第二章 - 4
自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓
http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64328313.html
午後の授業は二時間続きで情報だ。パソコン室で行う。
今日の授業は簡単なプログラミングを組むというものだ。
昔ちょっと興味があって少しかじったことのある俺にとっては大したことないが、そもそも勉強全般が苦手な良助はもちろん、運動バカの美波、機械全般が苦手な雪乃は苦戦しているようだ。
ちなみに真奈は、俺がやっているのを見て?を浮かべていた。多分一番出来ないのは真奈だろう。
まぁ勉強も出来てメイドの仕事を覚えなきゃいけないから仕方ないといえば仕方ないが、後でちゃんと教えてやらないと戻ってきてから大変だろう。一応、情報も筆記試験あるからな。
一時間もかからずに出された課題が済んでしまった。
暇していると、先生から「あいつらに教えてやれ」と頼まれた。
情報の先生は俺たちと別のクラスの担任で、中学三年の時から俺たちの学年を持っているので、俺たちの仲がいいことは知っているらしい。
ふう、じゃあまずは一番聞き分けが良さそうな雪乃からいくか。
(真奈、今から雪乃たちに教えにいくからついでに俺の説明聞いてろ。今のままだと戻ってきてから大変だぞ)
(え? なんで私が理解できてないことを……)
(俺がやってる間、すごく顔に出てた)
(あう……。……お願いします)
(ちゃんと聞いてろよ?)
雪乃の席へ。うむ、やはり理解力はあるからか半分以上はもう済んでいる。
「先生に頼まれて来たけど、何かわからないことある?」
「あ、永志君もう終わったんだ。えーと……じゃあここ教えてくれる?」
「ああ、ここね。ここはね……」
真奈にもわかるようになるべく丁寧に説明した。
「あ、そういうことなんだ。ありがとう、永志君」
「大したことないって。じゃあ頑張ってね」
次は、美波かな。
「あ、永志。ちょうどいいところに」
「ちょうどいいも何も、先生に頼まれて教えに来たんだよ」
「あ、じゃあここ教えて~。全くわからん」
「はぁ……。人に頼む態度ってのがあるだろ……」
雪乃の時と同様に、なるべく丁寧に教えた。
「え、永志が丁寧に教えてくれた……」
「失礼な。いつも丁寧だろ」
「え、そうだっけ……。ま、まあ教えてくれてありがと。これで何とか時間内に課題が終わりそう」
「ならよかった。じゃあ良助助けに行きますかね……」
「が、がんばってね」
少し離れたところにいる良助を見ると、プリントや教科書とにらめっこしながらうなっている。こりゃ、全く終わってないんだろうな……。
(ところで真奈、二人が詰まっていたところはちょっと難しめのところだったけど、理解できたか?)
(うん、だいたいわかった)
(ならよかった。他にわからないことあったら聞いてくれ。俺が教えられるのは副教科くらいだから)
(……永志さまが優しい……)
(お前といい美波といい、人のことどう見てんだよ……)
さて、じゃあ良助を助けますか……。
あいつの名前って「良く助ける」じゃなくて「良く助けられる」だな。
「あ、永志~。助けてくれぇ~」
「はいはい。わかってますよ」
うーんと、どこまで出来てるのかな……。
「うっ」
一番始めのしか出来てない……。
「これはひどいな……」
「頼む、助けてくれ!」
「あーはいはい」
時間がないのでさっきほど丁寧には教えられないが、とりあえず可能な限りわかりやすく教えた。
結局、時間がなく終わらなかったが、ここまで来たらもう自力で出来るだろう。
ちなみに、美波と雪乃はもう終わっていた。
帰りのホームルームが終わり、俺は帰る準備をしていた。
「あれ、部活行かないのか?」
良助達がやってきた。
「ああ、今日はちょっと用事があるから帰るわ。優紗のことよろしく」
一応、俺も部活に所属している。……例の「二次元同好会」に。
良助と美波が立て、俺と真奈が巻き込まれ、優紗が加入し、雪乃が興味本位で入ってきてしまった同好会。
うちの学校では中学・高校は一緒に部活が出来る。
元々俺はあまり乗り気ではなかったが、仲のいい二人がいるってことと、中学生になって良助の影響でそっちの道に進みつつある優紗が入ったので、なんだか抜けづらくなりそのままずるずると今に至る。
去年から仲良くなった雪乃も始めは茶道部とかに入ろうとしていたのだが、良助と美波の話を聞いて興味がわいてしまったらしく、加入。何が気に入ったのかそのまま活動している。
「それじゃあな」
「また明日ね~」
バックを持って玄関へ。六限が終わってからそんなに時間が経ってないのに、すでにリムジンが数台停まっている。
金持ち学校、ということもあって、全校生徒の何割かは送迎が来る。うちもそのうちの一つだ。
「永志様、お迎えに上がりました」
「ああ、ありがとう」
うちで雇っている運転手が深々と頭を下げ、ドアを開ける。
一応、一般家庭がどうかっていうのを知っている俺としてはちょっとムズかゆいが、向こうはこれが仕事だからどうこういう必要はないだろう。
車に乗り込み、発進。それから数分後には自宅に着く。
家に着き、自室へ。
「さて、まずは今日の反省からしようか」
「え、遊んでくれるんじゃ……」
「お前そもそもメイドだろ……。自覚あるのか?」
「だって永志さまは私がメイドになるのに反対だったんでしょ? 始めは『永志さま』って呼び方すら認めてくれなかったじゃないですか」
「でもお前がメイドになるって聞かないから俺の方が折れたんじゃん。それ以降はちゃんと職務を全うするように言ってきたはずだが」
「う、そうでした……」
「というわけで、今日の反省」
「はい……」
「暇なのはよーくわかった。だがな、授業の邪魔をするのはどうかと思うんだ」
「ごめんなさい……」
「とりあえず、今週は我慢してくれ。土曜日、学校が終わったら婆さんのところに行くから」
「我慢します……。じゃあ、今は家だし遊ぼ!」
「反省が見られるまで遊ばない」
「ごめんなさい、反省します」
「はぁ。ま、いつまでもこんな事しててもつまらないし、遊ぶか」
真奈の顔が一気に笑顔に。
「……でも、何して遊ぶんだ?」
「あ」
遊ぶと言ったら一番はゲームだが、真奈は触ることが出来ない。
結局、俺がやるのを真奈が観戦するということになった。
やるゲームは大手会社が出した人気3DアクションRPGだ。
「よし! そこ! いけ!」
うん。何となく予想は出来てたけど、うるさい。
まぁでも、学校にいる間はどうしても真奈と会話する時間が減ってしまうからここは我慢しよう。
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