◇07 夢1
◇07 夢1
前にも見た、嫌な気分を増幅させる夕焼けに燃える屋上。
俺は淡井と向き合うようにして立っている。
淡井は割と丈夫そうなフェンスにもたれるようにして俺を見つめながら軽く笑顔を浮かべている。
俺は今現在どんな状況に置かれているのかよくわからなかったが、特にその事に疑問を持つことはない。
俺の体が動き出す。自分の意思ではあるのだろうけれど、どこか離れた世界での出来事の様だ。
緩やかに俺の体が前にでる。僅かに淡井がたじろいだような気もしたが、俺は気にせずに両の腕で淡井を、―――突き飛ばした。
淡井が今度こそ驚いたような表情を作る。しかし表情自体は作りものに思えた。崩れた体勢のままフェンスに背中からぶつかり、ガシャン、という音の中に、……パキンッという嫌な音が混じるのが聞こえた。飛んできた金属片が俺の頬をかすめる。
彼女はフェンスを一枚背中に抱えながら、今度こそ心底驚愕の表情を浮かべた。……そのまま、まるでフェンスに磔にされたかのように落下していく。
人間を殺すのには充分な高度だった。
シャン、と、何とも呆気ない音と共に淡井はフェンスと一緒に地面へとたどり着き、それからぴくりとも動かなくなった。
血が出る事もなく、一見して眠っているようにも見えたが。
俺はその様子を呆然と眺めるだけだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
世川和也………フェンスの破片で頬へ切り傷を受ける。
淡井美羽………世川和也に屋上で突き飛ばされ、転落死。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――