あらあら、ステキな尻尾じゃない?
前2作品とは違うものを目指したらカオスになりました。
どうしてこうなった( ゜д゜)
う、うぅん……アタシ、どうなったのかしら?
……あら、やだ。思い出せないじゃない。ちょっと気合い入れて思い出してみなきゃ。
それにしても、何だってこんな事になっちゃったのかしらねぇ? ホント、もぅ、ヤンなっちゃうじゃない……。
えーっと、うん。周りには誰もいないわね。実はアタシ、人の気配とか探るのは得意なのよねぇ〜。日常生活で役に立つこともちゃんとあるんだから! 例えばね……って、あら。思い出してきたわ。
うん、うん……。そう……アタシ、やっぱり死んじゃったのね。ハァ、仕方ないわね……。あのコが気にしてないと良いんだけど。
それにしても、こんな事ってあるのねぇ。まるで物語みたい!うーん、まぁ、仕方ないわね。せっかくステキな体に生まれ変わったんだから、2度目の人生……あら、間違えちゃったわね。2度目の狐生楽しまなくっちゃ!!
***
その日のアタシは最悪の気分だったわ。大学の時からずーっと付き合ってた彼にフラれちゃったんだもの。
彼とは最近、仕事で忙しいからってなかなか会えなくて。でも、忙しいのにアタシと会って欲しい、だなんて言えないじゃない? だから、アタシ我慢してたのよ?
そんな彼から電話で会おう、なんて言われたものだからアタシもう嬉しくって! 鏡の前でどっちの服が良いかな? 彼ったら喜んでくれるかしら、って浮かれてたの。
とっておきの服を着て、靴もバッグもばっちり決めて。
約束した場所は彼の家の近所の喫茶店。マスターがステキなロマンスグレーのおじさまで、入れてくれる珈琲がとっっても美味しい穴場的なお店ね。アタシと彼がよく行く、秘密の喫茶店。
約束した時間ちょっと前に着いて、お店に入る前にアタシ変じゃないかしら? ってチェックして、うん、よし!
カラン
「ゴメンなさい、ちょっと待たせちゃったかしら?」
ヤダ、時間前に着いたはずなのに先に来てるなんて! よく男を待たせるのも良い女の条件とか言ってるコもいるけど、アタシは時間を守る方が良いと思うのよね。あらヤダ。そんな事考えてる場合じゃないわ。
「…………」
……あら、待たせてたから怒らせちゃったのかしら。って、ちょっと、顔色が良くないわ。久しぶりに会えたのは嬉しいけど、早めに帰って休んでもらった方が良さそうね……。
「久しぶりに会えて嬉しいわ。お仕事が忙しいって聞いてたから、体調を崩してないか心配していたのよ?」
「あ、あぁ。なかなかこっちも時間が合わなくてさ」
「アタシの事は気にしないで。無理して具合を悪くしたら、そっちの方がイヤだもの。ホントのコト言うとね、今日会ってくれるのは嬉しいんだけど……あまり顔色が良くないように見えるから、ちょっと気になっちゃって……」
「っ……。いや、大丈夫だよ。どうしても、今日、会いたかったんだ」
……!! ヤダ、凄く嬉しい!思わず涙が浮かびそうになっちゃう。
「実は、さ。今日は、話したい、ことがあって……」
「何かしら? 言ってみて?」
「その……君と会うのは、今日で、最後にしたいんだ」
!? え……最後って、どう、して?さっき堪えたはずの涙がまた、浮かびあがってくる……。
「……アタシ、何か貴方に迷惑かけちゃった、の、かしら」
「いや、違う。これは俺の方の問題だ。けど、君と会うのは、もうこれっきりにしたい……」
カランカラン
ヤダ、ちょっと、もう、こんな泣きそうな顔見られたくない……!
「ちょっ! 美枝、入って来るなって!!」
……え? 京、君?? 美枝……って……?
京君が慌てて知らない人に声を掛けてる。誰……?
「ハジメマシテ、京君とお付き合いさせて頂いてる美枝と言います」
「……お付、き……合い? え? 京君?」
急に話しかけてきたオンナノコが何を言ってるのかその時のアタシは混乱してて理解出来なかった。うぅん、出来なかった、んじゃなくて『したくなかった』のよね。
「美枝! 俺がちゃんと話しをするから、出て来ちゃだめだって言ったじゃ「だって! この人が京君に迷惑をかけてるんでしょう!? 京君の事が心配だから……!」だから、聞けって!」
迷、惑? 京君は、アタシの事を、迷惑だと思ってたの?? だから、このコと、は……会って?
「京君は、アタシの事、迷惑だったの? 大学の時から、ずっと……?」
「いや、そうじゃなくて「えぇ、私が京君と付き合い始めたのは半年前からですけど、その時からずっと言ってました」って、美枝! 頼むから黙っててくれって!」
「なんで怒るの!? 私と会う度迷惑だって言ってたじゃない! 美人かもしれないけど、男の人にそんなこと言わせるなんて最低だわ!!」
「美枝!!」
顔から血の気が引いていく。アタシ、迷惑だったのね? あぁ、なんて事……京君の事は大好きだけど、これ以上の迷惑なんて……。頭がグラグラ揺れてるみたい。頭の中がグツグツと煮えたぎっているようだわ。
人って悲しすぎると、こんな風になるのかしら?
…………いえ、違うわね。これは『怒り』だわ。
アタシが色々と考え込んでる間もキーキー、ギャーギャーと、人を迷惑云々言うのなら、貴方達は、少しはお店の迷惑ってものを考えないのかしら……??
(ブチッッ!!!)バヅンッ!!
カーンッ!
あら、不思議ね? 急に騒音が止まったわ??
「さ、さっちゃん……?」
あらあら、どうしたのかしら京君? 顔色が真っ青よ?
あら、美枝さん、だったかしら? 彼女も凄く顔が面白……じゃなかったわ。顔色が凄い事になってるわね?
「何、かしら? えぇと、美枝さんだったわよね?」
「な、何……ですか」
あらあらあら、急にしおらしくなっちゃって、不思議ね?
「アタシね、京君の事は大好きだったの。大学を出てからもずっと。このままの関係を続けられたら、って思ってたわ」
そう言うと京君の顔色がザッ! と白くなる。さっきからコロコロ顔色が変わるわね。気持ち悪くならないのかしら。
「でも、迷惑だって思われてるのなら。この関係を続けるつもりはないわ」
じっと、美枝さんを見つめる。目が合わない。
ちょっと、さっきから真面目な話しをしているって言うのに、どこを見てるのかしら? 話しをする時は相手の目を見ろって教わらなかったの??
ハァ……
揃って2人がビクつく。失礼ね。
「アタシは、これ以上、貴方達の関係に口を出す事はしないわ。安心してちょうだい。どうぞ、お幸せにね」
立ち去ろうと1歩足を踏み出すとポトリと足元に何かが落ちる。あら、何かしら? あらあら??
落ちたモノを見て、慌ててソコを確認する。
あら、ヤダ。ブラウスの胸ボタンとブラのホックが取れちゃってるじゃないの! あぁ、もう片方のパットも落ちそう! 胸が全部見えちゃってるじゃない!
落ちたソレを拾って、慌てて胸元を隠して、今度こそ、その場を立ち去る。
「き、京、君? 今の、人って……オト」
「あぁ、ごめんなさい。最後に言い忘れてた事があったわ」
ドアを開け、外に出ようとして振り返る。ビクッとする2人。行動も綺麗に揃ってるのね。そんなに仲が良いなんて、ホント羨ましいわ……。
「安心して? 京君、女性と付き合った事はないって言ってたから。だから、女性との肉体関係は貴女がハジメテのはずよ?」
カラン……
ドアを閉めると、途端に騒ぎ始める店内。あぁ、ホント、マスターには悪いコトしちゃったわ。後で謝らないと。
けど、きっとマスターなら分かってくれるんじゃないかしら……お仲間だもの。
***
「ねぇ、ミカちゃん聞いてくれる?」
その夜、アタシは同僚の彼女を飲みに誘った。
このコは体もちっちゃくて、動きも小動物みたいで可愛いのよね。店に入った時からよく一緒に飲みに行ってたわ。
「さっちゃん? どうしたの?」
「アタシね、彼と、別れたわ……」
あぁ、分かってはいたけど、改めて口に出すとかなりキツイものがあるのね。また涙出そう……。
「え? 彼って、京君、よね? なんで、そんな……」
ヤダ、彼女の方がショック受けちゃったみたい。笑ってるのが1番似合うコなのに。
「ホンモノの彼女が出来たみたいなの。昼間会って来たけど、息ぴったりでお似合いだったわ」
「え!? まさかその彼女も連れて来たってこと!? 最っっ低!! 信じられない!」
自分の事のように怒ってくれるミカちゃん。……ホント、良いコだわ。このコにはアタシみたいな思いはして欲しくないわね……。
「そんなに怒らないで? アタシも、その時は凄く苦しかったけど、今はもう、全然、平気だから」
「平気なんて、そんなワケないじゃない! そんな顔で笑わないでよぉ……」
ヤダ、アタシそんなにヒドイ顔してるの?
「もう、今日はいっぱい話しを聞くから! 何時間だって付き合うから!! だからっ……!」
「うん、ありがとう。聞いてくれる?」
その後はずーっと話し続けてたわ。2人で何度もお酒をお替わりしながら、何時間も。誰かと話しをすると気持ちも楽になるのね。ミカちゃんがいてくれて良かったわ……。
「あのね、あのね! それでね……!」
でも、ちょっと飲み過ぎじゃないかしら? ミカちゃん、足元フラフラよ?
「あたしが相手をしてたお客さんがね……!」
…………っ!!
「ミカちゃん! 危ないっ!!」
「ふぇ……? ……っ!?」
急に明るくなる視界。対向車線から黒い車が歩道に飛び込んで来る。
ミカちゃんは足が竦んだのか、その場から動かない。
必死に手を伸ばすアタシ。
近付く車のライト。
引き攣った顔の運転手。
ミカちゃんに、もう少しで、手が……!
「ミカちゃん!!」
グッ、と力を入れる。
グワンと視界が回って、一瞬でミカちゃんとアタシの場所が入れ替わる。
「!! さっちゃん!!!」
衝撃、激しい摩擦音、遅れて来る痛み、体が、アスファルトに叩きつけられる。
熱い、寒い、痛い? よくわからない。
ミカちゃん……。
「ミカ、ちゃ……は、……じ?」
「…………! ……!!」
音が、聞こえない。ミカちゃん、どうか……
「泣か……な……で…………」
「…………!!………………!!!」
***
……思い出したわ、全部。
我ながらヒドイ最期ね。ミカちゃん……気に病まないで、って言いたいけど無理かしらね。
人のアタシは死んじゃったけど、こっちのアタシは生きてるんだって伝えたいわ。ちゃんと、元気になってくれると良いのだけど……。
ハァ……
あら、もう、やぁね。溜め息ばっかり。
ふぅ、とりあえず、少しでも前向きに考えないとダメね。
いつか、ミカちゃんに会いに行けるかもしれないし、この姿だとわかってもらえないかもしれないけどね。アタシはちゃんと元気なのよ! せめて、メッセージだけでも届けなきゃ!!
クゥ……
ヤダ! ちょっと、恥ずかしいじゃない!
ん〜。ん、もう! こんな状況なのにお腹はちゃんとすくのね。
はぁ、生きてる証拠ね。それにしても、狐って何を食べるのかしら? お肉??
……ちょっと、それは躊躇われるわね。ちゃんと調理されているものなら良いけれど、こんな体だもの。お肉を食べるとしてもきっと生肉よね、えぇ。
え〜と、果物なら食べても良いかな、って思うのだけど。狐って果物食べるのかしら?
けど、他に思い付くものも無いし、探してみるしかないわね。
何かあるかしら?
果物が生ってるなら、あっちの森っぽい方かしらね。とりあえず行ってみましょう。
テクテク、テクテク
それにしても、今の私って多分狐よね? 実際に自分の体を確認したワケじゃないけど。尻尾の感じを見る限りでは狐にしか見えないわ。
……それも、すっごく高級品になりそうな、ね。アタシ、うっかり狩られたりしないわよね??
うん、気配を探った感じでは人はいないわね。小動物はいる気配がするのだけど、ソレを狩るのは、ちょっとね。
……あら? 何かしら?
ガサガサッ
あらヤダ。可愛い。
ネズミ、いいえ。リスね。フワフワっとした尻尾が可愛らしいわね〜。
ヤダ、怖がらせちゃったのかしら? ん、もう。アタシは貴方を狩る気なんてないのに! それにしてもフワフワ、って、アレ何かしら?
草の間から顔を覗かせた可愛らしいリス。でも、よーく見るとクルンッと巻いた尻尾に何か持ってるように見えるわね。なんとなく果物っぽく見えるけど。ん〜、この角度からだと、ちょっと見え辛いわね……。
ザリッ
「キィッ!」
ぇ、あ! ちょっと待って!
アタシは尻尾に持ってる何かを見せて欲しいだけなんだってば!!
勢いよく走り出したリスを思わず追いかける。あらヤダ。これ、ちょっと楽しいわね?
あ、違う違う。アタシはその果物っぽいものを見せて欲しいだけなの! ねぇ、ちょっと!
ねぇ! お願いだから、ホント、ちょっとだけで良いから待ってちょうだい!? ちょっと見せてくれればそれで良いんだから! ねぇ、リスちゃん! ちょっ……。
「ギャオォォォォォーン!!(待てっつってんだろぅが、ごるぁぁぁぁぁぁ!!!!)」
その果物置いてけぇぇぇぇぇ!!!
っ! もう少しで追い付く! あと、ちょっと!!
「キュッ、キキィッ!!」
あと少しで鼻先が尻尾に触れる、と思った瞬間リスが甲高い声で鳴いたのが聞こえた、ら
バヂィッ!!!
「ギャン!!」
いった、痛い! 何が起こったの!?
後ちょっとで捕まえられそうだったのに……ハッ! あのリスちゃんはどこ? 果物は!?
急に目の前でバチッてなって。うぅ、痛い。ヒドイわ……。アタシは果物を見せて欲しかっただけなのに……。
あ、あら!
なんて事! さっきのリスちゃんが持っていた果物ね、きっと! お詫びなのかしら。律儀なコね。
スンスン
あらまぁ、良い香り! リンゴみたい。見た目はサクランボに見えるけど、こんな果物あったかしら?
クルゥ……
もう、ヤダ! 恥ずかしい……。
……せっかくリスちゃんがくれたのだし、食べてみようかしら?
ホントはちゃんと洗ってから食べたいけれど、今のアタシには無理そうね。アライグマだったら洗えたのにね? 仕方ないからこのまま頂きましょう。
さて、と。いただきます。
シャリッ
ん、小さいから1口で食べられるわね。それにしても……! お、美味しいわ!
何かしら、こんな果物食べたことないわ。ネットリとした舌触りと、甘さのバランスが良くて!
見た目はサクランボで、食感はラ・フランス。けれど、味はマンゴーみたいなのね?
不思議だけど美味しいわ……だけど1個じゃ、ちょっと、足りないわね。もうちょっとないかしら?
リスちゃんが来た方向は、と。あっちね。良かった、ちょうどアタシが行こうとしてた方向だわ。運が良いわね。
いえ、悪いのかしら? 死んじゃったんだし。うぅん、やっぱりアタシのままで生きてるんだもの。やっぱり、運が良いんだわ。
美味しい果物を食べたら急に気分も良くなったみたい。やっぱりアタシも女のコよね。甘いモノで機嫌が良くなるなんて単純。
ふふ、あら? この香りは……さっきの果物の香りだわ!
やっぱりこっちの方向で合ってたのね。うん、やっぱり運が良いわぁ。
スンスン
もう少しこっちの方かしら?
えーっと、多分、こっちね。あら、今度はあっちなの? 何かしら、果物が動いてる? うぅん、まさかね。
あ、もしかしたら収穫後のトラックかしら。う〜ん、この姿で近付くのはちょっと怖いんだけど、優しい人だったら、もしかしてミカちゃんにお手紙とか伝えられるかも。
うん、行ってみましょう。
***
ん〜、ちょっと、まだなのかしら?
あれからかなり歩いたと思うんだけど……。段々香りは強くなってるし、さっきより近付いてるのは間違い無いと思うけどねぇ。狐になって1日目の初心者には、結構難しいと思うわよ? これ。
あ! これよ! この香り、間違い無いわ!!
あぁ、もうすぐね。あそこの木を曲がれば……
「っ!?」
な、なんなの! これ?!
なんで、木が動いているの……?
……! あそこでぐったりしているコって、まさか、さっきのリスちゃんじゃないの!
大変、怪我でもしてるんじゃ……っ、まさか、私のせい? さっき、私が追いかけたから??
なんて事! こうしてはいられないわ、助けなくちゃ!
ぇ、待って。何をするの? ちょっと、やめてよ……そんな太い枝を振り下ろしたらリスちゃんが死んじゃうじゃない……!
待って、やめて!! お願い、お願いだから……
「グルギャオォォォォォーン!!!(やめろっつってんだろぅが、このくそボケがぁぁぁぁぁぁ!!!)」
その枝刈り取ってやらぁぁぁぁぁ!!!
あ、あら?? 何が起こったの? 気が付いたら木がバラバラに……。
ぁ! リスちゃん! リスちゃんはどこ?
あぁ、良かった。無事だったのね。そんなに震えて、怖かったわよね? かわいそうに……でも、もう大丈夫よ。もう怖い木はいないわ。
でも、なんでいきなりバラバラになってるのかしら? 不思議なこともあるものね……。それにしても、なんで木が動いてたのかしらね。映画のセット、だったらマズいわよね……。けど、誰も人がいないし、不良品で不法投棄されたものだったのかもしれないわね?
ん。あら! 辺りにさっきの果物がいっぱい落ちてるわ!
うっかりしてたけど、そう言えば、最初は果物を探してたんだったわね。……うん、やっぱり美味しいわ。
ねぇ、リスちゃん。貴方も食べなさいな。美味しいモノを食べると気分も落ち着くわよ? ホラ、これとか。とっても美味しいわよ?
あらあら、良かった。やっぱり美味しいモノって良いわね。ふふふ、すっかり夢中ね? 取ったりしないから、ゆっくり食べて良いのよ。
ふふふ……それにしても小さな動物って可愛いわぁ。心が和むというか、癒されるわねぇ……
え、ウソでしょ!? なんでさっきの変な木がこっちに向かって来てるの?? さっきのは……違う。まさか別の木も動くの!?
大変! リスちゃん、貴方も一緒に逃げるわよ! しっかり掴まっててね! 逃げるわよ!!
もぅ!! 木の癖になんでこんなに早く走れるのよ!
根っこがウゾウゾ動いて気持ち悪いったら!! リスちゃん、ちゃんといるわね? えぇ、そのまま掴まっててね。絶対見捨てたりしないからね!
っ! もぅ! 藪に突っ込んじゃったじゃない!
いけない、早く逃げないと!! 追い付かれる……
ガクッ
え?
「キャイィィィィィィン!(イヤァァァァァァァ!)」
崖が! いや!! 足元が!
イヤよ! アタシ、まだ死にたくない!!
フワッ……
「キュィッ」
リスちゃん、ゴメンね。アタシのせいで貴方まで……せめて、アタシの体をクッションにして貴方だけでも生きて……
「キュキュィ、キュッ!」
え、なぁに? え? あら? ウソでしょ!?
アタシ、アタシ……!
「キャォォォォォォォォーン!!(空飛んでるぅぅぅぅぅぅぅ!!)」
えー、一応こちらの作品は『異世界猫又転生記』のクロス作品っぽくしてみました。今作品の登場人物があちらにもチラッと出演してますので、よろしければ『異世界猫又転生記』もよろしくお願い致します。
途中のシーンちょこっと解説
ブチッッ!←堪忍袋が切れた音
バヅンッ!←胸元ボタン&ブラホックががテイクオフ
カーンッ!←ボタンがテーブルに不時着
結果、見事なポロリとなりました。
お目汚し失礼致しました。
最後までお読み頂きありがとうございました。