絵のように浮かび上がるのは、小さな人影の上に馬乗りになる大きな人影。

「あっ……おと……うさん……んっ」

「桜華、あぁ、2人目の子供をもうけよう」

目の前が紅く染まる気がした、娘が夫に襲われてるそんな悪夢を今見ているのか。

夢なら覚めてお願いだから、月明かりの下白く光る矢が自分の周りを飛び遊ぶ。

こんなにも人は紅かったろうか、まるで彼岸花が一瞬にして咲いたかのよう。

「お父さん……?お母さんなんで……」

日向が怯えたようにこちらを見た、手を伸ばすといやっ!と叫ばれる。

「お父さん…お父さん…起きて…起きてよ…私を犯してよ…」

鬼の中では稀に角がない者が産まれる。

角がない鬼は稀有な存在であり、一般の鬼より強い力を持つとされていた。

山道を鬼の村へ向けて1人和服の女性が歩く、白い着物は所々赤黒いシミができていた。

「人間に……人間に……」

角ない鬼は1人願の為に歩く。

鬼が鬼を殺し続ければ人間になれる、そんな迷信に縋りたいくらい今の彼女は追い詰められ、そして鬼の住む村にたどり着く。

「あら、桜華おかえりなさい」

「お姉ちゃん!帰ってきたの?」

彼女がたどり着いた時、家々から鬼達が飛び出してくる、皆笑顔で迎えるが迎えられた本人の目には何が映るのだろうか。

手を天へと伸ばし、ただいまとも言わず滅びの呪文を唱える。

ーー月下の彼岸花ーー

白い着物は更に紅く染まり、そこに立つのは笑顔の『鬼』血溜まりの中には無数の矢が散らばる。

「あははっ…これで人間に…人間になれる…」

ーー本当になれるんか?ーー

「誰……?」

ーー其方はこんな結末望んどらんやろ?ーー

「違う…私は私は!」

ーー手前の言葉、否定するんか?愚かやなーー

「やめて……あなたにはわからないわ!」

ーーわからないか、そらわからないわ、ただな其方が手前を否定し続ける限り、其方に成長はないで?ーー

血溜まりの中鬼は何を望むのか。

その願いは悲しく叶わない、鏡に映る姿は語りかけた、『本当の望み』を。

「だから、しばらく休んどき、その間は手前が其方に代わってやるさかいに」

着物を翻し、山を下る、カツンカツンという下駄の音が森に響き、鬼は進む。記憶と感情を閉じ込め、偽りの願いを抱えながら……。

私が書く恋愛ものってどうなってるんでしょ…

男性がクズなのは事実ですねっ!

まぁ夫の方も正気ではなかったのだと思います

いつかハッピーエンドの作品も書きたいものですね……

ここまで読んでくださった方々ありがとうございます!

感想等頂けたら嬉しいです!

それではまた次の小説で!

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