第一章 - 4
自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓
http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64281057.html
いつの間にか朝になっていた。時刻は七時半。
真奈は……、まだ横で寝ていた。メイドなら主人より早く起きろよ。
昨日の時点でわかったことは、メイド服か下着か裸にならなれるということ。
ここだけ聞いたらただの変態だな。
ちなみに、今はメイド服だ。
「おい真奈、起きろ」
真奈の体を揺する……実際は揺するような感じってだけだが。
「ふにゃ、もう朝ですか……?」
「いつも俺より早いのに、珍しいな」
「そうですねぇ……。ああああああああああああああああっ」
「わっ、びっくりした」
「大変! 朝の当番が……」
「お前今幽霊なんだから当番もなにもないだろ」
「……あ、そうでした」
「まったく……」
真奈の天然さに呆れていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「はーい」
ドアを開けて入ってきたのは冬子さんだった。
「永志お坊ちゃま、朝食の準備が出来ました」
「あ、はい。今行きます」
「そういえば、誰かとお電話でもされていたのですか?」
「いや、電話なんてしてませんけど」
「……そうですか。失礼しました」
そう言うと、冬子さんは出て行った。
「……はっ、もしかして真奈との会話を聞かれた……!?」
「ああ、哀れなご主人様。もう危ない人の烙印が……」
「……成仏……」
「ひっ。ゴメンナサイ……」
「わかればよろしい。じゃ、朝食にするか。お前は余計なこと言うなよ」
「わかりました……」
部屋を出て、大広間に行くと大勢の大人がいた。みんな分家の人か会社の人だろう。
もうすでに食事を始めているようだ。
俺は、いつもの席に座る。左には優紗がいる。彼女もすでに食べ始めていた。
「兄ちゃん、今日は遅いね」
「ああ……昨日疲れたからかな」
「ふーん。あ、真奈お義姉ちゃんおは……いてっ」
みんながいる場で盛大に暴露しそうになった妹を肘で牽制。
幸い、みんな聞いていなかったようだ。
(昨日、他の人には言うなって言ったばっかだろうが)
(そうだった。忘れてた)
(ったく……)
小声で優紗を叱り、俺も食べ始めることにする。
俺の前には、冬子さんではない別のメイドさんが持ってきた朝食があった。
トースト、目玉焼き、ハム、レタス、トマト、ヨーグルト、紅茶と今日は洋食のようだ。
うちでは分家に料理一家がいるのでその伝手を使って結構腕のいい料理人を雇っている。飽きないように毎日違うものをだしてくれるから、俺は結構食事が楽しみだったりする。
食事を終えると、冬子さんがやってきた。
「今日の夕方には全員が揃うそうです。なので、優紗お嬢様は午後の授業が終わり次第すぐに迎えが来ます。余計な事はしないように」
「え、今日部活なのに……」
優紗は二次元同好会なるちょっとアレな部活に所属している。いや別に否定するわけでは無いが、実の兄としてちょっとね……。
「家の事の方が大事です。今日は我慢して下さい」
「は~い」
「永志お坊ちゃまは夕方まで家で休んでいてください。まだお疲れでしょう。それに学校はまだ修学旅行中ですし」
「わかったよ。夕方からは大変になりそうだから、ゆっくり休んでおく」
「では、また後ほど。所在がわかるようにしていただければ、集まり次第お呼びします」
そう言って、冬子さんは去って行った。
部屋に戻り、手持ちぶさたにしていると真奈が話しかけてきた。
「分家の人たちが集まったら何が起きるんですか?」
「そりゃ、会議だろ。なんてったって夢月家本家の主であり、大企業『ドリームーン』の社長である俺の父さんが死んだんだ。本家がどうなるのか、次期社長をどうするのか、そこで決める。もしかしたら、昨日冬子さんが言っていたように、明日から俺が『ドリームーン』の社長をすることになるかもしれない」
「え、あれって冗談じゃなかったの?」
「あながち間違っても無い。けど、流石に高校生に社長を任すことはないでしょ。早くても大学卒業するくらいまでは副社長か分家の人が代理を務めるだろ」
「ふ~ん、大変ですね」
「一応お前も夢月家の一員のはずだが……。とりあえず、かなり大変だろから俺は今のうちから寝ておく。下手すりゃ夜中まで続くからな」
「う~、寂しいですけど、仕方ないです。おやすみなさい」
「ああ、お休み」
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