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春秋の光と影  作者: 野沢直樹
序章
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 江南の地は、人に優しい。穏やかな気候は大地を豊かにし、川の水はそこに暮らす人々を豊かにした。豊かになった人々は子孫を繁栄させ、また、豊かになりたいと思う人々は、希望を胸にしてこの地に集った。その集合体が(ゆう)となり、()となり、都市となったのである。やがて人々は都市を壁で囲むようになり、それが城郭都市となって今に至るわけだが、わざわざ都市を城壁で囲うのは、敵を阻む目的に他ならない。

 これは、人々が自らの豊かさを他者に奪われまいとする占有意識の象徴であり、その一方で他者からその豊かさを奪おうとする侵略意識が存在する象徴でもあった。豊かな土地にこそ存在する人々のせめぎ合い……目を背けたくなるような悪意の数々……しかしその存在こそが、文明であるという皮肉。やはり、人は衝突しあわなければ成長できない生き物だと言わざるを得ない。

 しかもそこには実利的な事情ばかりでなく、感情が存在する。多くの場合、憎しみや恨みという負の感情が、世を動かすのだ。つまり、現状に満足している人々は何も変えようとせずに維持しようとするが、不利益を被っている人々は必死にそれを打開しようとする。その手段として武力が用いられたことはいうまでもない。

 人の世は往々にして、憎しみの心によって変革されてきた。


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