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第二章 - 1

自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓

http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64292819.html

 夕方、分家の人や会社の人が全員集まり、会議は始まった。

 結局、予想通り夜中までかかり決まった事は、

 ・本家は永志(俺)に全て任せる。吉里以下メイドたちはそれを全力でサポート

 ・ドリームーンは社長代理として分家の中で推薦された者(昨日挨拶した父さんの弟)が永志が社長として働けるようになるまで就く。

 ・世間を大いに騒がす可能性があるので、やや法に触れるが全員の死亡届をしばらく見送る

 と、大まかにこんな感じだ。

 特に、三つ目は苦労した。真奈の死亡届を出されると、もし不死身婆さんの術が上手くいったとしても真奈の居場所が無くなってしまうからね。

 ちなみに、学校の方には海外で治療を受けているという風に説明してある。


 それから数日後。

 修学旅行も終わり、授業が再開された。

 修学旅行の間は学校に行っても誰もいないので、俺は自宅で自主勉強(真奈が近くにいるせいで気が散って全く出来なかったが)をしていたが、その修学旅行も終わり、普通の授業がまた始まったので学校に行くことにした。

 教室に着くと、やはり真っ先に俺の元に良助、美波、雪乃がやってきた。

「おい永志、真奈は大丈夫なのか!?」

「真奈ちゃん、無事だよね!?」

「げ、元気だといいな……」

 詰め寄るようにして真奈の事を問いただす三人(雪乃は違うか)。

「あーもう、心配すんな。あいつなら大丈夫だって」

「ならいいんだけど……」

「それより、修学旅行楽しかったか?」

「楽しかったわけないじゃん! 永志も真奈ちゃんもいなかったのに……」

「そ、そうだよぅ。ずっと大丈夫かそわそわしてて……」

「ごめんな。まさかこんなことになるなんて思ってもなかったから……」

「永志が落ち込むことないだろ。今はただ、真奈が元気に戻ってくることを祈るだけだ。俺たちにはそれしか出来ないからな」

 良助……お前以外とかっこいいのな。

 と、ちょっとかっこよくみえた良助をジト~と見ている美波。

「美波、どうした?」

「だって、今のこいつの言葉、こいつが愛読してるラノベの主人公のセリフ……」

「わーっ、それを言うな!」

「……ちょっと、かっこよかたのに……」

 あ、雪乃にもかっこよくみえたんだ。でも今ので好感度は地に落ちたな。

 それから少し雑談を続けていると、チャイムが鳴ると同時に担任の教師が入ってきた。

「はーい、じゃあ朝のホームルーム始めるよ」

 優しそうな、五十代後半のおじさんだ。担当は英語。肥満体型だから余計優しそうにみえる。生徒からはかなり人気があるらしい。

「えーまずは、事故にあった夢月君が今日から復帰です。彼は特に異常がなかったようなのですが、事故のショックがあるかもしれないんで優しく接してあげて下さい」

「先生、それは余計な心配です。もう大丈夫なんで」

「……そうですか。えーまた、時雨さんは事故の怪我が大きく、現在海外で治療を受けているそうなのでしばらくお休みだそうです。早く治るといいですねぇ……」

 それから、連絡事項などを告げ、ホームルームは終わった。


 今日の授業は一限から順に、数学、体育、英語、化学、情報、保健だ。

 比較的楽な曜日だろう。酷い曜日なんて、副教科一つもないとか二時間数学や英語が続くとかあるからね。

 鞄から数学の教科書を出し、授業の準備をする。

 幸い、修学旅行で授業は進んでいないので、問題はなさそうだ。

 しかし、あれからそれなりに経ったのに不死身婆さんから連絡はない。

 今度の休日一度見にいくか。

 と、授業が始まった。

「起立、気をつけ、礼」「よろしくお願いします」

 日直が号令をかけ、挨拶。今日の日直は美波のようだ。

 特に変わりなく授業が進んでいく。

「幽霊って暇ですねぇ~。ノートもとれないし、この先生つまらないから寝ちゃいますよ~」

 ……真奈の独り言がうるさい事を除けば。

 と、真奈は黒板に数式を書いている先生の方に向かって行き、先生の背中をつんつんし始めた。

 俺の席は一番前なので黒板や教卓のあたりは二メートル圏内に入るのだ。

(何やってんだあいつは……)

 多少は何かを感じるのか、先生は時折背中をかいていた。

 と、それに気づいたのか、なんと真奈は先生の中に潜り込んだ!

「うわっ」

「ぶっ」

 やべ、ついつい吹いちゃった。

「誰だ!?」

 どうやら先生は黒板の方を向いている間に何かをされたと思っているらしい。まぁ思うわな。

 もちろん、生徒達は意味がわからないといった顔をしている。

 と、先生の目が俺の方に。どうやら他の生徒とちょっと違った反応をしているのに気づかれたらしい。

「お前か、夢月?」

「そ、そんなわけないじゃないですか」

 あー、しまった。これじゃあ犯人みたいじゃん。

「何か知ってるんじゃないか?」

「いえ……」

 知ってますよ! うちの専属メイドが悪戯したんですよ!

「まあいいや。代わりにこの問題解け」

「え」

 とんだとばっちりだ。

 えーと……。真奈の方を気にしてたから全く見てなかったぞ……。

 xとyを置き換えて……。出た範囲を元にグラフを書いて……。

 あれ、これどうやるんだっけ……?

(……5分の63です)

「ご、5分の63です」

 あ、聞こえたの反射的に言っちゃった。

「……正解だ。じゃあわかんなかったやつのために解説するぞ」

 当たってたの……? というか教えてくれたの誰だ?

 その答えはすぐわかった。

 俺のすぐ横で真奈がにこやかな笑顔を俺に向けていたからだ。

 そういえばなんだかんだでこいつ頭良いんだよな……。

(お前なぁ……)

(えへっ)

(「えへっ」、じゃねえよ! いくら暇だからって先生に悪戯するか!?)

(だって暇だったんだもん)

(お前の席俺の横だろ? そこに座っておとなしくしてろ)

(幽霊だから座れないんだもん)

(あーもうじゃあとりあえずおとなしくしててくれ!)

(はーい)

 ふう……。こんな状態じゃ先が思いやられる。早く婆さん何とかしてくれ……。


今後の作品の参考にしたいので、感想・意見等あれば是非お願いします!

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