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13話 王都崩壊

 ログェヘプレーベが調査に取り掛かってから6ヶ月ほどした頃だろうか。 ログェヘプレーベの元に大きな情報が舞い込んでくる。 それは霊峰の町で多数の冒険者が忽然といなくなったというものだった。


 ルベズリーブの話から、レフィクルは霊峰の町から旧トラキアル王都に向かったところで重傷を負った。 という事から霊峰の町にレジスタンスの者達は向かい、そこで冒険者達を仲間に引き込んだのだろうと推測する。

 これはルベズリーブから聞いた時点で調査に向かわせたが、その時点では情報を得る事は出来なかった。


 多数の冒険者が消えた後になってやっと【自然均衡の神スネイヴィルス】の代行者の存在とレジスタンスが必死な理由をログェヘプレーベは知る事になる。




「だ、大洪水……神々はそこまでしてレフィクル様が邪魔だというのか!」


 ルベズリーブに報告をすると悔しがるように机を叩き、叫んだ。



「レフィクル様には、どう報告しやがりますか?」

「言わぬ、言えんだろうこんな事が!

これで平等な世を目指したレフィクル様が知ったらどうなる! それならばレフィクル様に最後まで従い、こんな世など諸共滅んでしまえばいい!」


 ログェヘプレーベも同意見らしく頷いて答える。



「ログェヘプレーベ、ライレーブは連れてきているか?」

「いやがりますよ、一応私の護衛でやがりますからね」


 呼び出されたライレーブがルベズリーブに頭をさげてくる。



「ライレーブ参上しました」

「貴様に汚名挽回の機会をくれてやる。

レジスタンスの連中は必ず旧レドナクセラに現れる。 そこでひっ捕えてでも仲間の居場所を吐かせるのだ」

「ハッ! 必ずや!」


 ライレーブが意気揚々と立ち去る姿を見送ってからルベズリーブにログェヘプレーベがなぜライレーブに任せたのか尋ねる。



「さすがに仲間の居場所を聞くだけなら奴でもできるだろう?」

「どうでやがりますかね、ライレーブは思った通りにならないとすぐに殺そうとしやがりますよ」

「レフィクル様をあそこまで追い込んだ連中だ。 そう容易くは殺されはしないだろうよ」




 だがそのルベズリーブの思いとは裏腹にレジスタンスの1人をライレーブは手にかけてしまう。

 その頃になるとレフィクルもかなり回復してきていたが、ルベズリーブとナータス、スエドムッサの強い要望により王宮にとどまっていた。

 そんなある日の夜のことだった。



 突如巨大な竜巻がガウシアン王国全体を覆い尽くし壊滅的な暴風雨が襲う。

 それはまるで自らの意志を持っているかのように次々と建物を破壊していき、特に城や神殿を瓦礫に変えていった。

 夜であった為大半の者は屋内にいた事と海などがなかった為、家屋倒壊こそしたが津波などによる水害は出なかったのは不幸中の幸いだったようだ。



「一体何が起こったというのだ」

「レフィクル様……どうやらこれは始原の魔術の様です」

「ルベズリーブ、貴様、余の知らないところで何をした」


 観念した様にルベズリーブがライレーブにレジスタンスの居場所を見つけるように頼んだ事を話す。



「よりにもよって、ライレーブに任せたというのか! アレは武人でも暗殺者(アサシン)でもなくただの殺人鬼だぞ」


 ルベズリーブが驚く顔をみせる。

 殺人鬼……それはただ殺人を楽しむ者だ。 暗殺者(アサシン)も人を殺すが、それは彼らの芸術であり仕事である。 だが殺人鬼は違い、ただ殺したいから殺すだけだ。



「家屋損害は甚大でありやがりますが、怪我人こそ出ていやがりますが死人は今の所出て嫌がらない様です」


 ログェヘプレーベが報告にやってくる。



「フン、つまり警告という事か。

ルベズリーブ! 貴様の失態だ、直ちに城の修復に取り掛かれ! 終わるまで休む事は許さん」


 さすがにルベズリーブも今回は余計な口を叩くことなく急いで部屋を出て行く。



「町の方はよろしいのでやがりますか?」

「この程度でくじける様な余の国の民ではない。 それよりスエドムッサに町で犯罪が起こらぬよう見張りをする様に伝えておけ」

「ハッ。

……それで私は何をしやがりますか?」

「貴様はしっかり殺人鬼の手綱を握っておけ」

「ライレーブが生きていやがると!?」

「彼奴は不死鳥(フェニックス)を喰らっている」


 レフィクルがログェヘプレーベも知りえなかったライレーブの秘密を知っていることに驚く。



「わかったらサッサと行動で示せ。 余はもう少し休む」


 ログェヘプレーベが出て行きレフィクル1人きりになると漆黒の短剣を引き抜きジッと見つめる。

 レフィクルの目に何が映ったのか、それは誰も知る由はなかった。




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