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Angel knight  作者: 蒼野祐樹
8/8

第七話

『生きたいですか?』




時々聞こえてくる女性の声

あれは誰なのだろうか?


少年だった俺の心は声の事でいっぱいだった。

勉強もろくに頭に入らず成績も悪かったのを覚えている。


よく、こんな自分が教師になれたなぁとつくづく思う

光もそれに同意見らしく出会ったときに笑いあった。


年を重ねていくうちに声の主の疑問は薄れていって結局忘れてしまっていたのだ。

今こうして再び疑問に思うなんて………少し笑ってしまったが…



2度と思い出したくなんてなかった



このまま記憶も消してもらえばよかった、両親だけでなく幼い記憶を全て。

そうすれば、思い出すことはない。

自分で消した両親だって「存在」というものが全て無くなっていた。

近所のオバサンたちは俺を何処の子供なのだろうか?と良く噂していたのを耳にした事がある。

その噂を聞く度に自分が消した両親の顔や手の感覚が蘇ってくる。

何度も水で手を洗った、何度も何度も……でも感覚が消えてくれない。

でも思い出す両親の顔は全て笑顔だった、それだけが唯一の救いだった。




朝を迎える

カーテンの隙間から漏れてくる日光の輝きが守の頬を照らす。

輝きが伸びていき光は徐々に守るの顔全体を照らして朝を告げる。

眠っていた守だったが日光の光が眩しくなって渋々とゆっくり瞳を開けていく。

一番最初に目の前に映ったのは見慣れた天井、其れから自分を目覚めさせた日光の輝き。


「ん〜……考え事しすぎた、寝不足…だ…眠たい…」


唸り声を上げながら背伸びをすると欠伸も出てくる。

欠伸をすれば目尻に涙が浮かび上がってきて流れ落ちていく。

昔はよくコレを使って悪さをしたものだ、子供は泣けば誰もが戸惑う。

まぁ、そうでも無い輩もいたが殆どの大人は引っかかって親切にしてくれた。

気前のイイ大人は食べ物とかお金をくれたりもした。

惨めなフリをするっていうのは気が引けたのだが幼い俺にはこの手しかなかったのだ。


ま、そんなことはどうでもイイ。

守は手近にあった目覚ましに手を伸ばし時刻を見て



「えっと、6時30分か…学校まで徒歩で30分、車をとばせば10分もかからない…今日は職員会議は無い、校内に9時までに入ればOKだから…まだ眠れる」



独り言を長々と呟けば目覚ましの時刻設定を8時30分に設定して再び布団の中へと潜っていった。

眠りにつくまで時間はかからない、本当に眠たい時は人間10分もあれば眠りにつける(俺だけか?)

悩んでいても仕方が無い、俺は今出来る事を、しなくてはならない事をしよう。


たとえ其れが学生のためのテスト作りだとしても!!!!







其れから約2時間後、見事に目覚ましは鳴り響き守を起こした。

鬱陶しそうに目覚ましを見れば時間ぴったりで余計に苛立ってしまう。

自分で設定した時間帯に目覚ましに起こされて腹が立つ、なんて馬鹿馬鹿しいのだろうか。

そんな事を1人で思っていると刻一刻と時間は進んでいく。

学校に遅れる訳には行かず、布団から体を起こしてラフな格好に着替えて洗面所へと向かっていく。

蛇口を捻り出てきた水を両手ですくい顔を濡らせる。

朝はやっぱりこうしないと目が覚めない、サボった時はダルくて眠くて敵わなかった。

生徒にも色々と指摘され散々な目にあった…だからコレだけは欠かせない。

そして軽く朝食をとってから外に出て車に向かった。


「忘れ物も無いし…よし、OKだな」


其れからエンジンをかけて自分なりの安全運転をして学校に向かっていった。

本日の通勤時間は7分、今まで10分という大きな壁をこえられなかったのだが今日は調子がイイ!


「せんせー!!」


駐車場に車を停めて職員玄関へと向かっていると遅刻寸前の男子生徒から挨拶される。

コイツ【篠崎哉宵しのざきやよい】は入学当時から俺に良く懐いていて友達のような存在。

まぁ光には負けるが黒髪黒眼が印象強くて容姿もそこそこ良いし、頭だって良い。


「おっはよぉ!先生今日も車で通勤?」

「ああ、今日は眠くて眠くて仕方が無くてさ…だから、つい今回のテストは手抜きに……」

「えぇ?!其れホント?!」


話しかけてきた生徒は嬉しそうに目を輝かせながら俺の話を聞く。

でも、俺はそんなに甘くない…手抜きなんかしたら上にしかられちまう。


「……機嫌悪くて手抜きにしなかったんだ、ホント生徒に悪い事しちゃったなぁって♪」

「うわぁ…先生ってば性格悪ッ!生徒の期待を裏切りやがって!!」

「期待する方が間違ってるだろ、ってかお前頭良いんだから別にイイじゃねぇか」

「でも守先生のテストは難しいから嫌いなんだよ!!」

「難しい?嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか、徹夜した甲斐があったぜ」

「授業の時は優しくて分かりやすいのに…テストになったら厳しくて難しくなってさ……」

「一応教師だからな、テストの時だけは心を鬼にしてやってんだ、ありがたく思いやがれ」

「思いたくもないし思わせないで!!」


そう言って走って玄関の靴箱へと向かって行った。

勢い良く走っていたから途中で転んだりしねぇかなぁと思いながら後姿を見送っていると、


「いで!!」


転んだ。

足を滑らせ顔面から床に激突する。

何故コイツは何時も俺の期待を裏切らない良い子なのだろう、と笑ってしまった。

鼻を打ったらしく涙目になって起き上がると俺の笑い声が聞こえたのだろう、後ろを振り返り。


「先生の馬鹿ッ!!!」

「次は転ぶなよぉ」


そう言って俺も背を向けた。

まだ後では哉宵が怒鳴っていたが気にせず職員室に向かっていく。

小さく笑いながら自分の机に行き荷物を下ろす。


「今日も篠崎君と戯れていたのですか?」

犬山いのやま先生、お早う御座います」

「お早う御座います、で…今日はどんな話題で苛めたのですか?」

「苛めた、だなんて人聞きの悪い……ただ遊んだだけですよ♪」


この女性は犬山瑠璃いのやまるり先生、美術の担任。

ついでに言うと俺は国語だぜ☆

優しくて丁寧に教えてくれる犬山先生は全校生徒の憧れ。

見た目は25前後くらいセミロングで無駄に露出していない、媚も売っていないから余計に男子生徒の目も女子生徒の目も惹き付けるのだろう。

慕われていて人気者、去年のバレンタインに女生徒からも貰ったと噂があるほどだ。

俺もこんな女性が好きで憧れ、最初は目をつけていたんだが…彼女は結婚していて子供も居る。

そんな人に手を出すほど俺は落ちぶれていない!!!

でも、俺と性格が合うらしく少し腹黒い。


「なるほど…テストの難易についてですか…」

「手抜きなんて誰も作るわけ無いのに、でも引っかかってくれるんですよ♪」

「じゃあ私も今日授業がありますから遊んでみます♪」

「イイっすね!結果報告は放課後にお願いします、俺も授業がありますからお互いに語り合いましょう!!」


きっと周りは俺たちを見てこうおもっただろう…





「「「「「「哀れな生徒だ…」」」」」」









それから、すぐに放課後を迎えた。

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