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第一章 - 3

自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓

http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64267864.html

 夜中。

 疲れているはずなのにふと目が覚めてしまった。

 横を見ると、真奈の顔が……

「!?」

 ち、近いっ!

 しかし……、幽霊もちゃんと寝るんだろうか。見た感じは寝てるが……。

 にしても、やっぱりかわいいなぁ。でも義妹でメイド……。

 ふと、彼女がうちに来た時から今までのことを思い出した。


 彼女がやってきたのは、たしか小学校に入る数ヶ月前。

 夕食時のことだ。

『……の森の奥地で今まで発見されていなかった民族が……』

 まだ五歳(早生まれなのだ)の俺には面白くも無いニュースを観ながら父さん、母さん、優紗(三歳)と食事をしていた。

 ニュースも終わりに近づいてきた頃、冬子さんが慌てた様子で入ってきた。

「ご、ごごご、ご主人様!」

「なんだ、騒々しい。食事中だぞ」

「そ、それが、門の前に坊ちゃまくらいの歳の女の子が……」

「なに!?」

 流石に、父さんも母さんも驚いたようだ。俺もその頃ちゃんと理解できていなかったが、少なからず驚きはした。優紗は気にしてなかった。まぁ年齢的に仕方ないだろう。

「はやくその少女を介抱しなさい!」

「わ、わかりましたっ」

 それから数分後。客室の一つに少女は寝かされていた。

 それから数日起きず、医者にも診てもらったが原因不明。父さん達は仕事の情報網を使って少女の素性を調べようとしたが、処女の持ち物が少なく手がかりになるようなものが無かったのでわからずじまい。

 そうして……確かその年の大晦日。

 たまたま、俺がその時少女の横にいた。子供心に気になったんだろう。

 突然、目を覚ましたと思ったら「きゃあああああああああああ」と叫び始めた。

 その声を聞いて父さん達がやってきた。

「永志、何かしたのか!?」

「僕なにもしてないよぉ」

 そんなやりとりをした気がする。

 少女が落ち着いてから、俺は冬子さんと外に出された。

 多分、少女から素性を聞くためだろう。

 そして、その時「あること」が決まったのだろう。

 その日の夜、年越しするちょっと前。

 少女は、俺の義妹として夢月家に迎えられた。

 少女は一切の記憶を持たず、このまま路頭に迷わすわけにもいかないので、そういう結論に至ったらしい。

 名は「真奈」。母さんが名付けたようだ。

名字は世間体を考えて「時雨」とした。そのころすでに「ドリームーン」はかなりの大きさになっていたので、その社長の隠し子と噂されるのを避けるためだ。

もしかしたら、それが後の出来事に繋がったのかもしれない。

そうして、時雨真奈はちょうど年越しをした直後から、夢月家で一緒に暮らしていくことになった。

それから三ヶ月後。俺は彼女と「私立光明学園初等部」に入学した。

「光明学園」は小学校から大学まである金持ち学校だ。

よくあるお堅い金持ち学校ではなく、かなり緩いことで有名。だから子供を自由にのびのびと育てたい親から人気だ。

ただ、金持ち学校らしく、修学旅行は海外とか、校外学習は新幹線や飛行機を使う必要があるようなところとか。

そのどちらも現地集合だから、あんな事故が……。

と、それはいいとして、入学してすぐ、俺たちは二人の子と友達になった。

一人は、池波良助。もう一人は、丘咲美波。どちらもどっかの大企業の重役の息子、娘だ。それに、幼稚園時代から仲が良いらしい。

二人とも活発なやつで、真奈を守らなきゃって思って周りとあまり関わろうとしない雰囲気を出していた俺のもとにやってきて、遊びに誘ってくれた。

最初は俺も警戒したが、すぐ打ち解けて、ちょっと怯え気味だった真奈も慣れ、しょっちゅう四人で遊んでいた。

もちろん、他にも仲良くなったやつはいるが、誰かにこの話をするとしたら、やっぱりこの二人だろう。

なんてったって、これから今までこの四人がばらばらになることなんて無かったから。

そして、月日は過ぎ、中学入学直前。

朝起きると、真奈がメイドの格好をして俺の横にいた。

彼女は俺が起きるなり、こういった。

「おはようございます、永志さま。今日から永志さまの専属メイドとなる時雨真奈です。よろしくお願っ……」

「?」

 いきなり専属メイドとか言われたことと、途中で言葉が切れたこと、二つ疑問がわいた。

 どうやら、後者に関しては痛がっているところを見るに舌を噛んだのだろう。どうして「よろしくお願いします」で噛むんだ……?

「こほん……。というわけで」

「いやいや、全く意味がわからないんだけど」

「えーとですね……」

「それについては俺から説明しよう」

 そこに父さんがやってきた。

「彼女には私の方からお前の専属メイドになるよう頼んだ。お前ももう中学生だ。夢月の跡取りとして、そろそろいろいろな準備をしなければならない。そこで、まず始めに人を使うことを覚えてもらうために、彼女に協力してもらった。もちろん、そのまま将来『ドリームーン』の社長になってからも使ってくれて構わない」

「なに言ってんの……? だいたい真奈だってもうすぐ中学生だろ。それに俺の義妹だ。他にメイドならいくらでも雇えるじゃん」

「心配いらん。彼女も今まで通り学校に通ってもらう。今から専属メイドにしたのは、将来的に都合がいいからだ」

「う、ん……、そうなのかな……?」

 その頃の俺では、これ以上反論は出来なかった。

 それよりも、その後の父さんの言葉が非常に記憶に残っている。

「何、特に今までと変える必要はない。ちょっと呼び方が変わるくらいだと思っていればいい。それに、将来的にお前らがくっついても俺は気にしないぞ」

「「ぶっ」」

「では、頑張るんだぞ」

 いきなりこんな事言うから二人して吹いてしまった。

 それに、何が「頑張るんだぞ」だ……。

 こうして、真奈は俺の専属メイドになった。

 その数日後、中学に入学。

真奈が俺のことを「永志さま」と呼び始めたことに始めは良助、美波を始め、みんな驚いていたが、事情を説明するとまだ小学校上がりの小僧達は俺のことをカッコイイと言い始めた。

要するに、十二歳にしてもう付き人がいることがうらやましかったのだろう。

余談だが、その日良助が家に帰ってから「俺も付き人が欲しい!」なーんてことを親に言ったところ、小一時間正座で説教されたらしい……。あいつんち放任にみえて実は厳しいからな。じゃあなんであいつはああなっちゃったんだろう……。

と、それはいいとして、なんだかんだ父さんが言っていた通り、呼び方が変わった以外にこれといった変化は無く、日常は過ぎていった。

そして、中学卒業、高校入学と来て新しい友達が出来た。

島崎雪乃。どうやら高校からこの学校に入ってきた子らしい。大半が中学以前からこの学校にいるため、友達の輪に入りにくかったのか、もともと他人と関わらないのか、高校入ってからはずっと一人だった。

 そんな様子を見かねた良助と美波はいつだったか俺たちにしたみたいに雪乃を誘い、いつしか彼女は俺たちの輪の中にいた。

 人見知りでおとなしい子だが、俺たちといる時は結構普通の子だ。

 高校生ということもあり、五人でしょっちゅういろんなところに遊びに行った。

 カラオケやボーリング、ゲーセンなんてのはもちろん、長期休暇には子供だけで旅行(といっても密かにSPがついてくるのだが)に行ったりもした。

 そして、高校二年の春。修学旅行で現地に向かう途中、あの事故が――

今後の作品の参考にしたいので、感想・意見等あれば是非お願いします!

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