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夢現のあわい  作者: 池中 由紀
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◇12 夢2

◇12 夢2


 駅へと向かう俺。

 平日の放課後の時間帯と言えば、俺たちと同じく学校を終えた人間がちらほらと寄り道を楽しみだす頃だ。部活のある学生はまだこの場にはいないはずなので、ちらほらという表現になる。

 淡井はいま隣にはいない。が、先ほどまでは一緒にいたし、多分すぐ帰ってくるはずだ。

 ちょっと先に駅に入ってて、といって淡井はどこかへと消えた。また何か買い物でもしに行ったのだろう。

 真面目に部活動をやると言っていたのに、早速遊びに消えた淡井に溜息をつきたくもなる。

 が、地下への階段を下りたところで気配を感じて振り返ると意外にも淡井は既に階段の始まりにいた。手には何も持っていない。買い物ではなかったらしい。

 淡井は軽く手を振った後に俺に追いつくように階段を飛ばしながら下りてきた。俺は淡井を、階段を降り切った位置のまま待つ。

 タン、タン、タン、とテンポよく軽やかに下りてくる淡井をみると、あぁ世の中って不公平だなぁとか思う。その辺の人が走って階段を下りているのと比べて、なんというか動きのキレが違う。それは素人目にも分かるレベルの物で、しかも外見も整っているわけで。それらが必ずしも努力の結晶ではないんだろうと思うと、やはり不公平さ、神様とやらの気まぐれを感じずには居られなかった。

 と、しかし。

 次の瞬間、俺の眼には信じられない光景が映る。

 もう数段で俺の隣にたどり着くと言った瞬間。

 淡井が足を踏み外した。

 規則的に跳ねていた金髪が乱れ、淡井の顔を隠す。隠れる寸前の淡井の表情は驚きや失敗を察したものに見えた。そのまま俺に向かって落ちてくる。

 割と速度をつけて降りて来ていた淡井が、俺に向かって落ちてきて、どさり、と俺は淡井の下敷きになって倒れた。背中が痛い。

 淡井は俺の上で動かない。

 俺は不安になって、淡井に声をかけた―――


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 世川和也………淡井の下敷きになり背中を強打。

 淡井美羽………階段の途中でバランスを崩し転落。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


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