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プロローグ

誤字脱字があれば、指摘等おねがいします。

ゆっくりのんびり書けたらいいです。

ストラウ・デルフは上機嫌で商会三階の応接間に足を運び、クッション性のいいソファーに腰を下ろす。

部屋は金をかけた高級な家具が調和を取るように置かれた空間。自らの服装や魔術師崩れの探索者風情、若干19という年齢に場違い感を覚えるが、呼ばれて来たのだから問題あるまい。

場違いな服装、装備に劣化が見られるが、あの激戦を潜り抜けたのだ。仕方あるまい。杖は自分の欠陥もとい特性上必要ないが服や靴は奮発して新調しても良いだろう。


ここは八区の商人アイガスが持つ奴隷商会「剣と花」


何度も世話になっいるアイガスから商間闘争に参戦要請が来た際は如何にして断るかだけを考えていた、だがそれも今は関係ない。なぜならアイガスは闘争に勝利し権益を広げた。

自分はアイガスの私兵一部隊を消耗なく敵陣まで届け、死にそうになりつつも敵勢魔術師一人を仕留め、生き残りを欠員なく拠点まで帰還させたのだ。大金星とまでいかないが十二分に報酬分は働いた筈だ。この街に居ついて初めての大仕事で、ミスらしいミスが無いという、目がくらむような報酬に対する報酬分の働き。


具体的にはセル金貨十枚、百万円分の働きだ。思わず頬が緩む。


世話になった義理で何かあれば恩を魔術で返すと、書類でそれも契約書類で形にして残していたのを持ち出された時は自分の迂闊さを呪ったものだ。だが結果良ければ何とやら、生き残った。セル金貨十枚、百万円もの大金が手に入るのだ。アイガスは今だ現れず、予定時間を超えているが待つのも苦にはならない。出された紅茶もいい茶葉なのだろう、苦みが強いが香りが良い、流石アイガスだ。

がめついが金をかけるべき所には金を惜しまない。七区のビヨンドはそれを怠ったから商間闘争に負けたのだ。難癖をつけて報酬不払いが当たり前のビヨンドと、どんな奴にも契約相当の対価は払うアイガス。最終局面で離反者が続発したのも当然の結果だろう。

さすがアイガス、男前だ。


「いやーデルフさん、遅くなってすみませんねー」


脳内でアイガスを褒め称えること三週目、ようやくアイガスが執事を伴って待合室に姿を現した。細身で柔和な笑みを浮かべた40手前の男。見た目で侮りたくなる雰囲気と仕立てのいい服を着ているが、金と権力の世界にどっぷり浸かってる者特有の、色で表すなら「黒」としか言いようのない何かを持つ男だ。

その黒さは参戦要請に来た時に嫌というほど知ってしまったので、会話を合わせるのが正解だ。


「ここ最近忙しくて忙しくて、他の者に任せる事も出来ない仕事も立て込んでましてね。67番通路の利権を獲得したとしてもそれが回るようにしないと、いくら金を生む土壌があっても環境を整えないとそれは肥溜めと同義。いや肥溜めは農業に役に立つことを考えると肥溜め以下ですからねぇ」


「忙しいのはよくわかります。今回の件でアイガスさんは八区の有力商人に仲間入り、押しも押されぬ大商人ではありませんか」


「大商人なんてそんな、グランフォード商会やペテルクルブ、オズワルド職人組合に比べたら、まだまだ貧弱で頼りない組織ですよ」


「いやーどうでしょう、アイガスさんの才覚なら」


「おだてても何も出ませんよ」


と会話を続ける。というかまだまだって事は超えるつもり満々かよ、そこらの商間闘争には貴族クラスの強者が出張ってくるので絶対に巻き込まれたくない。なので契約書類はアイガス相手に作るのだけはやめておこう。

幸い今回のでアイガスに渡してしまった分は無くなったのだから。会話の流れが急に途絶えてふとした間ができる。つまり楽しい楽しい、待ちに待って待ちかねた報酬の件を話す頃合いなのだろう。もう待ちきれない。


「ところでアイガスさん今回の報酬の件ですが、今日貰えると聞いて喜び勇んできたのですよ」


「おおーそうでした、そうでした。話し合いに夢中になってうっかり忘れてましたよ」


いや忘れたらマジでぶっ殺すからな。でもまぁアイガスだから報酬を無にするなんて事はないだろうし問題あるまい。今日中にもらう事に問題無いはずなんだが、


「さて報酬の件なんですが、なんとデルフさんに耳よりのお得な情報がありましてね」


「…お得な情報ですか?」


「ええ、此度の商間闘争で大いに働いて下さったデルフさんに対しての、特別ボーナスみたいな物だと思ってください。ほんとに良い商品ですから」


そういってアイガスが執事に何やら言うと、執事が部屋から出ていった。うん、これは嫌な予感しかしない。商品?


「いやはや実を言いますと、此度の商間闘争でこちらも財力をかなり消耗しましてね。現金もまだあるにはありますが67番通路の整備も予断を許されません。端的に言いますと手元の金を減らしたくないのでね」


そういって自分を見つめるアイガス、瞳の奥が真っ黒で視線をそらさずには居られない。嘘だろ糞、だが金を諦める訳が無いだろう。というかアイガス程の商人がセル金貨10枚程度でここまでするとは、商間闘争はかなりギリギリだったのか、今更ながら寒気がしてきた。


「とはいえ私も商人の端くれ、契約に基づいた報酬を払わないなんてことは絶対にいたしません」


「…あ、ありがとうございます」


「ですので私も悩みに悩んだ末のこの決断なのです。ご理解ください」


「は、はぃ?」


そういってタイミングよく開けられた扉から先ほどの執事が、執事に連れられる形で二人のガリガリの亜人が、伸びた耳と耳から生える毛、貧層だがしっかり自己主張する尻尾。金色と銀色の違いこそあれど、瓜二つの六歳ぐらいの女の子が二人。ぼろきれに身を包み、首輪に繋がれたリードに引っ張られる形で入室してくる。


「契約にもセル金貨10枚相当、百万円分とありますので現物支給とさせていただきます。この双子は見た通り孤人の奴隷でして先月7歳になっておりますが故、幼年期を抜け奴隷のランクはE。双子の孤人という珍しさからセル金貨8枚二人合わせれば特価のセル金貨15枚を考えていましたが、デルフさんへの特別ボーナスの意味を込めてこの二人を合わせてセル金貨10枚。一人頭セル金貨5枚でお譲り致そうと考えております」


「へ?」


「さぁどうぞ、この二人をデルフ様への報酬と致しますのでお好きにお使いくださいませ」


アイガスは一気にのまくし立て、おめでとうございます。羨ましいです、なんての言ってくる。いやまて嘘だろこれ、冗談じゃない。使えない奴隷なんて糞くらえだ。


「ちょっと待ってください。そんな急に現物支給なんて、それも子供の奴隷なんて使い道が無さ過ぎます」


再度二匹の奴隷に目をやる。ボロボロで碌に飯も食わされてないのかやせ細っている。こんなもの貰ってもすぐに死なすだけだ。そして何よりも俺は、金というわかりやすい力の形が大好きなのだ。


「ええもちろん、デルフ様が魔道具を一切使用できないことも知っておりますので、契約は新しい首輪をこちらで用意しますので一文字、隷、とご自身で刻み込んで下さい。他の下準備もこちらが持ちましょう」


そういって新品の首輪を二組テーブルの上に置くアイガス。その眼は一切拒絶は許さないという目つきであり、ここまでお膳立てしたのだ、断るなど言語道断と目は口ほどに物を言う。しかしそれでも、というかこんな在庫整理に付き合いたくは無い、何よりもつい先ほどまで手に入れて当然と考えていたセル金貨十枚、百万円の幻が自分をとらえて離さない。なけなしの勇気を振り絞ってアイガスの顔をにらみつける。


「そもそもこの二人のセル金貨十枚の価値があるとは到底思えません。いくら奴隷のランクを分けでEとなっていても、これはあんまりにも、あんまりです」


「つまり、つまりそれは我が商会の商品が不良品でそれにケチをつけ、私と争いを起こすという宣言と受け取ってよろしいでしょうか?」


「い、ぃやーそういっているのではなく」


「ではどのような意味で?」


「えっとつまりですね、それは…」


アイガスの反論にビビった俺は,もうすでに取引の相手ですらなかったのだろう。相手の言葉を否定できずに右往左往。逃げ腰になった挙句に敵対したくないという思いが前面に出てしまうありさま。二人の奴隷を報酬として受け取る事を決めたのはこの会話から僅か十分もかからなかった。くそったれで強欲な、碌でなしでがめついアイガスめ、騙しやがったな、地獄に落ちるがいい。心中でののしりながら奴隷の受け取り手続きを開始するのであった。

商間闘争、八区って?世界観がわからん、何これ単語。

たぶん物語が進めば分かります。たぶん。

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