◇06 和也の部屋
◇06 和也の部屋
さて、特待生として破格の待遇を受けている俺は、その対価を払う必要性がある。
それが予知夢の研究なのだが、基本的に俺は夢日記をつけるだけでよい。日記と言っても記述するわけではなく、目が覚めた直後に録音するだけなのだが。たまに研究員とかが直接聞く事もある。
自分の日記を覗かれているようで少し恥ずかしくもあるが、特待には替えられない。
そんなわけで、俺は睡眠を基本的には研究用の部屋で取ることになっている。ゆりが入院してないときは必ずしも研究部屋で眠るわけではないのだが、残念ながら今は妹さんは入院中だった。
病院、……確かこれも飯悟学園と同じ母体というか関係が深いとか聞いた気もするけど、さらにその近くにある大学で、俺は研究の手伝いというか被験者として扱われることになる。
俺は与えられている狭い一室へと向かう。
大学の建物はそんなに新しくなく、割とボロボロだ。経年劣化を感じさせる古い建物の中に、驚くほど最新鋭の研究機器が置かれていたりしてちぐはぐな印象も受ける。
心理だか生体だか神経科学だかの分野の一室の為、この辺を歩いていると部屋の入口のところに脳をマッピングする為の網目状の帽子とかがぶら下がっていたりもする。日が落ちた大学は人も少なくなっておりそこそこ不気味だ。
研究者の一室へと入ると、中には新しいコンピュータが並んでいる。やたらと清潔で生活感の無いその部屋を電気もつけずに通り過ぎると、奥へと繋がる扉へとたどり着く。
ポケットから高校の生徒手帳を取り出し、挟んであったカードキーを扉の横の機械へと当てると、ピピッという音の後にガチャリと鍵のあいた音がした。
俺は扉を開いて中へと入る。
部屋には必要最低限眠るだけのスペースと、あと俺が宿題とかを潰す為の椅子と机が準備されている。窓は無い。広さは四畳弱……くらいだろうか。
いつもなら寝る前に最低限の勉強なりをしたりもするのだが、まぁ、正直もう今日は疲れてしまった。
そんなのは言い訳だと自分でも理解はしているが、とはいえ疲れたのもまた事実だ。そりゃそうだ、何せ普通だったら俺はもう死んでたんですよ、と言われたら気疲れ位してもおかしくないだろう。
だから俺はもう眠ることにした。
窓の無い部屋では電気を消すとまっ暗闇が訪れる。初めはなれなかったというか寧ろ興奮して寝付けなかったけれど、今では暗闇は言いしれぬ安心感すら感じさせてくれる。
何も見えない闇の中、俺はそのまま眠りに落ちた。