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最終話 【闘争の神レフィクル】

 《魂抜きの籠手》により死極へと封じられたレフィクルは、荒涼とした大地に立っていた。



「ここが死極という場所か」


 レフィクルは1人つぶやき、手持ちの武装を確認すると近寄る魔物達に向かって攻撃を仕掛ける。

 異常にして異形な魔物の数を相手にレフィクルは戦い続け、生前よりも弱肉強食な永遠に続く殺し合いの世界でただ1人戦い続けた。

 死んでも片っ端から時間が巻き戻ったように蘇る相手にレフィクルも殺されることもあったが、そもそも死の監獄である死極に死は存在しない。

 喰われるなり殺されるなり、意識が消えるその瞬間まで痛みや恐怖を味わいながら、ほんの僅かな間で記憶を残したまま蘇るのだ。

 そこまでして殺しあう理由とは空腹である。 空腹で餓死する事は無いがその欲求はなくなることがなく、不毛なこの死極に食物など存在しない。

 そのため死極に送られたものの中でも力の無い者は、徒党を組む者が出て当然だ。




 そんな永遠に続くと思われた死極の中、人種並び神々に復讐せんとするもの達の噂を聞きつけ出逢うことになる。

 それはスエドムッサを将としたルベズリーブ達であり、そして死んでいったガウシアン王国の兵士達だった。 レフィクルが作り上げた国は、死して死極に送られてもその忠誠心は揺るぐことなく一丸となって死極で戦い続けていた。


 再会を果たすレフィクルは生前の頃には見せなかった安堵と喜びの表情を浮かべ、スエドムッサやルベズリーブ達もその再会に涙して喜んだ。



「レフィクル様! ログェヘプレーベやノーマはまだ死んではいません。

死極より抜け出す死極の門を探しながら力をつけて復讐してやりましょう!」


 だがレフィクルの答えは違った。



「もう良い」


 驚く配下達を尻目にレフィクルは言葉を続ける。

 レフィクル自身が戻れたとしてもまた己の理想の世界のために戦いになる。 そうなれば国も持たないレフィクル達が、今度は自身の目的のためだけに生活する者達を巻き込み苦しめることになる。



「だから、別にここで良いではないか?」


 レフィクルがニヤリと口元を釣り上げて言う。



「この死極を我らで制圧してやればよい」


 本来永劫苦しむはずの死極を変えてやると宣言する。



「それを成し得たらさすがに神々も慌てるでしょうな。 まさかレフィクル様が死極を楽園に変えようとするとは思ってもいないでしょうからね!」

「だが楽ではないぞ」




 その後レフィクルは死極で自分たちのテリトリーを築き上げていくのだった。

 そう、世界(ワールド)守護者(ガーディアン)を名乗る男が現れる日まで……







 神界に2つの姿がある。

 1つは後に神になった【闘争の神レフィクル】で、もう1つは黒目黒髪の男だ。



「余の目指した世は間違いだと貴様は言うのか? 世界(ワールド)守護者(ガーディアン)

「全否定はしないさ。 俺の前の世界に民主国家というのは存在するけど、それが必ずしも平和とか平等かと聞かれればだな……」


 レフィクルは世界(ワールド)守護者(ガーディアン)と呼んだ男の言葉に黙って耳を傾ける。



「なるほどな、完全(パーフェクト)世界(ワールド)というのは存在しないわけだな」

「そうだなぁ……だけどな、この世界には俺がいる。 お前みたいな奴がまた現れたら叩き潰す。 何度でも何度だって」


 レフィクルの口元が緩み世界(ワールド)守護者(ガーディアン)と呼んだ男の肩に手を乗せーーー



「その時は……余も及ばずながら手を貸してやるぞ、世界(ワールド)守護者(ガーディアン)


 レフィクルは昔ファルが言ったことを思い出す。



『いつかきっと貴方様を理解してくれる人物が現れると思います。 その時は閉じきったその心を……ほんの少しでも開いてください』


 ファルの言った人物というのが今ここにいる世界(ワールド)守護者(ガーディアン)の事なのかはわからない。 だがレフィクルはこの男なら、サハラなら信じられると思ったようだった。



「それは心強いな」

「ふん、ならば1つ頼みを聞いてくれるか?」

「……聞くだけ聞く」

「スエドムッサを……」

「断る」

「釣れない奴よ」

「ならお前は赤帝竜(ルースミア)と【魔法の神エラウェラリエル】、【自然均衡の神スネイヴィルス】の代行者のアリエルの3人の俺の嫁を説き伏せれるか?」

「……なるほど、それは無理だな」


 この時生まれて初めてレフィクルは心底愉快そうに声をあげて笑った。




 レフィクル、狂王と呼ばれ後に【闘争の神レフィクル】となった。

 これは自らが描く理想郷(ユートピア)を追い求めようとした1人の男の物語。



ーーー完



 お付き合いいただきありがとうございます。 当初の設定から大幅変更もしている為、もしかしたら矛盾するところもあるかもしれません。 また後半はすっ飛ばすような感じになってしまいましたが、大戦における後半のガウシアン軍はあまりに悲惨な状況になるので省かせてもらいました。

 またレフィクルが主役でありながらレフィクルを一人称にしなかったのは、レフィクルの考えや気持ちを声にしたくはなかった為でしたが、なんだか説明っぽいような話になってしまったような……


 何はともあれこれで『狂王レフィクル』も終わり、次はいよいよ『マルボロ王国の王女ララノア』の執筆になりますが、設定しかないので投稿は間が空いちゃうかもしれません。



宣言通り1日一気投稿しきりました。


自己満足的なものなのでつまらなかったらごめんなさい。



次回作『マルボロ王国の王女ララノア』ですが、しばらく間が空くと思います。

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