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ゴシップ+ラブ

作者: 鳴月

久しぶりの投稿で、肩慣らしに打ちました。ほとんど会話文です。

微恋愛とありましたが、恋愛要素なんて皆無です。

「あちぃー、あちぃー。あぁー、すげぇあちー。クーラー、扇風機ーアイスカキ氷クーラー扇風機アイスカキ氷クーラー……」

「だあああ!連呼すんなっ!こっちまであつぅなるわ!いくら暑いからってぶつぶつぶつ言うな、あほおぉ!折角人がこの暑さ忘れようとおもぉておったのに。だい、めいわくじゃ、ぼけっ」

「なおちゃん、なんで訛ってんの。あんたも十分暑苦しいよ。どっちもどっちじゃん」

「ちげぇよ、(とも)。俺はみんなが少しでも涼しくなるようにと願って言っているだけであって悪意があるわけじゃない。善意だ、善意。なのに尚樹の奴、キレやがって。 暑さのせいで善意と悪意の区別もつけられなくなったみてぇだなァ」

「……いや、つけられるし。壊れたんはお前じゃ、ぼけが」

「あ"?」

「俺は人に迷惑かけんなと言っているだけであって、キレていない」

「キレているじゃねぇか。尚樹がキレると訛んじゃん」

「キレてないわ」

「キレてる」

「キレてへん!」

「キレとる!」



「葵まで訛ってどうすんの。暑いからってギャアギャア騒がんでよ。(やかま)しくていかん。おだまり」



「「……すみませんでした」」


 喧しい二人の喧嘩に終止符を打ったのは別にイライラしていたせいではない。暑かったからだ。この猛暑のせいだ。

 今、私たちがいるのは学校の教室。私たちは夏休みの補修に来ている……のではない。


「っていうかよ、うちの学校鬼畜すぎねぇか?他学校のダチやガキどもは夏休みに入っているっていうのに、俺たち誠道は八月から休みってどういうことだよ」

「誠道だからといっても何もないだろう。学校側の判断だ。仕方あるまい。一生徒のくせに文句を言うな」

「そうだよ、葵。なおちゃんの言うとおり。県下一、生徒からお金を摂取しているくせに授業中冷房をつけてもらえなくても文句は言えないよ。学校側が決めたことなんですもの」


「……巴美のほうが結構言ってるんだけど」

「なんかすげぇ、寒くなってきた」


 ん?二人ともさっきまで暑い暑いって連呼していたのに急に寒くなっただなんて。身体がおかしいんじゃないの?

 病院に一同診てもらったら?


「クーラーは学校のせいじゃないぞ。葵が馬鹿をやらかしたからだ」

「はぁ?あれはただA組が喧嘩を売られたから買っただけだろ」


「買ったから今があんだろうが!あんな餓鬼の子供騙し、律儀に買うこったねぇ!馬鹿か貴様!」

「あぁ"?黙って聞いてりゃぁ好き勝手いいやがってシバクぞ、コラァ"ッ」

「あぁ?ヤンのか?」

 葵がなおちゃんにがんをつけ、なおちゃんがボキボキと右手を鳴らしている。

 ただでさえ狭い教室でこの蒸し暑いなか喧嘩しようとするの?



「(どんどん、なおちゃんの口調が恐ろしいことになってる!校内の尚樹親衛隊に見られたらどう対処したらいいの~~!)」


 只今、絶賛喧嘩中の仙谷尚樹(せんごくあおき)は、誠道の現理事長の甥っ子で誠道の『皇子』と呼ばれている。

 性格と容姿、家柄が最高という点が大きいだろう。

 彼に話しかけられただけで老若とわず女子を悩殺するんだとか。脳を破壊するビームでも発射しているのかな。なんだかこわいね。

 でも怒ると手がつけられなくなるなんて知ったらどうなるのやら。

 彼女たちの百年の恋も一気に冷めてしまうだろうね。


 そんななおちゃんに殴りかかろうとするのは、三河葵(みかわあおい)。国内指折りのヤクザの若頭。

 短気で喧嘩っぱやくて、口も悪い。誠道の『暴れ馬』と呼ばれている。


 なぜか誠道の全男子生徒の憧れの的。

「喧嘩が強いから人気なの?」と親友の愛に聞いてみたら大笑いされた。

 なんでもある日、葵が雨に濡れる捨て犬を大切そうに抱えているところを偶然見た男子生徒が面白半分で広めたところ、葵の株は急上昇。人気を勝ち得た。

 多分噂を広めたその男子生徒ぶったまげただろうなぁ。


 普段のハードボイルドから一変して仔犬の命を大切にする美しい心に惚れた、とのこと。


 マジか。仔犬拾っただけで人気でたのコイツ。

 ツッコミどころ多すぎでしょ。

 まず仔犬なんて嘘でしょ。仔犬から一週間で大型犬にはならないよね。

 そいつを可愛さのあまり撫でまくって(しま)いには押し倒されたよ私。(いやらしい意味じゃないからね)



 ちなみに葵が拾ったと勘違いされた犬。

 実は、元々葵が飼っている犬で『ラサンゼルス』という。


「ラはロの間違いじゃない?」と葵に聞いたら違うと否定された。

 なんでも葵が最近ハマって見るアメリカの「クローサー」というドラマの都市にちなんでつけたという。

 やっぱ間違えてんじゃん。

 ラサンゼルスもそのことに気がついたから家出したと思うよ。


 どこをどう見て仔犬だなんて言ったのか謎だけど絶対にどこかで美化したよ葵心酔者(こいつら)

 犬に普通間違った都市名を付ける馬鹿なんですもの。

 崇拝する価値ないって。



 ………そう叫んでやりたい。


 ちなみに、なんでハードボイルドを知ってんの。一昔前の作品だよね。

 年代違うでしょうが。

 あんたたちいいとこの坊っちゃんだよね。

 年金が気になり始めたおっさんじゃないよね。

 いろいろおかしくて腹筋崩壊しそうだった。


 それにしても二人の喧嘩を早々に止めなくては先生が来てしまう。

 お開きにして貰おう。なんて言葉をかけようか。ここはランキング上位のあの言葉で言ってみようかな。


 やめてぇ!私のために争わないで!!


 一度言ってみたかった。心の中だったけど。あんな恥ずかしい台詞声に出せないって。言ったら周りがドン引くからね。


「A組の喧嘩というのはあの記事のことだろう?終わったことなんだからいちいち反応するなよ」

「ちげぇよ、ただの喧嘩だったんだ。それでいいじゃねぇか」

「お前が本当にただの(・・・)喧嘩を買うような安い奴じゃないからいってんだよ」



 先日、「皇子と暴れ馬徹底解剖」という見出しで新聞部が書いた記事があったらしい。

 なおちゃんと葵の許可なしの記事だったせいでちょっとした騒動があったらしい。

 権力者二人も敵に回すなんて命知らずだね。

 いい記事を書くためには命の一つや二つ投げ打つ覚悟は必要だとは思うよ。

 でも高校生なんだからほどほどにしないと生きていけないよ。特に、誠道ではね。


 ……あ、人に二つも命なんてないか。


 私はその日風邪をこじらせてその場に居合わせていないからすべて友人談。

 記事を読んだって子がいたんだけど、内容を教えて貰えなかった。

 そのかわり意味深な笑みを浮かべて「巴、あんたは一生友達だからね」となぜか励まされた。

 その日を境にそこかしこから生暖かい視線を感じる。

 どうしたどうした、なんだかむず痒いぞ。

 なんだか、いたたまれないな。

 一体なにがあったというんだ?


 その騒動のせいで新聞部は廃部状態にまで追い込まれたとか。

 親衛隊も動いたと聞いた。



 誠道は問題ばっかり起こしてるけど、一応、坊っちゃん嬢ちゃん学校。

 かくいう私も庶民の中では裕福な方だけど、誠道内では下の下だろうなぁ。

 ちなみになおちゃんと葵は上の上。うーん、雲の上だね。

 ……今思えばどうして私ってば二人に挟まれて学校生活エンジョイしてんの?

 よく生きてたなぁ、私。


 *・゜゜・*:.。..。.:*・'(*)'・*:.。. .。.:*・゜゜・*

 ここは、誠道学園の食堂サロン。

 そこには二人の女子生徒があることを話題に華を咲かせていた。


「巴ってば凄いわね~。暴れ馬と恐れられる葵様に皇子と崇められる尚樹様を手駒にするなんて」

「そうですね。愛様のおっしゃるとおり巴美様は素晴らしいお方です」


「千草ってばなにも巴に様付なんていらないと言われたじゃない」


「しかし、巴美様は磐城(いわき)家のお嬢様。名家中の名家です。いくら許しを得たとしてもそのようなお方を呼び捨てにするなどできません」

「まあね。いくら私たちがお嬢様育ちだとしても磐城家に比べたら成り上がりも当然。足下にも及ばないわね」

「はい。ご本人様は自覚がないようですが……」

「でしょうね~。普通、自分の家のことなんて他人に聞けるわけないわ」


「いくら巴美様がお優しいとはいえ、先日の騒動は許せません。ありもしないことをあるかのように赤裸々と……」

「確か『暴れ馬と皇子を丸め込む手腕は一体』『誠道に存在する悪女』だったかしら」

「そうです!それです!まるで巴美様を悪人と仄めかすあのような愚行!黙っているわけには参りませんでした!」

「で、その愚行をした新聞部を廃部にまで追い込んだと。本当に千草ってば巴の熱狂的信者よね。スゴイスゴイ」

「な、なにをおっしゃるのですかっ!私はただあのお方の後輩であってそれ以上でもそれ以下でもございません。私は巴美様に降りかかる厄災を摘もうと我が伊賀家の影を総動員し、鼠一匹残らず駆逐しただけです」

「ああ、だからね。翌朝新聞部員全員が食中毒で一週間お休みしたー、だなんておかしいと思っていたのよね。あんたっておしとやかに見えてやることがエグいよね……。食中毒はヤバイでしょう。死ぬわよ」


「大丈夫です、死にはしませんでした」

「いや、そういう問題ではないでしょう!」



 *・゜゜・*:.。..。.:*・'(*)'・*:.。. .。.:*・゜゜・*


「あの時には親衛隊長までが力を貸してくれたんだ。彼女の功績を無駄にするつもりか?」

「ああ、あの『堅物隊長』様がねぇ。今考えても納得いかねぇ。アイツが今まで力を振るったことなんてあったか?あの堅物が」

「堅物、堅物というな。失礼だろう。……あの時は俺から頼んだんだ」


「__……へぇ、お前が、ねぇ」


「ん?ということは堅物隊長って誰なのか、なおちゃん知ってるの?」

「当たり前だろう自分に関することはすべて把握している」

「そのセリフ、ある意味なおちゃんにしか許されないよね」

「ああ、他のヤツだとナルシストに聞こえる」


 へぇ、滅多なことでは腰を上げない堅物隊長が動いたんだ。珍しいこともあったもんだ。

 親衛隊のなかには過激派もいるらしく、なおちゃんにストーカーまがいのことをする輩も存在する。

 それをすべてを上手くまとめる堅物隊長。

 ちなみに私が知るのはここまで、誰が隊長なのか分からない。

 親衛隊の統制を正すかわりに制限が多く設けられているため、そのことに対する一部の親衛隊から不満の声が上がっている。

 過激な親衛隊がなにをするか分からない。そう考えたなおちゃんが堅物隊長についての情報は伏せている。


 親衛隊には日本有数の財閥お嬢様がいるからね。あんまり言いたくないけど権力の差があったのかもしれない。

 でもあれ?うちの国って第二次世界大戦後に財閥解体があったけどなぁ。ま、いっか。考えるの面倒臭いし。



 *・゜゜・*:.。..。.:*・'(*)'・*:.。. .。.:*・゜゜・*

「__……本当に尚樹様の親衛隊長様には感謝の言葉もありません。(くだん)を上手く収集がついたのはあの方の手腕あってのこと」

「……へぇ、そうなんだぁ。でも、そんなにたいしたことはしていないと思うけど」


「なにをおっしゃいますか。私は一時期の痛みを与えただけにすぎませんでした。喉元過ぎればなんとやらというようにいずれは忘れるだけであって、なんの意味も成し得ていませんでした」


「いや、十分なくらいの痛みを与えたと思うよ。学園の中には祟りだって噂した奴だっていたし」

「いいえ、私が求めていたのは、一時期の痛みではなく、精神崩壊。平たく言えば新聞部の再起不能」


「(可愛い顔して何怖い事言ってんの、この()……)それで、天下の隊長様がそれを成し得た、と」

「はい!かの隊長様は食中毒で死に損なった……いえいえ、鼠を一週間の自宅謹慎にしただけでなく、やつらの学園内の権力・特権剥奪、さらには半年間の雑用政務などなど……これから鼠が学園を大股で歩ける日などありませんね!鼠の中には学園を去った者もいるとか」


「(ヤバイ。明らかに間違ったことを言っているはずなのに、どこからどう言えばいいのやら)……ねえ、千草」

「なんですか?愛様」

「私の……(いやいや)隊長のしたことは間違いではない、と?」


「はい!鼠はあるべき姿に戻っただけ(・・)です」

「へ?」


「鼠は鼠らしく日が当たらないところで図太く生きていればいいのです!新聞部だからと、大きな顔をしてやり過ぎたのです。元々辛気臭かったのですよね」


「巴の崇拝者というレベルではないや。なんというかもう……どうにもなれって感じ。伊賀家の千草姫恐るべし」

「この伊賀千草の主、磐城巴美様を侮辱するなど言語道断!地獄の果てまで追いかけましょう」

「怖過ぎ!!」


 *・゜゜・*:.。..。.:*・'(*)'・*:.。. .。.:*・゜゜・*

「……で?結局あれはどんなないようだったの?」

「へ?」

「あ?」

「だーかーら、新聞の内容よ。みんなは意味深な笑みを浮かべて教えてくれないし。記事のデータやハードディスクは全て燃やされたから現像なんて不可能だし」


 騒動が解決した直後新聞部が保有していたネタはすべて消去された。

「一体どうなものだったのかな?」と考えたら、好奇心で夜も眠れなかった。

 まさかこんなにも私がミーハーだとは思わなかったなぁ。


「あ、あれは、もう忘れるべきだよ。たいしたことなんてなかったし。なんにも面白くないとおもうよ。なあ、葵」

「面白くないは私が決めるから別にいいよ」


 絶対に見たい。


「巴って尚樹の扱い酷くねぇか?」

「え?そうかな」


 うーん、この二人は答えを渋るばかりで口を割ろうとはしなさそうだなぁ。

 結局何だったんだろう。

 きーにーなーるぅー!!



 *・゜゜・*:.。..。.:*・'(*)'・*:.。. .。.:*・゜゜・*

「でもあの記事、私は面白かったけどなぁ」

「不愉快の言葉に尽きます」

「まあまあ、落ち着きなさいって。千草のいうことは最もだけど私が言ってるのはそこじゃなくて『ゴシップ+ラブ』のほうよ」


「ああ、学園内のカップルや人気生徒のお得情報、公にされていないカップルなどすべてを暴露する、あれ、ですか?あれだけはミーハーお嬢様の中では相当な人気を誇っていましたね」


「そうそう、あれよ。あの時の号の『ゴシップ+ラブ』面白かった~。『誠道の三角関係~傾国の姫~』。ぶふふ。今思い出しても笑えるわ」

「結局は何だったのですか?私は存じ上げないのですが……」

「あら?読んでなかったの?」


「はい、興味なかったので」


「へぇー、では特別にお姉さんが見せてあげましょう」

「ええっ!どうしてお持ちなのですか?(くだん)の物はすべて破棄されたと聞いたのですが……」

「ふふん。アレを失くすなんて勿体無い!そう思って処分される前にちょろまかし……譲って貰ったのよ」

「……経緯はどうあれど、鼠の残した残骸などこの世には不要です。それにあんなもの……」

「まあまあ、そう硬いこと言わずにこれを御覧なさいな。千草が絶叫すること間違いなし」

「何なのですか?えーっと…__こ、これは!」


 千草は愛に見せられたコラムを見るなり、わなわなと震え出した。顔も字を目で追うたびに引き攣ったものに変わる。

 そこには三人組の男女の写真が添えられてあった。

 彼らは千草のよく知る人物であり、普段から見慣れているためたいした驚きはない。

 仲睦まじく微笑み合う男女の様子は無意識に千草の頬を緩める。

 しかし、その写真とは裏腹に書かれている内容はお世辞とは言えないほど千草にとっては不愉快の塊だった。


「これは、一体どういうことですかっ!」

「ふふふふ、どぉよ。面白いでしょ?」

「面白くありません!な、なんて破廉恥な!!」


「お硬いわね~。ただのラブッラブに甘い恋愛話(ラブストーリー)じゃない。それにしてもその登場人物が三河葵に仙谷尚樹、磐城巴美というのが笑えるわね。ぐはっ、やばい思い出してきた……っ」

 愛はお腹を抱えてげらげらと笑い声を上げた。

 笑いに火がついたようで貧乏揺すりまではじめた。

 その姿からは令嬢としての気品のかけらもない。


恋愛話(ラブストーリー)……?『誠道の三角関係~傾国の姫~』というくだらない題名で誠道の誇りであるお三方の名前を使うなどっ!なんと恐れ知らずな!!なんですか、『葵様と尚樹様が日夜ととわず巴美姫に誘惑(アピール)している』とは!」

「まぁ、すべては読者のウケを狙ったことですもの。多少の間違いはあるんじゃないの?」

「確かに、愛様のうけ(・・)は取れたようですが。新聞とは元々真実を伝えるためにあるものでしょう?従来のものを見る限り全くそういった意志が見られないのですが……」


「去年まで部長は真実を求める思想家が運営する部活で、ちゃんとした高校生ならではの素晴らしいものだったわ。でも、新しく代変わった部長が利益を求める人でね。平たく言えば、金儲けに走ったわけ。最初は軽いパパラッチから始まったのがどんどんエスカレートして果てには行く先々で面倒を起こしまくったそうよ。当然、生徒の苦情は殺到。でも、その新部長が最近名を上げる有力株で、学園には寄付金をたくさん出していたから生徒会はどう対処すべきか頭を悩ませていたらしいわ」


「そこで今回の騒動があった、と?」

「うん、ここからは千草も知ってのとおり新聞部は誠道のトップ2と名高い三河葵、仙谷尚樹に目をつけた。それに加えて両人ととっても仲が良い磐城巴美。この三人は何をするにしても知名度をとることができる。それから新聞部は破滅に走って行ったわ。……まあ、元を正せば調子に乗りすぎたのよね。この『ゴシップ+ラブ』も面白かったといえば面白かったけど、何日か()てばいずれば皆の記憶からすぐに消えてしまうわ。全然心に響かないし楽しくないしね」

「"志の差"でしょうか……」

 自分の口から無意識に零れ落ちた言の葉の真意を考える。

 次第に千草の心は次第に熱さを増すと同時に稲妻に当たった感覚さえした。

 己の気持ちに囚われてそこまで深く把握していなかった。

 新聞部の裏にはそんなことがあったのか。

「やっぱり、現実は自分の目で見るのが一番よねー。葵様と尚樹様の好き好きアピールは薄っぺらい紙や言葉では伝わらないよ。この目でみなちゃ面白くないよー」

 ん?千草は耳を疑った。

 好き好きアピール?

 誰と誰が誰に?

「愛様それは一体……」

「んー?好き好きアピールのこと?それはもちろん巴美に対してだよ~。千草、気付いていなかったの?さっきのコラムで気付くと思っていたのになぁ」

 えっ!


 *・゜゜・*:.。..。.:*・'(*)'・*:.。. .。.:*・゜゜・*

「(おいっ!どうすんだよ、葵。巴美のやつこの間の新聞が気になってだだこね始めたじゃないか。どうすりゃいい)」

「(どうもこうもねぇ。絶対にあんな恥ずかしい新聞を見せてたまるか。ここは違う話しにもっていくぞ)」


「おーい、二人ともコソコソなに話してんの?」




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