16話 復讐の悪魔
次で最終話です。
「レフィクル様!」
「陛下!」
「お父様!」
レフィクルが目覚め、心配する面々の顔が覗かせている。
一度首を振り、体を起こすと周りを見回す。 まるで初めて見る場所を確認しているように見える。
「大丈夫ですか? レフィクル様」
「問題ない!
それより余が倒れてどれだけ経つ」
「はい、10日ほど……」
「何があったか?」
ルベズリーブが言い出しにくそうにしていると、ログェヘプレーベが代わりに答えた。
「レドナクセラ帝都が奪われやがりました。
またそのさいノーマが裏切ったと噂が出ていやがります」
その報告を受けレフィクルが怒りの形相で怒鳴りだした。
「揃いも揃ってこの役立たず共が!!
直ちに軍を指揮して奪い返してに行くぞ!」
それはあまりの変わり様だった。
この場にいる誰もが変わりきったレフィクルに驚く。 ただ1人ルベズリーブを覗いて。
「それではレフィクル様、準備をするので一度我々は下がらせていただきます」
ルベズリーブが目配せをして下がらせ、すぐに全員を連れていく。
「ルベズリーブ、これは一体……お父様はどうなさったのかわかりますか?」
「おそらくレフィクル様は復讐者に支配されてしまった……というよりもまるで別人……」
「ルベズリーブはどうするよ?」
「決まっている! どんなに変わろうとレフィクル様には返しきれないほどの恩がある。
私は最後までレフィクル様と共に行動する」
スエドムッサも含め、今この場にいる者全て元は奴隷である。 絶望に等しい中、手を差し伸べたレフィクルを裏切ろうとする者はいなかった。
「それでは命尽きる最後の時までお父様に従いましょう」
「夢もこれで終わりでやがりますね」
「だが簡単に殺られはせん!」
ルベズリーブが全員の決意を確認すると準備に取り掛かるのだった。
《魂抜きの籠手》が抜き取ったもの……それはレフィクル自身の魂であり、残された僅かな記憶と復讐者だけが肉体に残され、加えて創造神による悪魔王創造により、もはやただの魔物同然となっている。
だがこの事を知る者は神々を含め、誰1人いない……
その後レフィクルの姿をした復讐者はレジスタンス……新生マルボロ王国やキャビン魔導王国、世界樹のエルフ達と激しい大戦を行うことになる。
これだけの連合軍を相手にしてもレフィクル率いるガウシアン王国軍は引けを取らず押し続けた。
だが後に英雄と崇められるもの達の手によってレフィクルは倒され、ガウシアン王国は滅亡する。
神々の手によってこの大戦でレフィクルに加担した者達は全て死極へと送られ、永遠に封じ込められ終わりを迎えたと思われた。




